帰路に就こうとしたあなたに、声をかけてきた女性
帰る方向が同じなので一緒に帰ろうと言われ、一緒に帰る事にする

キミ、今１人かい？

これから家に帰るのかな？

私も今から帰るんだが、方向が同じなら一緒に帰らないか？

最近は日暮れも早くなってきたし、夜道は危ない。

２人の方が安全だろう？

一緒に帰って良いのか？

ふふ、ありがとう。

じゃあ帰ろうか。

(空ける)

キミはいつも、この道を通って帰るのか？

ここは人通りも少ないし、誰かに襲われたら助けも来ないよ。

どうして、ここを通るのかな？

(空ける)

近道って……それで危険な目に遭ったらどうする？

キミ、見たところ、まだ若いだろう？

これから、いっぱいやりたい事があるんじゃないのかい？

命あっての物種だろう？

明日からは人通りの多いところを通って帰りなよ。

(空ける)

いや、何故そんな頑なに拒否するの？

近道と言っても、たかが１０分、２０分程度だろう。

こんな危険な道を通って帰るより、少し時間が延びても安全な道を選ぶべきだよ。

ほら、私達の数メートル先に人が居るだろう？

あれは、強盗だよ。

キミを狙っているようだ。

何故分かるのかは秘密だ。

言っておくが、グルではないよ。

そのまま歩くんだ。

私がキミを守るから、安心してくれ。

(空ける)

む？。走ってきたな。

しゃがめ！

(向かってきた男に蹴りを入れる)
ふんっ！

おや、一発で気を失ったか。

悪いが警察に連絡してくれないか？

生憎、私は連絡出来るものを持っていないんだ。

(空ける)

よし、警察の事情聴取も終わったし、帰ろうか。

ん？。キミはそちらの方向か。

私はこっちだから、ここでお別れだな。

もう１度言うぞ。

今日、強盗も出たんだ。

明日からは、人通りの多い場所を通って帰るんだぞ。

もし、どうしても、ここの道を使うと言うなら、転ばないように気を付ける事だ。

足下には気を付けるんだぞ。

(空ける)
(数日後の夕方)

おや？。また会ったね。

最近は見かけなかったから、私の忠告を聞いてくれたと思っていたんだが。

今日は急いでいるのか。

私も今から帰るんだ。

一緒に帰っても良いかな？

(空ける)

ありがとう。

では帰ろうか。

(空ける)

今日は随分と急ぎ足なのだな。

そんなに急いでいると転ぶ――

(ＳＥ : 転ぶ音)

はぁ……。

数日前に忠告してやったのに……キミというやつは。

危ないからやめておけと忠告したにも関わらず、この道を通り、あまつさえ転んでしまうとは。

誤魔化さないのは、真面目ゆえか？

なら、私もキミを守ってやる事は出来ないよ。

キミはとても良い人だったんだが……残念だよ。

(空ける)

何を言っているのか理解出来ないという顔だな。

私はな、送り狼という怪異なんだ。

人の後ろをついて歩き、その人を危険から守る。

だが、転んでしまうと、食い殺される。

聞いた事くらいあるだろう？

キミは、私が大丈夫か？と聞いた時「転んだだけ」と、そう言ったね。

つまり、そういう事だよ。

おや、私から逃げるのか？

逃げても無駄だ。

私は獲物を逃がさない。

あはははははははは！

(少し間を空けてから)

(狼のような唸り声、噛みつくように)
ヴゥゥゥゥ！ガアアアヴゥ！！

・台本（ゆるボイ！）
帰り道には気を付けて
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
如月英梨