～あらすじ～
獣人として隠れながら暮らしているあなた。
待ちに待ったハロウィンの日が近づいてきた。
楽しいことを求めて人間界へ降り立とうと考えるあなたですが、どうやら番はそれをよしとは思っていないようで…？

…ハロウィン、ねぇ。
正直、私はあんまり好きじゃないかな。

ええ～って言わないの。あくまでも自分の意見を言っただけでしょ。
だってさ、よ～く考えてもみてよ。
ニンゲンたちは変な格好で騒いでてうるさいし、甘ったるいニオイがそこら中に漂ってるし。
まぁ確かに、自分らみたいな人ならざる存在が人間界に降り立っても、何にもお咎めのない時期って言えば聞こえはいいのはわかるけどさ。

…もしも、もしもだよ。万が一ってことが起きたらどうすんの？
仮装じゃなくって本物の獣人って事がバレたら…それこそ最悪の事態が起きちゃうかもしれないよ？
ニンゲンって、私たちと違って力は弱いけど、すっごく残酷で怖いんだよ？
自分たちとは違う特徴を持った生き物を見つけたら、捕獲して、檻に閉じ込めて、最後はバラバラにして解剖しちゃうって噂聞いたことあるもん。
それこそ自分らみたいな獣人族の番なんて、剥製にされて見世物にされちゃうかもしれないよ？
…嫌だよ、大好きな君とこんなことで離ればなれになっちゃうなんて。
想像しただけでもゾッとする。
だからさ、今年のハロウィンもひっそりと隠れながらおうちで二人で静かに過ごそうよ。ね？いいでしょ？

甘い食べ物は苦手だけど、君のためならお砂糖たっぷりのお菓子だって作ってあげる。
仮装は…まぁ自分たちには必要ないか。
ご先祖様からもらった立派な耳と尻尾があるもんね！

…というわけで、人間界に行くなんて絶対反対！
駄々こねてもダメです。許さないからね。
…そんなに行きたい行きたいっていうけど…分かんないよ、自分には。
キミはわざわざ危険を犯してまで人間界に出向いて、何が目的だっていうのさ。
え〜？楽しそうだから、ただそれだけのために人間界へ行こうとしてるの？
退屈だって言うの？今の退屈で平和な日常が？
いいじゃないか、平凡で何にもないっていうのは素晴らしいことなんだよ？
獣人たちはニンゲンに見つからないようこっそり生きてきた歴史だってある。
あんまりうるさく騒ぐのは苦手な性格の子たちが多いのに、キミはどうにも目立ちたがり屋さんだもんなぁ。

…はぁ、君がここまで楽観主義だったとは。
…ならしょうがないか、こうなったら最終手段を使うしかないね。

（SE：手錠をかける音）

ん〜？何って、手錠かけてあげただけだよ。
これでもう何処にも行けなくなっちゃったね。
ダメだよ。外したりなんかしないよ。
だってキミ、どうせ初めから説得するつもりなんか初めからなかったんでしょ？
…逃げ出そうとか、抜け出そうって考えてたくせに。
だから～…これをこうして〜…えいっ！

（鍵を遠くに投げ捨てる）
（SE：鍵が転がる音）

えへへ〜…これでもう自力じゃ起き上がれないかな。
獣人用の特製手錠、結構高かったんだよ？
自由気ままな君を逃さないためにこっそり買っておいてよかったよ。

大丈夫だって。安心して。
ちゃんとハロウィンが終わったら外してあげる。
それに君は今、退屈よりも刺激を求めてるんでしょ？
それなら、自分にも出来るよ。
とっても楽しくて、心もカラダも気持ちよくなれる…そんな刺激的な事、いっぱい知ってるからさ。
というかむしろ得意な方だし。
もう我慢とかしなくていいよね、早速始めちゃおっか。
人間たちと戯れるだけじゃ味わえない楽しいこと…いっぱいしてあげるから。覚悟しててよね？

・台本（ゆるボイ！）
ハロウィンに人間界へ降り立とうと企むあなたを逃がさないようです
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ソライヌ