霊的な小動物などを使役して活動する飯綱使いの主人様と使役されている管狐のあわものお話です。
飯綱使いとして有能な主人様にはたくさんの依頼が舞い込みます。真面目な主人様は多少無理をしてでも困っている人を助けようと依頼をこなし続けます。目に見えて疲労している主人様の事が心配なあわもは、主人様を耳かきで癒してあげることにします。

人物
主人様(聞き手)：真面目で優秀な飯綱使い。高い妖力と優秀さ故に故郷の村では妬まれ、恐れられ、半ば追い出されるような形で村を出た。現在は旅をしながら人助けをしている。

あわも：主人様と主従関係にある管狐。少女の姿に化けることができる。強い力を持つ故に幼い頃に群れを追い出され、弱っているところを主人様に助けられた。明るく奔放な性格は元来のものであるが、自身の心を守るために身につけた鎧でもある。抜けているところもあるが器用で優秀。主人様に釣り合う能力を持つ数少ない存在。主人様のことが大好き。

舞台：野営中、森の開けた場所
使用する道具：竹耳かき

———これでよしっと！
今日も難なく依頼解決ですねっ！主人様！！

名うての飯綱使いである主人様と天才秀才、美少女管狐のあわもちゃんにかかれば楽勝です！

村長さんは村の奥にある祠の神の祟りがなんたら〜とか言ってましたけど、そこら辺の狸がいたずらしていただけでしたね〜

それにしてもご主人、最近は前にも増してたくさん依頼をこなしてますね。

(………)

まぁ確かに最近各地で妖や狐狸達が活発になっていますし、困っている人が多いのも事実ですが…

いくら主人様が有能とはいえ、働き過ぎは体に毒ですよ！！

そーこーでー！
有能で主人様思いなこのあわもが！
主人様を耳かきで癒して差し上げましょう！！

ちょ、ちょっとー！
なんで嫌そうな顔してるんですか！！

(………)

鼓膜ごと貫かれそうで怖い？
そんなことするわけないじゃないですか！！
そりゃもう丁寧に慎重にお耳を掃除しますよ！

(………)

そもそも耳かき棒なんて持ってないだろって？
ふっふっふっーー！！
こんなこともあろうかとこのあわも！いつも懐に忍ばせていたのです！

じゃーーん！！竹の耳かき棒にございます！
しかもあわもの妖力と主人様への愛を込めたを込めた特別仕様！
これで主人様を骨抜きに…じゃなかった、癒しまくりますよー！

ささっ！そんな顔してないで早くあわものお膝に寝転んでくださいな！

はい、ごろーん！
ふふふ！いつもかっこよくて頼りになる主人様も、膝枕されてるとなんだか可愛いですね。

あ！待ってくださいって！！
からかってないですよ！
待って！待って！！竹筒に戻そうとしないでぇー！！

はぁ…はぁ……
冗談ですってばぁ！主人様ぁ！
…こほん！では、気を取り直して寝っ転がってください！

よしよし〜！良い子ですよー！！
さあ！観念してしっかり癒されてくださいね！

【耳かき開始】
それでは、こちらのお耳からやっていきますね。
危ないから動いちゃだめですよー

まずは浅い所からじーっくりと耳かきしていきますよー！

痛かったり、くすぐったかったりとか、何かあったらすぐに言ってくださいね！

ほぇー人間さんのお耳ってこんな感じになってるんですね。
主人様のお耳をこんなに近くで見るの、あわも初めてです！

私のもふもふなお耳とは違ってつるつるだけど、とっても柔いですね。
傷つけないようにっ……と

ふふーん！どうですか主人様？あわもの耳かき！
気持ちいいですかね？

(………)

そうですか！そうですか！
あわもちゃん…やはり天才でしたか…！！

(ガリッ)
あっ
あ、主人様！大丈夫でしたか！？痛くなかったですか！！？

(………)

よ、良かったです〜〜〜
えへへ、ちょっと調子に乗りすぎちゃいました。
しっかり丁寧に続きしますね！

さっきも話しましたけど、最近の主人様は働きすぎですよ！
困っている人を助けることも大切ですけど、主人様が無理して怪我でもしたらと考えると……
このあわも、夜しか眠れません！！

(………)

夜眠れるなら十分って！
心配であわもちゃんの優雅なお昼寝が邪魔されてるんですよ！！
全くもう…！

………本当に心配してるんですからね…

よし！こっちのお耳は良い感じに綺麗になりましたねー！

あっ！そうだ！
主人様、ちょっとじっとしててくださいねー

(耳ふー)
ふふっ！くすぐったかったですか？
次は反対側のお耳を耳かきしますから、またごろーんってしてください！

はーい！それじゃこっちのお耳も始めていきますよー！

こちらも浅い所から始めていきますよー！

もしも……もしも主人様が、私を拾ってくださらなかったら今頃私は何処でなにをしていたのでしょうか

まだ幼いのにも関わらず群れの狐の中でも飛び抜けて妖力が高かったせいで、仲間からは怖がられ、両親から見放され、群れからも追い出されて

何日も食べ物にありつけず、倒れていたところに主人様が通りかかってご飯を分けてくれました。
そして名前も。

ふふっ！
もし主人様に出会わなかったら、今頃未練まみれの悪霊になっていたかもしれませんね。
しかも、高い妖力を持った大妖狐に！

主人様も、能力がある故に故郷の村から追い出されたって言ってましたよね。

やはり、あわもと主人様は似たもの同士ですね！
運命の出会いだったのです…！

あわもはいつもこんな調子ですけど、主人様には本当に、本当に感謝してるんですよ。

それに主人様のことが大大だーーーい好きです！！

にへへ……いつも想ってることとはいえ、改めて言葉にするとなんだか少し恥ずかしいですね…

だから、あまり無理しすぎないって約束してくださいね。

(………)

本当ですからね！もし次無理したらあまも、本気で怒りますからね！！

…これからもよろしくお願いしますね！主人様！

それじゃ、こっちのお耳もこのくらいにしときましょう！
やり過ぎもよくないですからねー

(耳ふー)
仕上げもバッチリです！

はい！終わりましたよ！主人様！

ねえねえ！！
どうでしたか！？どうでしたか！？
あわもの耳かきーー！

(……….)

そうですよねーーー！気持ちよかったですよねーー！癒されちゃいますよねーーー！！！

あぁ！初めての耳かきだったというのに、こんなに上手にできてしまうなんて……
溢れる自分の才能が恐ろしいです…！！

って…あっ！ちょ、ちょっと主人様！！
置いてかないでくださいよ！
待って！待ってください！主人様ー！
待ってってばーー！！！！

・台本（ゆるボイ！）
管狐ちゃんは大好きな主人様を耳かきで癒したい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
しゃみがめ