病院で入院中のあなたは、看護師さんに看病をしてもらいます。
しかし、担当の看護師さんはため息ばかりで、あなたのことが好きじゃないみたい。
どうにか会話をしようと試みますが、どれだけ頑張っても優しくしてくれないどころか蔑まれるばかりで……

　（扉をノックする音）

失礼します。
時間になりましたので、お食事をお持ちしました。

　（こちらに歩み寄り、机の上に食事を置く）

ああ、それと、いつものようにこちらのお薬を飲んでください。

いいですか、食後ですよ？
きちんと飲んでくださいね。
では、私はこれで……

……はい？
食べさせて欲しい？

　（※鼻で笑うような感じで）
はぁ？ どうして私が食べさせないといけないんですか？

……たしかに、あなたは両手を怪我しているかもしれませんが、だからと言って食べられないわけでもないでしょう？

いちいち構ってあげられるほど、看護師は暇じゃないんです。

あなたは大人ですよね？
これくらい、自分で食べてください。

……はぁ？
他の看護師は食べさせてくれたぁ？

はぁ～～。（ため息）

わかりました。
食べさせればいいんですね？

　（隣に腰かけてスプーンを手に持つ）

ほら、口を開けてください。

　（無理やり口にねじ込む）

本当は消化に悪いので、ゆっくり食べたほうがいいのですが……。
でも、私も忙しいので、とっとと飲みこんでください。

ほら、早く。

　（着々と胃袋に収めていく）

手間のかかる人ですねぇ。
さっさと噛んで、飲んでください。

味なんか気にしてる場合じゃないです。
どーせ大した味じゃないんですから、味わう間もなく食べてください。

　（食べ終わる）

……はぁ。やっと食べ終わった。
あなたって、病院のことを何か勘違いしていますよね？

いるんですよねぇー、看護師のことを何でもやってくれるお手伝いさんくらいに思ってる人。

そういう人って……、ほんと迷惑です。
とっとと退院して、出てってください。

……はぁ？ それはねぎらいの言葉かって？

はあ、本気でそう思うのであれば……勝手にそう捉えといてください。

　（※独り言っぽく）
よし、終わり終わりっと。
急な仕事が増えて面倒だったなぁ～。

じゃ、薬はあとで飲んでおいてくださいね？
そこまで面倒見てあげられませんから。

では、お疲れ様です。

＊＊＊　
　（翌日）
　（勢いよく扉が開き、物凄い剣幕で看護師さんが入ってくる）

あなた、いい加減にしてください。
私、言いましたよね？
ちゃんと薬は飲んでください……、って。

昨日の昼も、ちゃんとそう言いましたよね？
それなのに……、これは何ですか？

　（薬を差し出す）

先ほど、ゴミ箱の中から発見しました。

昨日、あなたが飲んだはずの薬です。

しかも、一つや二つではありません。
あなた、長い間薬を飲んでいませんね？

　（はいと答える）

はぁ～～～～（クソデカため息）

あなたって人は、本当に人に迷惑をかけるのが上手ですね。

どうして薬を飲まないんですか？
早く退院して、自由の身になりたくないんですか？

……薬が苦いから飲みたくない？

チッ。　（※舌打ち）
はぁ……、ほら、今からでも遅くないです。
今すぐこれを飲んでください。

嫌だ……、って。

　（※怒った様子で）
あなたという人は、本当に面倒ですね。
どうしたら飲んでくれるんですか？
立派な大人なのに、無理やり飲ませてあげないといけないんですか？

……はい？ 条件がある？
なんですか、言ってみてください。

「あーん」をしてくれたら飲んであげる？

何を言っているんですか？
さっきからふざけたことを……っ！

　（怒りを飲みこんで冷静になる）
　（数秒の間）

はぁ……いいでしょう。
そうしたら、ちゃんと薬を飲むんですね？

仕方がありませんね。
この程度のことで手間が一つ消えるなら、やりましょう。

さぁ、口を開けてください。

あーん……。

　（SE：ごくりと飲みこむ音）

飲みましたね。

はぁー、どうしてそんな幸せそうな顔をしてるんですか。
全然苦くなさそうなんですけど、それなら最初から飲んでおけばよかったのに……。

あーんされたら苦くない？

そんなわけないじゃないですか。
適当なこと言わないでください。

……ちょっと待ってください。
今気づきましたけど、もしかして、これからも薬を飲むときは、私が「あーん」って、してあげないといけないんですか？

めんどくさ……。

あなたって、本当に手間のかかる患者ですね。

本当に迷惑です。

あなたも、さっさと退院したいと思わないんですか？
私はあなたの世話をしたくありませんが、あなただって白い目で見られながら過ごしたくないでしょう。

薬だって、甘いものと一緒に食べるとか、飲み物で流し込むとか、いくらでも対策はありますよね？

まさか、その程度のことが思いつかないほどバカじゃあるまいし……
薬を飲まずに病院に居座る理屈がわかりません。

もしかして、頭の検査もしなくてはならないのでしょうか……。

　（数秒の間）

……は？
退院したら私に会えなくなるから？

　（※心底嫌そうに）
う、うわっ……いま背筋がゾゾゾってなった……！
え、それ本気で言ってませんよね？

マジで気持ち悪いんだけど……
うわ、ちょっと、近づいてこないで！

あぁー、あのぉ、もう無理ですね。
私のこと、そういう目で見てるなんて思いませんでした。

とりあえず、担当は交代してもらいます。
あなたの担当とかもう無理だし、世話してあげるとか絶対ヤだ。

はあ～～まだ鳥肌たってる……。
あのさ、前にも言ったけど、病院をキャバクラかなんかと勘違いしてます？

だったら、やめた方がいいですよ。

そういうの、キモチワルイから。

あーあ、やっぱ頭の検査もした方がいいよぉ。
絶対異常出るから。異常出ないとおかしいから……。

ま、でも私にはもう関係ないから……、どうでもいいんですけどね♪

じゃ、私、もう行きますから。

　（※満面の笑みを浮かべて凄く嬉しそうに）

今日もお疲れ様でした。
明日は別の看護師が参りますので、何かあればその方におっしゃってください。
もう二度と会うことはありませんが……、それでは、今までありがとうございました！

・台本（ゆるボイ！）
ため息ばかりついてる看護師さんに言葉責めされ尽くす話 【完全屈服/ドM向け】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
らくがき