校則厳守の風紀委員長
みんなの服装などを毎朝チェックしている
そんな風紀委員長には、誰にも言えない秘密があった

ちょっと、あなた！

スカートの丈が短いわよ！

それとリボンを緩めない！

校則で決まってる服装くらい守りなさい！

風紀を乱さないで！

こら！あなたのその髪型は何なの！

整髪料なんて使っては駄目よ！

そういうのは、休みの日にしなさい！

学校にしてくるものではないわ！

そこ！歩きスマホをしない！

持ってくる事は認められてるけど、歩きながらスマホを操作するのは、校則以前の問題よ！

事故の原因になるわ！

あなた達！学校でイチャイチャしない！

学校は勉強をするところよ！

リア充を見せつける場所ではないわ！

私が彼氏居ない歴イコール年齢だからって、見せつけないで！

学校と私の風紀が乱れるわ！

全く……みんなして風紀を乱して、うんざりだわ……。

休みの日に、いくらでも出来るでしょうに。

本当は校外でも模範的な行動を心掛けてほしいけど、あまり抑制しすぎると不満が爆発してしまうから、ある程度の許容は必要よね。

あっ、お、おはよう。

あなたは、いつもしっかりとした身だしなみを心掛けていて素敵よ。

みんなも、これくらいしっかりと守ってくれたら良いのに……はぁ……。

それじゃあ、今日も１日頑張ってね。

彼……本当に規則正しくて素敵……。

(放課後)
(ＳＥ：チャイム音)

(ＳＥ：教室のドアが開く音。引き戸なのでガラガラなど)

(教室の中を見渡して誰も居ない事を確認する)

だぁれもいませんよねぇ〜？

えっと、彼の席は〜っと。

おっ、ここね。

(目当ての物を見つけて半ば発狂気味に)
はぁ！！

みつけた……(ｼﾞｭﾙﾘ)

これが……今日、彼が体育で着ていた体操服……。

今日はマラソンだったから、いっぱい汗をかいているはず……。

そ、それでは……いざ、出陣！

(体操服に顔を埋める)

(体操服に顔を埋めているので、籠もった感じの声)

スーハー！スーハー！スーーーー！！

パッハッハアアア！！

鼻から全身に駆け巡る芳醇な香り。

脳に響く素敵な匂い。

癖になるわ……スー！ハー！

ンッフフ……フヘヘ……。

これは風紀を乱す代物ですねぇ〜。

私がしっかり確認して取り締まらないと……ｼﾞｭﾙﾘ。

(体操服の下を見つけて、最初の時より発狂気味に)
ハアア！！

見ぃ〜つっけた♪

体操服の下……。

上よりも凄い匂いがしそうね。

そ、そそれではぁ……いただきま〜――

(ＳＥ：教室の引き戸が開く音。ガラガラなど)

はっ！！

あ、あなた、何故ここに……

はっ！

こ、これは違うの！

あ、あなたの体操服が落ちてたから、元の場所に戻していただけで！

えっ、袋に仕舞ってたから、私が体操服を持っているのがおかしい……？

あっ……いや……その……さ、最近、風紀の乱れが目立つから、わざと持って帰らず学校に置いていて、中に不要な物でも入れているのかと思って、それで……その……あの……えっとぉ……。

えっ……？

あなたは、私の風紀委員長としての姿に惚れたの？

まさか……両想いだった……？

嘘……えっ？

本当に両想い……なの？

そ、それじゃあ私と――

えっ……げ、幻滅した……って……そんな……。

(間)

(スライディング土下座)
あ、あなたの体操服の匂いを嗅いで、すみませんでしたああああああ！！

欲望を抑えられませんでした！

いつも校則をしっかり守っていて、素敵な人だなって思って、気付いたらあなたに惹かれてて、意識し始めると、どんどん自分を抑えられなくなって、あなたの甘い匂いを嗅いでいたら我慢出来なくなって、汗の染み付いた体操服の匂いを嗅いで、全身であなたを感じていました。

何でも致しますので、どうかこの事はご内密にお願い致します。

何卒……何卒、ご容赦いただけますと幸いに存じます。

つきましては、私の身体でお支払いをさせていただこうと考えている次第です。じゅるり。

(間)

は、はい……私の風紀が１番乱れておりました。

返す言葉もございません。

私は彼氏居ない歴イコール年齢の陰キャ風紀委員長です。

こんな変態行為を平然と行うクズです。

あっ、今すぐ教室の窓から身を投げましょうか？

私のような風紀の敵がここに居ると、あなたまで汚れてしまいます。

は、はい、それはしなくて良いのですね。

ご慈悲に感謝致します。

えっ、た、体操服ですか？

す、すみません！

ずっと私が持っておりました。

お返し致します。

えっ、顔を上げて？

(体操服を顔面に押し付けられる)
こ、こうでしょうか――むぐっ！？

(押し付けられているので籠もった感じの声)

いきなり何を！？

スーハー！

い、息が出来ない！

スーハー！

く、苦しい！

スーハー！

ぷはっ……死ぬかと思った……最高……。

は、はい！

これが大好きです！

へ、変態って……言わないで下さい(ｿﾞｸｿﾞｸ)

はい？

何でも言う事を聞くのか、と？

も、勿論です！

このような行いをしてしまったのですから、どのような仕打ちでも受ける所存です。

早くご褒美を下さい！

じゃなくて、罰を与えて下さい！

(間)

ふぇ？

僕の彼女になれ？

そ、それはどういう……。

あなたは、風紀委員長としての私を好きになったんじゃ……。

私のような変態は目を離せないから、あなたが監視する、と？

しかし、本当に良いんですか？

私はあなたの彼女になれる事を大変光栄に思いますが、あなたにメリットなどないのでは……？

えっ……あっ……は、はい！！

口ごたえして、すみませんでした！

わ、私の風紀を正して下さい！

宜しくお願い致します！

(翌日)

こら！あなた、またスカートが短いわよ！

昨日、注意したばかりじゃない！

服装の乱れは心の乱れよ！

私のような、きちんとした服装を心掛けなさい。

あなたも、また整髪料なんて付けてきて！

注意された事くらい、すぐに実行して守りなさい！

あなたも、歩きスマホをしない！

こら！あなた達もイチャイチャしてないで勉強に励みなさい！

何でみんな校則を守らないのかしら……。

風紀が乱れていく……。

(間)

あっ……おはよう……ございます。

はい……放課後ですね。

(期待に満ちた声で)
私の風紀を……正して下さい。

・台本（ゆるボイ！）
風紀委員長の秘密
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
如月英梨