白雪姫の母が病死し、新しい母がやってきました

年の差１０歳くらいしかないものすごい美女だったので
むずかしい年頃になった白雪姫は、こっそり手を出して叱られ
家出してしまいました

継母は自分に責任があると思い、説得して連れ戻そうとやってきますが
白雪姫は家出先のたまり場に居座り、いつのまにかボスみたいになっています

またあなたですか、おかあさま
性懲りもなく私を連れ戻しに来たのですね

そんなみすぼらしい服を着て平民の女に変装までして...
よく恥ずかしくないですこと

二人だけで話したかった？
いいえ、リンゴは結構です
またあのいまいましい狩人が、私の居場所を告げ口したんだわ

何度も言ったじゃありませんか　私は城には戻らないと

戻ってどうしろとおっしゃるのです？

作法を身に着け　勉学に励み
やがては政略結婚....
かつてあなたがこの国に嫁いだようにね

でもお妃さま
あなたはお父様を愛してはいらっしゃらない

実の母がどうだったのか、もう覚えてはいませんが
二度目の妃であるあなたのことは
ずっと見てきたからわかります

あなたは私と同じ種類の人間なのです

だからって夜な夜なひとりさびしく鏡と戯れて
みじめじゃありませんこと？

あなたが何よりも愛しているのはご自分の姿

なぜそうなったか、私知っていてよ
それは
自分以外の誰かを愛して傷つくのが怖いからよ

ええ、愛
愛なんて政治には必要ない
そうでしょうね

ですから私は王女にはふさわしくないのです
そう申し上げたではありませんか

ええ、かまいません
地位も財産もすべてを捨ててここへ来たのですから

ですがあなたはそれがお気に召さない
なぜなら　お父様と再婚した以上、あなたにも家族としての責任がある
私が王女にふさわしい生き方をしなければ
あなたも母としての面目を失ってしまうのですから

違う？　何が違うのです？

私のことを思って、ですって

ああ、それが本当ならどんなに嬉しいかしら

いいでしょう　そこまでおっしゃるのなら
どうか証明してください
まじめでおやさしいお母さま
私を想うその気持ちが本当かどうか
今ここで見せてください

（手をたたく）

おまえたち
この女の両手を縛って！

天井からつるしておしまい

....

ああ、お妃さまはとても綺麗

でもご存じでしょう？

一番美しいのはいまや私

なぜだかおわかりですか

それは時代が変わったからですわ

いいえ、あなたが年老いたと言ってるんじゃない
あなたは今だって女ざかり

でも、人がどんな種類の美しさを求めるかは
時とともに変わるんですわ

あなたはあなたの時代に求められた美しさを体現した

けれどその時代はもう過ぎ去った

それに、あなたにはまだ足りないものがあるみたい

何だと思います？

ご両親に言われるままこの国に嫁いだあなたは
まだお父様以外の男を知らない
だからあなたは　情熱も快楽もご存じないのです

ふふ　図星でしょう
でも不公平だと思いません？

お父様には妾が５人もいらっしゃるのに

私が知らないとでも思いました？
宮廷はこの世で一番みだらな場所だというのに
いつまでも無邪気な子どものままでいられるとでも？

そう、お父様の妾...
あの女たちは野心家の地方貴族
お父様に取り入るためならどんな手段も選ばない
そんなこざかしい女たちの手練手管に
生まれながらに地位を約束されたあなたがかなうはずもない

でもまじめなあなたは考えた
国の同盟のために嫁いだのだから
幸せなど望むべきではないと

せめて前王妃の子である私の教育に生きがいを見出そうとしたのに
私はちっとも思い通りのいい子じゃない

だからそんなに焦ってらっしゃるのだわ
そうでしょう、お母さま
リンゴ売りのふりなんかして、私と二人きりでお話ししたいですって
笑わせないで

最初に私を拒んだのはあなたの方よ
あの日　あの夜のことを　忘れたとは言わせませんわ

確かに、私の愛は
あなたが望んだようなものじゃなかった
なぜなら私は　愛人としてあなたを求めたのですから

ですがこれっぽっちも恥じてなどいませんわ
あなたが父と再婚して城に来た時から
あなたは私の憧れだった

なのにあなたが信じるのも愛するのも
嫁入り道具の大切な鏡だけ....

いいでしょう
そんなに鏡がお好きなら

（手を叩く）
あの姿見をここへ持ってきて！！

ほらお妃さま、あなたの大好きな鏡ですわ

あなたのほど豪華じゃありませんけど

映りはきれいよ
粗末な服を着て両腕を天井から吊られたご自分の姿が
よーくご覧になれますわ

平民の服の着心地はいかがでした？

絹しか着たことのないあなたのお肌には粗すぎて
こすれて痛くなってきたんじゃありません？

さあ、はやくこんな邪魔なものは脱いでしまいましょう

....

あら　粗末なドレスの下にはちゃんと上等の肌着を着てるじゃありませんか

そんなことじゃあなたの変装もたいしたことないですわね
あなたの覚悟はその程度のものだったんですの？
どうせなら身も心もリンゴ売りの女になりきってしまえばいいのに

でも残念
私たちがほしいのはこんなありふれたリンゴじゃないんです
あなたのドレスの中の極上の果実を見せてくださらなくちゃ

ああ、なんてやわらかな肌
さすがお妃さま
お手入れがよろしいですこと

遠慮はいらないよ　おまえたちも触ってごらん

あら、怖がらないでくださいな

鉱山で働く者たちですけど、私が身をもって教えたのですから

あなたのように気位の高い高貴な女をどう扱えばいいかってことを

お年を召したお父様なんかじゃ物足りないでしょ

本心では何を望んでらっしゃるの？
正直におっしゃいなさい

ほら、おまえたちもやっておしまい

・台本（ゆるボイ！）
【百合】ドＳな白雪姫がナルシストな王妃にお仕置き
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
クリスらびっと