おはよう
といっても、僕はもうそろそろ休むけどね
きみの食事を持ってきたよ……

……！

何をしているんだ
窓から離れろ

何を見ていた？

今何を見ていたのかときいているんだ

あれは……
近くに住む羊飼いの娘か

そうか
いつもこの時間にここを通るのか

まさかきみは……ここから助けてくれと合図を送ろうとしていたのか？

違う？違うならなぜあんなに熱心に眺めていたんだ？

もしかして……
もしかして、あんな娘がきみの好みなのか？

そうだな……あか抜けない娘だが
初々しくてかわいらしい

あの娘は僕とは正反対だね

君と同じ、昼の世界の住人だ

なんだそれは？

慰めのつもりか？

同情はいらない
わかっているんだ
きみが僕をおそれ憎んでいることくらい
だけどかまわない

きみはここから逃がさない
もう僕のものなんだから

今後誰かを、あんなふうに見つめるのは許さない
今すぐ思い知らせてやりたい
ほかの人間なんか全部忘れさせてあげる

かわいそうにね　また少し痩せたのかな
こんなに簡単にぼくの腕で……

ほら、鏡を見てごらん

こうして鏡を見るたび
髪をとかすたび
きみは思い出すんだ

この首筋の痣は誰につけられたの？

痛い？
何度も吸われて敏感になってるのかな？
少し触っただけでそんな顔をして…

驚いたな
君が初めてだよ
僕をこんな気分にさせるのは

ああ、時間切れだ
もうすぐ日が昇る
あの忌々しい光が

もう行かなければ

でも日が沈んだらまた来るよ

今夜は……覚悟しておけ

（おわり）

・台本（ゆるボイ！）
【喧嘩】独占欲の強い吸血鬼に嫉妬される
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
クリスらびっと