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月に焦がれ蛍
written by 水谷 翡翠
  • 切ない
  • 純愛
  • 和風
  • ひすいの台本
  • 歴史
  • 戦国時代
公開日2022年12月30日 02:36 更新日2023年01月09日 23:13
文字数
309文字(約 1分2秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
男性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
戦国時代の小性
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
時代は江戸初期〜、想いは通じ合っても結ばれない身分違いの恋です。源氏物語になぞらえちゃうほどの恋をしてしまいました。

・桧皮色(ひわたいろ 黒がかった茶色)
・玉鬘(たまかずら 美髪の意味「流れゆくままならないもの」源氏物語の登場人物であり第二十二帖の巻名)
・光る君(光源氏)
・蛍(語り手の比喩 源氏物語第二十五帖の巻名)
本編
慣れた手つきで、簪(かんざし)を抜けば、
絹の束かと紛(まご)うほどの髪が広がる。
桧皮色(ひわたいろ)に指を通し、
月明かりに透けさせる。
己だけの玉鬘(たまかずら)に顔を寄せ、
鼻先を擦り付けると、
擽(くすぐ)ったそうによじる細腰(ほそこし)。
せめて光る君に成れるのであれば、
どれだけ良いか。

横顔照らす蛍は
恋歌(れんか)を詠(うた)うことを許されない。
この月が出ている、今だけでも、と、
逢瀬(おうせ)の夜に願いをかける。
云(い)えぬ言葉を指先に込め、
柔らかなぬくもりを
掻(か)き抱くしかないのだ。

彼女は水面(みなも)の月だ。
清らかな水辺でしか生きられぬ蛍は、
覗き込めば溺れてしまい、
触れられるのに、
波紋(はもん)となって心をさざめかせる。

そして本物は手の内に落ちてこないのだ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
月に焦がれ蛍
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
水谷 翡翠
ライター情報
和物を書くことが好きです。
もともとはnanaで書いていましたが、他媒体でも読んでもらえるように一部をこちらに掲載いたします。主に90秒前後で読める台本や台詞が多いです。
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