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記憶喪失になったDV彼女の心をとかすお話
  • 記憶喪失
  • DV
  • 病院
  • 甘々
  • 恋人同士
  • 切ない
公開日2022年01月01日 21:32 更新日2022年01月01日 21:32
文字数
4313文字(約 14分23秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
彼女 記憶喪失 依然DVをしていた
視聴者役柄
彼氏
場所
病院の病室
あらすじ
彼女の身に事故が起こってから一週間、ようやく目を覚ました。
しかし彼女は記憶喪失になってしまっていたようで…
本編
// 病院の中、目を覚ますところから

んっ…んん?ここは…病院?
私は一体?ひょっとして…寝てたの?

// 彼氏に泣き付かれる

わっ!ちょっと待ってください!
いきなり抱きついてくるなんてどうしたんですか!?
とりあえず顔を上げてください!まずは落ち着いてお話ししましょう?

ふぅ…落ち着きましたか?
全く…こう言う場面って、本来なら私の方が慌てふためくような場面のはずなのに、
なんだかあべこべになっちゃいましたね。

でもお陰で今私が置かれている状況を冷静に理解できました。
一応お礼を言っておきますね。
ありがとうございます。

ところで…
さっきから気になっていたのですが…
一つお聞きしても宜しいでしょうか?

はい、単刀直入に申し上げますと…


// 強調する表現で
あなたは一体誰なのですか?


もしも親しい間柄だったのならば申し訳無いのですが…
どうしても目を覚ます前にあった事が何も思い出せないのです。

それも私の性格や生い立ち、他人の印象や私との関係のような人間関係に関わる記憶だけが、
ストンと抜け落ちてしまったようで。

これが記憶喪失と言うやつでしょうか。
創作物ではよく見聞きする展開ですが…実際に自分の身に起こってみると辛いものですね。

特に…目の前にいるあなたにどう接していいかわからない、と言うのが何よりも悲しい事です。

わざわざ私の元にお見舞いに来てくださるような間柄であるはずなのに…
こんな当たり障りのないコミュニケーションしかとれない自分がむなしく…そして悲しくなってきます。

このままお話しするのはあまりにも申し訳ないので改めてお聞きしますが…
私とあなたはどの様な関係だったのですか?

恋人同士…そうですか。

//ため息
自分に嫌気がしますね。
最愛の人だったはずなのに、思い出はおろか顔や名前すら思い出せないなんて。
恋人として失格ですよね、こんな人。

// 頭を撫でられ、そんな事ないと否定される

否定してくださるのですか?
それに…んっ、頭も撫でてくださるなんて…
あなたは暖かくて優しい心の持ち主ですね。

ありがとうございます。
私、自分の過去の記憶を取り戻せるように頑張りますね。

そのためにも…まずは私が元気にならないと!ですね。
差し当たっては早く退院できるように…
はうっ!痛いっ!

いたたた…
まだ身体を伸ばすだけでも身体中が痛みますね
はい…痛いだけで身の危険を感じるようなものではないので大丈夫…なはずです。

でもまだ無理に体を動かすわけにはいきませんね。
仕方がないので当面は安静にしてます。

……!さすってくださるのですか?
そうです、さっきはそこに激痛が走って…

ってあれ?
その腕にあるあざ、どうしたんですか?
なんでもない…って、自然にそんなあざができる訳ないじゃないですか!

もしかして私と一緒にあなたも記憶喪失になっていて
そのあざが記憶喪失になった原因と関連が…

…ない、ですか。
今一瞬何かを思い出しかけたような気がしたのですが…
見当外れだったかもしれませんね。

もしかしたら、私に起きた何かと同じ原因だったら…と思っただけです。

そう言えば、私はどうして記憶喪失になってしまったのですか?

おそらくは交通事故…ですか。
その…おそらくは、と言うのは?
その場にはあなたも居合わせていたのでは無いのですか?

なるほどなるほど。
私1人で外出している時に事故を起こしてしまったのですね。

あれ?その時どうして私は1人で外出を…?
うーん、頭に霧がかかったように記憶が見えない…
あ、そう言えばこれも一つ聞いておきたかったのですが…


記憶を失う前の私はどんな人だったのですか?


