最前線で味方の弾除け役を担っていた男は、あえなく負傷してしまい、無線で最も信頼する後輩に迎えにきてもらうことにした。迎えにきた彼女は、彼を散々にこき下ろすが、その反面で、彼は自分がいないとダメだとも思っているようで…？

先輩…言われた通り、迎えに来ましたけど。


いえ、別にお礼を言われる筋合いはないです。ちょうど任務帰りで、立ち寄っただけですので。


それより…今日もずいぶんボロボロですね。また前線で弾除けでもさせられました？


そうですか…まぁ、しぶといしか取り柄のない先輩には、お似合いの役回りではありますね。


言い方はどうでもいいです。タフネスだろうが何だろうが、厳密な意味合いは変わりませんので。


さ、行きますよ。あまり駄弁ってると、日が暮れてしまいます。夜戦が得意な連中に見つかると、それこそ面倒ですので。


(二人で平坦な道のりを歩く)


先輩…足元、おぼつかないですね。まるで酔っぱらいの千鳥足です。


そんな体たらくで、本気で基地まで帰れると思ってるんですか？言っておきますけど、ここはまだ敵の勢力圏内。一歩間違えれば、ハチの巣にされますよ？


…っ、こ、この期に及んで他人任せですか…頼りないにもほどがあります。


そんなんだから、いつも周りから脳筋だとバカにされるんですよ？前線では囮程度にしか使えないと、うちの隊長も嘆いてましたし。


(ため息)


能天気ですね、先輩は…もっと兵士としての技量を磨いて、弾除け以上の活躍をしようとは思わないんですか？いくら一兵卒といえど、それだとあまりに意識が低いように思うんですが。


呆れた…先輩には何を言っても無駄のようですね。まさに馬の耳に念仏、猫に小判といったところでしょうか。率直に言ってダサいですよ。


はい。人の助けを当てにしてる時点で、ダサすぎです。少しは男のプライドとか見せたらどうですか？


…って、あぁ、もぅ！言ってるそばから…！


(地面に倒れこみそうになる男を支える)


危ないところでしたね…わたしが支えなければ、先輩は無様に顔から地面にダイブするところでしたよ？


お礼はいりません。先輩の余計な怪我を増やしたくなかっただけです。これ以上、足を引っ張られても迷惑ですから。


そ、そうですね…わたしがいなければ、まともに歩くことすらできない。本当に世話の焼ける人なんですから…


…はい。先輩は部隊の中で劣等生で、しかも他力本願なところが多い。これまでよく、兵士なんてやってこれたものですね。一周回って尊敬します。


わたしがいないと駄目な先輩…今までも、これからも、きっとわたしの助けがないとダメなんでしょうね。


えぇ…仕方ないから助けてあげます。


頼りないけど、一応前線で頑張ってる先輩のことは、わたしが支えてあげますから。


だから、お礼は要りませんってば。本当に仕方なくやってるだけですから。


…怪我、痛みますか？もう少しだけ、我慢してください。基地までそう遠くありませんから。


…わたし、次は必ず先輩と同じ任務に就きます。隊長に直訴して、先輩のお目付け役になりますんで。


当たり前です。ダメダメな先輩を後ろから守れるのはわたしだけですから。他の人には荷が重いでしょうし。


…ッ、無駄口叩いてる暇があるなら、足を動かしてください。怪我をしてるとはいえ、歩くペース遅すぎですんで。


いいからほら、キビキビ歩いて。わたしがちゃんと支えてあげますから…

・台本（ゆるボイ！）
ツンデレ系毒舌後輩は戦場でも俺の世話を焼いてくれる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