勇者としてのお告げを受けて旅を始めたあなたが初めて味方に加えたのは、自己肯定感低めのヒーラーの女の子。
とあるふたつの村の交易ルートを取り戻すためにモンスター退治に出かけるも、急な雨に降られて森の中の洞窟へ。

口調や一人称、固有名詞改変などご自由にどうぞ。
少し難しいかもしれませんが他のジョブへの改変も可です。

憧れとも片想いとも取れるような、淡い気持ちをお好きなように演じてくださればと思います。

はぁはぁ、……ふぅ、ちょうどいい洞窟があって助かりましたね……。

これでしばらく雨を凌げれば良いのですが、あまり長く降られてしまうと日が暮れてしまいます。

今日中に森を抜けたいですし、早く止むよう祈るしかありませんね……。


それにしても、ふたつの村の交易がモンスターのせいで断絶されていたなんて……。

ソリエル村では、お花のシロップ漬けがとても美味しいんだそうですよ。

それを楽しみにしていた子どもたちはずっとお預けされてしまっている……なんとしてもモンスターを早く退治して、交易ルートを取り戻さないと、ですね。

紅茶に浮かべるのもとても合うんだとか。

親子で楽しめるものがあるのって、素敵なことだと思います。

……わっ、良いんですか？

では、このモンスター退治が終わったら、シロップ漬けを浮かべた紅茶でのお茶会をお祝いとしましょうね。

あとは……ミルデット村のチーズもソリエル村では人気でよく売れたのだとか。

……長く手を取り合ってきたふたつの村の絆、モンスターなどに壊されるわけにはいきません。


……あっ！　お怪我はありませんか？

先ほど急いで走った時に、木の枝に引っ掛けてしまっていたりは？

……え、わ、私ですか？　確かに服も髪も濡れて重くて冷たいですが……旅をしているんですもの、このくらい平気です。

少し絞ればマシになると思います。失礼しますね、……んっ……と。（服の裾を絞る）


このまま雨が止まなかったら……この洞窟で野宿することになりそうですね。

ごめんなさい、私が炎魔法を使えれば暖を取れたのに……。


……えっ？　……ぁ、ありがとう……ございます。

癒ししか取り柄のない私を選んでくださったこと、とても……とても、感謝しているんですよ。

あなたはいつも剣を握って私の前に立って、果敢にモンスターに立ち向かう……。

後ろからそれを見ていることが、もどかしくないと言えば嘘になります。

前に出て一緒に戦えれば良いのにと思ったことは、何度も……。


……はぇっ！？　私がいるから安心して戦える……？

そ、そうだったんですか？

いつも痛い思いをするのはあなたで、私はそれを癒すことしか出来ないのに……痛い思いをしたことが無かったことになるわけじゃないのに……そう、言ってくださるんですか？

……嬉しい……私でも、お役に立ててるんですね……。


……今はまだふたりだけの旅ですけれど、もっと仲間を増やしてたくさんの人を助けましょう。

あなたが神様からのお告げを受けた勇者であること、私は信じているんです。

こんなに非力な私を大切にしてくれて、人を助けるために自分が傷付くこともためらわない精神は、勇者様と呼ばれるにふさわしいんですから。


……え、仲間集めは急がなくていい？

そ、そうですね……波長が合う人と良い出会いがあれば……とは、私も……思っていますが……。

あなたとふたりで旅をすることが嫌というわけでも……むしろ、一緒にいて安心出来るというか……。

……ぁ、あっ！　い、今のは、そのっ……深い意味はありませんっ！

ただ、あなたの言葉ひとつひとつが私にとっては嬉しくて、お役に立てているのも光栄で、私の価値を改めて教えて貰えているような感覚になるんです。

それがどうしようもなく心地よくて……あなたの隣にずっといさせて欲しいと、願ってしまうんです。


……どれだけ続く旅かは分かりませんが、最後までお供させて頂くつもりですよ。

ずっと、あなたを癒させてください。

あなたの傷は、私が必ず治します。

それしか出来ない私を必要としてくれるあなたと共に、人々を救いたいですから。


……雨、止みそうにないですね。

少し……身を寄せても……構いませんか……？

・台本（ゆるボイ！）
【ファンタジー】勇者を慕う敬語ヒーラーちゃんと2人旅
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
弐橋 葉