急に寒くなってきたある秋の終わりのこと。
今日も片思いのあの子が寒そうにストーブの前にやってきた。
俺と彼女は同じストーブ仲間。今日も同じストーブで同じような話をする。
でも今日は彼女が俺を驚かしたかったのか、突然ほっぺたに触ってきた。

【】：状況
（）：声色 or SE

【読み手が教室に入ってくる/近く/左寄り】
（歩いてくる音）

うぅ～、さむさむ～……。

（しゃがむ音）

はぁ……、暖まるぅ……。

おはよぉ、きみもストーブで暖まってる感じ？
やっぱそーだよねぇ。ここ2,3日で急に冷え込んできたもん。
学生じゃなかったら、多分家に引きこもって、コタツムリしてたかも。
きみも同じくそんな顔してそう。寒がりって顔だもん、ふふっ！

うぅ、さむ……。
でもストーブぐらいの暖かさじゃ、ガクブルものだよぉ。
こんなんだったら、厚着のコート着てくるべきだったかも……。
きみがいま着てるみたいなやつね。それ、何ていうか知ってる？

【知らない聴き手】

ダッフルコート、なんだよ！
なんだっけ、だっふるふんど？　じゃなくて、ダックスフンドだぁ！
子犬みたいな名前してて、かわいい、って思ってたんだよねぇ。
わん、わんってね！　えへへっ！

少なくともカーディガンの上にもう1枚着てくるべきだったねぇ。
わたし我慢強さに定評あるし、冬の寒さも、もうちょっと段階踏んでくるって思ったのに。
蓋を開けてみたら、１！　５！　７！　みたいな数字踏んでくるからびっくりしたよ。
行けるかなぁ、って思ったけどダメそう……。

【意見の聴き手】

我慢強さじゃなくて、頑固？
うーん、そうなのかなぁ。そうかも。
そういう風にわたしのこと言ってくるのって、きみぐらいだからわかんないや。
でもこうしてきみと話してると、新しい自分に気づいて面白いなぁって思うよ。

えへへ！　わたしってこういうキャラだから、柔らかいイメージ持たれがちなんだよ。
暖かそうとか、ふにふにしてそうとか。
わたし、そんなに太ってないし、冷え性だし！
とか思っちゃったり。

【疑問の聴き手】

あれ、もしかしてわたしが冷え性なの知らなかったりする？
手、触ってみる？　わたし案外暖かくないよぉ？

【否定の聴き手】

えぇー、そこまで聞いておいて、気になったりしないの？
それともぉ、もしかして遠慮してたりする？
いいよぉ、きみなら。触っても減るものじゃないしぃ。
でもきみから来ないならぁ……。えいっ！

【ほっぺたに触る読み手】
（ふにっ音）

あははっ、びっくりして跳ねてる！　かわいいー！
どう？　意外と冷たいでしょ。冷たい女なんだよぉ、わたしはぁ。

【感想の聴き手】

え、そんなに冷たくなかったの？
えぇー、さわってびっくりさせてやろー、って思ったのに。
ストーブで暖かくなってたからかなぁ。

んー。……。確かに冷たくないかも。

じゃあほっぺたにべちーってされただけかぁ。
なんだぁ、面白くなーい。
だったら、そんなに狼狽えなくてもよくない？
さっきも言ったけど、手を触るなんてこと、減るものでもないし。

【赤面の聴き手】

あー。あー……。そぉかも……。
確かに女子が男子のほっぺた触るのって、変、かな？
うーん……。あはは、なんか。急に温まってきますなぁ。あはは……っ！

さ、さぁて！　暖まったことだしぃ？
わたしは席に着こうかなぁ。あはは、そ、それではぁ～！

はぁ……。そういう事言われると、ちょっと照れるじゃん……（小声）

・台本（ゆるボイ！）
片思い中のゆるふわ系冷え性女の子にほっぺ触られてびっくりする話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス