あなたは少し寂れた縁結びの神社に毎日参拝に来ています。そこには自称神様の少女が住んでいて、あなたは彼女と友人となり、交友を深めています。
神様であると語る彼女ですが、実は彼女の正体は狐です。神様のふりをして人間と仲良くなろうとしていました。ふと、した拍子に神様に疑問を抱いてしまったあなた。彼女は耳かきで誤魔化そうとしますが、褒められて気が緩んでしまい………
彼女はどうにか見捨てられぬよう、懇願します。

お！今日も来たな〜！！我が友よ！
我への供物、忘れてはないだろうな？
おお〜しっかり持ってきてるではないか〜！
感心感心！

どれどれ……おっ！昨日の供物は大福だな！
美味しそうじゃないかー！

さ！お前も上がるが良い！茶でも淹れてやろう！
それにしても、縁結びだかなんだか知らないが、こんな寂れた神社によく毎日参拝にくるなー！

(………)

え？自分の神社だろうって？
そ、そうだな！勿論、参拝に来る人間がいるのは喜ばしいことであるぞ！！
ほれ、そんな話はいいから上がるのだ！

もぐもぐ……う〜む！！中々に美味な大福だなぁーー！
どうだ？お前も食べるが良い！

(………)

ん？供物なのに自分も貰って良いのかだって？
はっはっはー！気にするな、気にするな！！
我からの施しであるぞ！！

おおー！お前もうまそうに食べるなぁー！
ほら、茶も飲め飲め！！

ようし！腹ごしらえも済んだことだし、今日は何をして遊ぼうか？
この前、お前が持って来てくれたとらんぷ？でも使って遊ぶか？それとも、裏の山に探検にでも……

(………)

ん？神様なのにそんなに毎日遊んでばっかで大丈夫なのかだって？

だ、大丈夫だ！なんたって我は優秀な神様だからな！お前と少しくらい遊んでたってどうってことないわ！！

んぇ？そもそもなんの神様なんだだと？

え、えっと………それはだな……ああー…えっと……そ、そうだ！あれじゃ、森の…じゃなくて畑のー……えーっと…

(………)

縁結びの神じゃないのかだって？
そ、そうだった！そうだった！
いやー、最近もっぱら参拝に来る人間も減ってしまったからなー！忘れておったわ！

な、なんだその目は！！本当だぞ！！
それに鎌をかけるなんて性格悪いぞ！

(…………)

あ、怪しくなんかないぞ！！そ、そうだ今日の遊びは中止だ！
その代わりに、日々会いにきてくれるお前に、感謝を込めてお前に耳かきをしてやろう！

誤魔化してなんかないぞ！！
いいから早く！ほら、特別に膝枕もしてやる！

良い子だぞー！素直なやつは好きだ！！

【耳かき開始】
ほれ、それじゃこっちの耳からやっていくぞー！

まったく、なぜお前は急に我が神様じゃないんじゃないかと疑い始めたのだ？

(………)

神様らしい事をしているところを見たことがないからだって？

そ、そんな事ないだろ！茶を注いでやったり、人の言葉を喋ってたり…それに何よりずっと神社におるだろう！

(………)

どれも別に神様じゃなくてもできる？
ぐっ……ええい！耳かきに集中せんか！

ほれほれ、もっと深いところを掻いてやろう。
どうだー？気持ち良いかー？

(………)

そうかそうか！くふふふ…！この耳かきだって、我が神様であるから成せる技であるぞー

(………)

それも神様関係ない…？う、うるさいぞ！
それに、お前は我の友人なんだろう？友達を疑うなんて酷いことなんだぞ！！

ふむ。大まかな汚れは取れたな。
次はこのふわふわの梵天で、細かな汚れも取ってやるぞ！
ほれ〜もふもふだぞー！

よーし！こんなところだな！！
おっ！そうだ。お前、ちょっとそのままじっとしてろー
(耳ふー)
どうだ？驚いたか？くふふ…！

よし！それじゃ次は反対側だな！

どれどれ〜
こっちの耳も綺麗にしてやるからなー

まずは浅いところから……
ほれほれ〜

お前が毎日、会いに来てくれて我はとっても嬉しいぞ
色々な土産も持って来てくれるし、遊びにも付き合ってくれるからな！

一応我だって、感謝してるんだぞ。
この耳かきだって、お礼の一つだからなー
な、なんだか照れくさいな…

こうやってのんびり過ごすのも、たまには悪くないなー！
お前といっしょなら、何をしてても楽しいぞ！

そろそろ、少しずつ深いところも掻いてやるぞー
危ないから動くんじゃないぞー
しっかり綺麗にしてやるからなー！

だんだんと綺麗になって来たぞー

よし！次は梵天だな。

ほーれ！もふもふ〜
細かい汚れも逃さんぞー

うむ！こんなところだな！
こっちもふーっとしてやるぞ！
(耳ふー)

くふふ…どうだ？耳かき、気持ちよかったかー？

(………)

そうか！そうかー！そんなに気持ちよかったかー！！ふふん！我に感謝するが良いぞー！こんなにうまく耳かきができる神様が友達でお前は幸せ者だ………
ん？なんだその顔は？

(………)

んぇ？耳？耳がどうし………
！！あっ！えっと！！これはその、ち、違くてだな……！！

(………)

尻尾！？こ、これも……！いや！えっと…その…………

…………ごべんなのだぁぁ！！
実は我…神様なんかじゃないんだぁぁ！
本当はそこら辺にいるただの狐なんだ……！！
今まで、神様だって嘘ついてたんだ…！！！

我、ずっと友達がいなくて…寂しくて……
それでこの寂れた神社を見つけて、神様のふりしてたら人間がやって来てくれるかなぁなんて思いついて…

で、でも！どこかで言い出そうとはしてたのだ…！
だけど、神様じゃないってバレたらまた一人ぼっちに戻ってしまうと考えると怖くなって…
どんどん、どんどん言い出しにくくなって…

(………)

お、お前…と友達っていうのは嘘じゃぞ！！！ほ、ほんとだ！！
だ、だからお願いだ…！！我を一人にしないでくれ……！

(………)

……ふぇ？一人にしない…？
そ、それじゃあこれからも友達でいてくれるのか…？

(………)

ほ、本当なんだな！！？嘘じゃないだろうな！？
………よかったぁぁぁ！！よかったぞ！！
我、また一人ぼっちになってしまうかと思った…

(………)

そうだな…友人に嘘をつくなんて酷いことだな…
もう反省したぞ！これからは神様の我としてではなく、きちんと狐の我としてお前と友人…いや親友として参ろう！！

お前のような優しい奴に出会えて、我は幸せものな狐だな！
では、改めて……これからもよろしく頼むぞ！
我が親友よ！！

・台本（ゆるボイ！）
神様のふりした狐っ子の懇願耳かき
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
しゃみがめ