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男女両方にモテるクール女子と付き合う事になった
written by 如月英梨
  • 学校/学園
  • 学生
  • ボーイッシュ
公開日2021年10月03日 14:09 更新日2021年10月03日 14:09
文字数
2067文字(約 6分54秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
男子からも女子からも人気な女の子から告白されて付き合う事になった
本編
(SE:教室のドアが開く音。引き戸なのでガラガラ音)

おや、君か。

放課後の教室で何をしているのかな?

ん?。僕は忘れ物を取りに来ただけだ。

それで、君は何をしているんだい?

クラスメイトに掃除を頼まれた?

君、分かっているとは思うが、それは頼まれたんじゃない。

押し付けられたんだ。

君が優しく、思い遣りのある人間だというのは、僕も理解しているよ。

だけど、今のそれは優しさじゃない。

ただ良いように使われているだけだ。

自分をもっと大切にしろ。

ん?。なんだ?

男子にも女子にもモテている僕が、自分のような人間に声をかけるのが不思議だ、と?

僕はそんな風に思われていたのか。

だけど、それは僕を外見で判断しているに過ぎない。

自慢じゃないが、ルックスには自信がある方だ。

可愛いから、カッコいいからと寄ってくる人間は多く居るよ。

僕の中身を見ずにね。

僕は周りが思っているほど、出来た人間じゃあない。

君は僕の事をどう思ってる?

(間)

なるほど……。

うん、無難な答えだね。

しかし、気付いているかい?

君は僕に対して、可愛い、カッコいいといった外見の事を何も言っていない。

君は僕を外見でなく、中身で見てくれているという事だ。

君は先程、僕がなぜ自分のような人間に声をかけるのか不思議だと言っていたね?

以前、1度だけだが話した事があっただろう?

その時、君は僕と普通に接してくれた。

下心がなく、ただのクラスメイトとしてね。

僕はそれが嬉しかった。

贅沢な悩みだと言われたら否定は出来ないが、僕は正直、周りの目が怖いんだ。

男子達からは下心丸出しの視線を送られる。

女子達からは憧れや羨望の眼差しで見られる。

一部からは嫉妬され、嫌がらせを受ける事だってある。

だから、特別に許可を得て、男子の制服を身に着けているんだ。

スカートが苦手なのもあるが。

そういう僕の事情も知らず、好きだから付き合ってくれだの、カッコいいだの言われるのは嫌いだ。

その告白は、僕の見た目が好きなだけで、中身が好きな訳ではないだろうってね。

だから、君が普通に接してくれた時に思ったんだ。

この人は外見で人を判断しないのだと。

それから、君の事を意識するようになってね。

君の優しさや思い遣りのある行動を見て、ますます意識するようになった。

言い寄ってくる男子や女子のせいで、君と話す機会が全く作れなかった。

今日、こうして話してみてよく分かった。

君なら……君となら、一緒に居たいって。

僕は君が好きだ。

君さえ良ければなのだが……僕と付き合ってはもらえないだろうか?

(間)

ほ、本当か!?

ありがとう。

これから宜しく頼むよ。

ところで君、家はどこかな?

(間)

おや、僕の家の近くじゃないか。

では、明日からは一緒に登校しよう。

良いじゃないか。

僕だって女なんだ。

彼氏と一緒に登校してみたい。

さて、押し付けられた掃除を一緒に終わらせようか。

後日、文句の1つでも言ってやれ。

(翌日)
(間)

一緒に登校してみたが、結構恥ずかしいものだな。

ん?

おや、君は確か以前、僕に告白してくれた人かな?

生憎だが答えは変わらない。

それに僕には、もう彼氏が居るからね。

僕の隣に居る彼が、僕の彼氏だよ。

昨日、僕から交際をお願いした。

何故そんな奴と、だと?

おい……今、僕の彼氏をそんな奴呼ばわりしたのか?

君は自分が僕の彼氏より優れていると思っているのか?

そうやって、常に他人を見下した態度をしている人とは、たとえ彼氏が居なくとも付き合えない。

僕からすれば、君など彼の足元にも及ばない。

次また彼を侮辱してみろ。

ただでは済まんぞ。

はぁ……注目されるのは覚悟のうえだったが、まさかここまでとはな……。

君にはすまない事をした。

人気ひとけの無いところへ移動しよう。

朝から気分が悪い。

(間)

ここなら良さそうだ。

先程の事で分かっただろう?

彼氏が君だと分かった瞬間の周りの目。

男子が君に向ける憎しみの籠もった目や、女子の落胆した姿が。

僕の事を、口では好きだと言っておきながら、自分のものにならないと分かれば、対応が変わる。

結局、僕の事が好きなのではなく、学校で人気のある僕を彼女にして周りに自慢したい、自分はみんなが憧れている人を彼女にしたんだぞと優越感に浸りたいだけなんだよ。

もっと言えば、僕を抱けるからだ。

自慢する為、優越感に浸る為、抱けるから。

そんなのは彼女ではなく、単なる物だ。

僕は自分を誇示する為の道具じゃない。

どこにでも居る、周りと変わらない女なんだ。

周りがどう思おうが、何と言おうが、君は僕にとって最高の彼氏なんだ。

初恋の男を、そんな奴呼ばわりされて黙っていられるか。

えっ?

あ、ああ!そうだ!初恋だよ!

そ、そんな意外そうな顔をするな!

異性と一緒に登校したのも、手を繋いだのも今日が初めてで、男性経験だって1度もないんだ!

周りからは経験豊富そうに見られるが、全然そんな事はない!

デートもした事ないし、キスだってした事ないんだ!

はっ!!

いや……その……すまん、今のは忘れてくれ。

と、とにかくだ!

僕は君が大好きだ。

これから宜しく頼むよ。

あっ、お弁当も作ってきたから、お昼を楽しみにしていてくれ。

おっと、そろそろ授業が始まる時間だな。

では、教室に行こうか。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
男女両方にモテるクール女子と付き合う事になった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
如月英梨
ライター情報
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