どうしたんですか?
今の一言で明らかに顔がひきつりましたけど。
もしかして…答えられない、もしくは…答えたくないんですか?

俺の事だけを盲目的に見てくれる愛情表現が豊かな人…ですか。
そんなにもあなたのことを愛してたんですね、昔の私。
早く記憶を取り戻して同じように愛してあげたいのに…

あれ?今の場面、苦笑いするような要素ってありましたっけ?
私、思ったことを素直に言っただけのつもりだったのですが。
んんー?私にはさっぱりですが…まぁよしとしましょうか。

では、他には?
他に記憶がある時の私の印象ってありますか?

……恋人のはずなのに答えられないんですか?
さっきもそうでしたよね、どうして答えてくださらないんですか?
それに顔もひきつったままですし…

ひょっとして、私が思い出したら困ることでもあるんですか?
それなら余計に思い出さなければならないのですが…

え…?これは…日記、ですか?
…!!どうしてこんな大事なものを隠してたんですか!?
あなたはやっぱり…

っと、ついかっとなってしまいましたね。
確かに、いま急に記憶が蘇ってきてもその記憶に呑まれちゃいそうですね。
ですがあなたのためにも私は一刻も早く記憶を取り戻したいのですが…

その…中身を読ませてもらっても?

おや…渋い反応ですね。
なにか私に読まれては不都合な記憶でもあるのですか?
それとも…浮気の備忘録とか。

…そんなわけないですよね。
ここまでのあなたとの会話で浮気をしそうにない人柄だと思っていますからその点はご安心を。

そうではないなら…
私に巻き起こるかもしれない情報の洪水を防ぎたい…とかでしょうか。

大丈夫です、これは私自身の問題でもありますので。
記憶が急激に舞い戻ることへの覚悟は出来てます。
ここまでよくしてくださってるあなたの為にも、私は一刻も早く記憶を取り戻したいのです。

ですからどうか、私にそれを読ませては頂けないでしょうか。

いいけど俺にしばらく席を開けさせてくれ、ですか。
はぁ…その理由はよくわかりませんが…わかりました。

では私はその間にこの日記を読ませていただきますね。
読み終わっただろうなってタイミングで戻ってきてください。

// 席を開ける

さてと、それでは早いうちに読んでしまいましょうか
何か記憶を取り戻すきっかけが掴めればいいのですが…
さてさて…

// ページをめくる音
// 投稿予定日1週間前の日付と曜日で
12月31日、金曜日、くもり

あれ?日付が1週間前で止まってる…
私、1週間も気を失ってた…ってこと?
えっと…なになに?

彼女が家を出て行ったきり帰って来ない
普段であれば半日もすれば帰ってきていたのに…
何かあったのだろうか。

この書き方…
事故があった当時の私、家出してたのか
だから彼氏くんも事故の様子を覚えてないんだ

なるほどなるほど。
でも、家出してたってことはつまり…
次のページに書かれていることって…

// ページをめくる音

// 前後編で分ける場合、ここで区切ってください

// 彼氏が病室に戻ってくる
// 動揺した感じで

あっ…

お、おかえり。
随分と暇潰しに時間かけてたんだね。
病院ってたいしたものないし退屈だったでしょ。

えっと…
あっ!今日っていい天気だよね!

え?あたり一面曇り空?
あ…ほんとだ…

あれ…おかしいな…?
これまでどうやって君と話のきっかけを作っていたのか全然思い出せないや。
ええっと…

……

// しばらく沈黙

あの!さ…ちゃんと読んだよ、日記の内容。
ほら!例えば…

12月30日、木曜日、あめ
やはり彼女には受け入れてもらえなかったようだ。
相変わらず殴る蹴るの暴行を加えられ…
今日はついに家を飛び出してしまった。
大丈夫だろうか…

読んでみてわかったよ。
どうして君が日記を読ませるのを渋っていたのか。

確かに私にとっては重い内容だった、正直。
まさか…私が日常的にDVをするような人だったなんて、
考えてもみなかったよ

それで、君の言う事を全く聞かずに家を飛び出して、それで事故って。
馬鹿みたいだよね。
てゆうか、馬鹿だった、あの時の私。

あなたの事を何も考えず、自分のストレスばっかり君に吐き出して。
…それも暴力って最悪な形で。

他のやり口なんていくらでもあると知っていながら、
1番やっちゃいけない手段をとって。
…なんて言うんだっけこの感情。確か…惨め?

