やる気がおきない、そんな日。
Sっ気のある彼氏が、あの手この手を使って彼女のやる気を引き出します。

【同棲中の恋人同士を想定。

彼女＝大学生、彼＝社会人。

彼女は、学校の課題に追われている】


◆彼女の部屋に入って来る彼氏

ねえ、まだ終わらないの？

「課題ぜったいに終わらせる」

って言ってさ、

もう夜になっちゃったけどー？


おっ、どれどれ。

（PCを覗き込む彼）

って何これ、３行しか書いてないじゃん。

てか、何ベッドに寝っ転がってんの？

体調悪いんだったら、ちゃんと言えよ。

え、違う？

目をつぶって構想を練ってただけ？

あ…そう。


じゃあ、この開きっぱなしのマンガは？

え、課題の参考文献？

「異世界転生がうんたら」

って書いてあるけど？

へーー、とっても面白そうな参考文献だねーー（棒読み）

俺も読んでみた―い（棒読み）


…お前さぁ。

この間もそうやって、朝まで爆睡して、

「締め切りがー！」

ってパニクって、

結局俺に泣きついて来たよな。

あん時は手伝ってやったけど、

俺は「便利な妖精さん」じゃないんだけど。

あー同じ過ちを繰り返しちゃうんだー。

なーんて悪い子なんだろーねーー。


ったく…そんな目で見てもダメ。

そうだなぁ。

今日はいつもと違う手で、

「気合い」を注入してやらないと…だな。


（手をパンっと鳴らす）

はい！

まずはベッドから降りて。

言っとくけどこれ、「お願い」じゃなくて「命令」だから。

３秒以内に。

３、２、１。

はい、よろしい。

じゃあ椅子に座って、姿勢を正して？

よし次。

ちょっと目をつぶって、待ってて。


◆再び、彼女の部屋に戻って来る彼

（ジャラジャラと鎖の音がする）

はい、とりあえず、これでいい。

…痛くないか？

そう、鎖。

椅子にゆるーく巻いてっと。

（鎖でゆるく固定される彼女）

よし、ひとまず完了。


（耳元に近づく彼、優しい口調）

…お前が頑張ってるのは知ってるよ。

ほんとは、やる時はやる子だもんな。

でも、今頑張んなきゃ、

俺たちだけの貴重な時間が、先延ばしになるでしょ？

ただでさえ社会人と学生って、ペース合わせんの難しいのに。

それに…明日は記念日だろ？

お前としたいこと、たくさんあんだよ。

（吐息まじりのささやき）

俺だって、普段忙しくて構ってやれてない分、

明日はお前に、たっぷりしてあげようって考えてんだ。

え…何を？

そんなの秘密。

誰にも言えないくらい、特別なコト。

まあとにかく、お前が課題でズタボロになってたら心配だし、嫌なんだよ。

分かった？

はい、じゃあスタート。

んじゃ俺、家事とか終わらせてくるから、あとでな。


ちゃんと頑張らないと、今度は…

痛いくらい、ギッチギチに縛り付けるからね（低音）


◆数時間後、再び彼女の部屋に入る彼

どう？

終わり、見えてきた？

おっ、だいぶ進んで………


ないじゃん。


おいちょっと待て、スマホ隠すな。

ほら、見せて。

（彼女のスマホをぶん取る）

えっと、これは誰の生配信かな。

まあ、誰でも良いけど。

何？作業BGMにしてただけ？

そっかー。でさ、

「やる気でないよ～

てか癒されすぎて寝落ちしちゃ～う♪」

だって。

これ、お前がつけたコメント？


はあ…

お前って本当に図太いとうか。

本っ当にいけない子だな。

まだまだ気合、入れる必要があるみたいだね…


◆部屋を去り、戻って来た彼は、お皿を持っている

…いい匂いだろ。

これなーんだ？

カステラ？

いーや、ただのカステラじゃないよ。

台湾カステラ。

お前の大っ好きなコーヒークリームをサンドしたやつ。

ふわっふわに焼けてるだろ？

この間、あの店で売り切れてて、

お前が残念がってたからさ…。

俺がわざわざ再現してやったの。

どう、初めてにしては、なかなかの出来だと思わない？


そんじゃ、いただきまーす。

（彼女の目の前で、カステラを頬張る彼）

はふ……やべぇ、うまっ。

出来立てが一番うめー。

こりゃ冷めたら味落ちるわー。

美味過ぎて、これなら余裕で一人でいけるわー。


…何その顔？

ハハッ、おあずけ食らった犬みたい。

やる事終わってないんだから、当然だろ？

あれ、目がうるんでるねぇ。

いいよ、泣いて。

まあ、泣いたって状況は変わらないけど。


（小声で何かをうったえる彼女）


なーに？

聴こえないんだけど。

もっと大きい声で。

「今度こそ本当に集中する」って？


はぁ…（ため息）

仕方ないな。

一口、やるよ。

糖分補給も、必要だろ？

でも、今は一口だけな。

課題終わったら、いくらでもやるよ。


…ほれ。

何だよ、早く口あけろ。

「あーん」

してやるから。


美味しい？

…良かった。

じゃあ、もっと食べたかったら頑張れ。


◆数時間後

（課題が終わった彼女）

お、どれどれ。

よしよし、頑張ったな。


てかお前、食べ物チラつかせるとマジで頑張るな。

…ばーか。

そういうとこが可愛いんだよ。


頑張った分、明日はたっぷり、

甘やかしてやるよ。

絶対、素敵な記念日にしような。


そんじゃあ、

お疲れさん。

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレ彼氏がやる気の出ない貴方にアメとムチ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
市 砂鳥