あなたと幼馴染の少し歳下の女の子は、料理が好きで調理部に所属。
母親が夜勤の日は、幼馴染にお弁当を作ってもらうようバイトを頼んでいるため朝に渡されます。
お互い成長してきょうだいごっこをするような年齢でもないのに、染みついた『お兄ちゃん』呼びだけは直らないまま。

「いい嫁になりそうなスペックなんだけど認識はお兄ちゃんから変わらないのかなあ」と思わせる演技、「お兄ちゃんと呼びつつもほのかな恋心を抱いているのでは」と匂わせる演技、どんなものでもお好きな解釈でどうぞ。
さらっとした関係の男女幼馴染も、もどかしい関係も、どちらも好きです。
一人称や口調の改変はご自由にどうぞ。

お兄ちゃんおはよーっ！

ごめんね、ちょっと遅くなっちゃった。

はい、今日のお弁当。


……え、『いい加減、お兄ちゃんって呼ぶのやめろ』？

うーん、でも私にとってお兄ちゃんはお兄ちゃんだからなぁ……。

おばさんだって、『娘が欲しかったから本当にきょうだいみたいで嬉しい！』って言ってくれたし、うちのお母さんも似たようなこと言ってるし。

それに、おばさんが夜勤のときにお弁当作るバイト、なんだかんだ私も助かってるもん。

自分が好きなことしてるだけなのにお小遣い貰えてラッキーというか？


あ、そうだそうだ。

文化祭で出す部誌、今年もおばさんの分はしっかり確保しとくって伝えといて！

……え、部誌って何だっけって、レシピ本だよ！　調理部の！

今もレシピ開発で結構揉めててさぁ……ピリ辛炒めと甘辛炒め、どっちを部誌に採用するかで意見割れしちゃって。

確かにどっちも美味しいんだけど、似たようなレシピを2つ載せるわけにもいかないからね……。


……あ、そうだ。

お兄ちゃんも試しに食べてみてくれない？

お兄ちゃん好き嫌い無いし、私の料理も食べ慣れてるからそんなに抵抗ないでしょ？

それで、どっちのほうが好きだったか教えてくれると助かるなぁ。

こういう時、好き嫌い無い人の意見ってすっごく貴重なの！

食べ比べはバイトとは別の個人的なお願いだけど、協力してくれないかなぁ……？


……ほんと！？

やった、ありがとお兄ちゃん！

ふふっ、持つべきものは気心の知れた幼馴染のお兄ちゃんだねー。


……え、好き嫌いはある……？

そうなの？　知らなかった……ごめんね、今までお弁当に嫌いなもの入れてたりした？

なんだ、教えてくれてたら入れないようにしたのに……。


……ん？

私のおかげで克服……した……の？

……あはっ、びーっくりしちゃった！

そっちを先に言ってよ、焦っちゃったじゃん！

もー、良かった。

でも、そう言ってくれると作ってきた甲斐あったなぁとか、なんていうか、嬉しいよ。


……確かにおばさん、あんまり料理得意じゃないって言ってたしね。

筋を切るように包丁を入れたり、きちんとアクを抜いたり、下処理を気をつけるだけでもかなり違うんだけど……。

レシピ本ってそういうことまで説明してくれてなかったりするもんなぁ。


……あ、そうだ！

『知ってるようで知らない、誰も教えてくれない下ごしらえの方法』も部誌にしたら需要あるかなぁ！

今年作るのは余裕ないかもだけど、提案だけしてみることにする！


……あぁーっと、もう駅か。

炒め物の件は、部活のみんなにも話してからまた改めてお願いするね。

それじゃ行ってらっしゃい！

またねー！

・台本（ゆるボイ！）
料理上手な妹系幼馴染は『お兄ちゃん』呼びだけが直らない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
弐橋 葉