それで…さ、私は一体これからどうやって君に接すればいいのかな?
まずは謝った方がいい…のかな?
ほら、少なくとも今の私にはDVはいけないってわかるだけの良識はあるし。

それと…君はどうしてこんなDV女と一緒になんていたの?
あんまりこう言うのは聞くべきじゃないかもしれないけど。

自分で言うのもあれだけど、私なかなかにむごたらしい暴力を日常的にふるってた気がするし。
気分次第ではいつもより強く当たってたし。
しかも…その原因は殆どが私にあったし。

それなのに君は黙ってされるがままに暴力を受けて、甘んじて受け入れて。
なんなら怯える素振りすら見せない、それでいてなおも愛していると言ってくれて。

明らかにおかしいもん。
私だったらこんなDV彼女なんて速攻で出すべきところに訴えるし。

ねぇ、君の思考が読めないの、怖いよ。
君は何を思ってこんな私と付き合ってるの?
私にはもうわからないよ…

// 理由を言わずに慰められる
// ここから半泣きで

あっ…やめて!
そんな優しさだけしか無い慰めなんてしないで!
そんなの…そんなの私がもっと惨めになるだけだよ!

……酷いよ、君は。
過去の悪行に対する罪悪感につけこんで私を追い込むなんて。
私…自分にのしかかる重圧で潰れちゃいそうだよ…。

// さらに励ます

これ以上意味のない慰めなんてしないで!
何も言わないで!もう嫌なの!

// SE?腕を振って払いのける
// その腕が痛む

ッ……!いった……
ううん、大丈夫。大丈夫だけど…ううっ…痛い。

事故から1週間たったはずなのに…まだ痛んじゃうや…
これだと、仮に君がDV彼女としての私を望んでたとしても応えられそうにないね…なんて

// 手をつかまれる

ちょっと、何腕掴んでるのさ。
君が医師免許持ってないんだから看たところで何か分かるわけが…

……ってこれ、ゆび…わ?
一体どうして!?
ていうかいつの間に!?

それに…本当にいいの?
今まで散々酷いことしてきたんだし、今の私も本物じゃないかもしれないし、それに…

……今ので確信したって…それ、どう言うこと?

// 彼氏による説明の間を開けて

え?なになに?だからどう言うこと?
私の考え方は事故前と変わってないって…

ヴッ………言われてみれば確かに
さっきからずっと自分本位な事ばっかり言ってたかも…。

でも…それとこれとになんの関係が?

……なにそれ、自分勝手な女が好きって。
ならわざわざ暴力的な私を選ぶ必要なんて…

は、はぁ?
愛情を注いでいたらいつか丸くなると思った、なんて…
君、そんな物好きだったの?

まぁ、事故前の私と付き合ってたなら当然…か。

// かしこまって

それじゃあ、さ。
この指輪についてちゃんと説明してくれるかな?

うん…うん…あっ、やっぱり…
あの時のお話ってプロポーズのつもりだったんだね。
はやとちりしちゃってごめんね。

うん…うん…はい、暴力的で不束者な私ですが、
あなたの誇れる伴侶となれるように精一杯頑張りますのでどうか宜しくお願いします。

// 照れ、喜びを込めて

なにその脈絡のない好きは。
今度は私の事を喜ばせようとしてるの?

もう……バーカ。
次にそれ言ったら全力でぶっ飛ばすからね?
覚悟しとく事?わかった?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
記憶喪失になったDV彼女の心をとかすお話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えとのわーる(Stella)
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