依頼を終え、仲間と歓談しながら飯を食べた貴方。
疲れからか気が遠くなったのを感じ、目を覚ますとベッドの上だった。

身体が動かないことに違和感を覚えていると、少女がたどたどしく話しかけてきた。
少女は「あの日助けてもらったスライムです」と伝えてきて…。

言葉を覚えたてなので、ダウナー気味です。

…起きて。

む。

…盛りすぎちゃったかな。

起きてー。
起きないと死んじゃいますよ。

あ…起きた。
おはよう、あなた。

ああ、無理に身体を動かさないで。
毒が必要以上に回っちゃう。

でもこれじゃ答えられない。

そうだ。

これから僕はあなたにお願いをする。

「はい」なら瞼を1回。
「いいえ」なら瞼を2回動かして。

わかった？
まずはご飯に毒を入れてしまったこと謝らせて。

僕はスライムだからこんな方法しか取れなかった。

でも、僕本で読んだの。
人間は好きな人を落とすときは、まずは胃袋からって。

いまあなたの胃の中には僕の一部が入り込んでる。
これが胃袋を掴むってこと…？

2回…。
ちょっと違かったらしい。
でも安心して。

僕はあなたを危ない目に合わせたいわけじゃない。
こうやってお話するためにしてる。

で、これからが僕のお願い。
僕をあなたの仲間に入れてほしい。
出来たら、ずっと隣にいさせてほしい。

瞼は…。
もう動かない？

2回。
…動かないわけじゃない。

さっき危ない目に合わせたくないって言ったけど。
それはあなたの受け答え次第でもある。
いまでもじわじわと僕があなたの身体を蝕んでる。

これを取り除けるのは本体の僕だけ。
この意味わかる？

えらい。
かしこいねあなた。

じゃあお願い聞いてくれる？

(1回目を瞑る)

僕をお嫁さんにしてくれる？

(1回目を瞑る)

うん。
嬉しい。

手首に傷つけるね。
少し痛いかも。

僕ずっと夢だった。
まだあなたが一人だけの時。
森で追われてた僕を抱いて庇ってくれた。

あなたは覚えてるかわからないけど。
それから僕はあなたをこっそり追ってたの。
最初はお礼を言いたかった。

けど、あなたはどんどん人間のメスと仲良くなって…。

何だか苦しくて悲しかった。
でも僕はスライムだから。

遠くから見守ることしか出来なくて。

そのとき、僕の夢は決まった。
人間になってあなたの前に現れる。

そしてあのときのお礼と、
この気持ちの答えを出そうって。

ずっと我慢してたんだ。

僕、自分の言葉でしゃべれてる？
最近この姿になれるようになったから、
ちゃんと喋れてると嬉しいな。

よし。
毒は全部抜けた。
これで起き上がれるはず。

…ふふ。
抱き着いてもいい？
あのときの温かいあなたの体温感じたいな。


…なんで嫌がるの？

僕が違う種族だから？
でも、あなたの仲間には獣もいるよね。

それとも何か変な言葉使っちゃった？
そうだったらごめん。
本で覚えたから、合ってるか不安なの。

(「毒を抜いてもらうため嘘をついた」)

そっか。
さっきのは嘘だったんだ。

ううん。
大丈夫。
そこまではなんとなくわかってたから。

(仲間が咳き込み始める)

何って…。
毒を食べたのはあなただけじゃない。

大切なメスたちにも、僕が入り込んでる。
さっきまでは無毒だったけど、いま有毒化した。

本来だと僕以外のメスはいらないけど…。
これから危険な旅をするときに、盾は必要かなって。
…メスたちの前であなたといちゃいちゃするのも楽しそうだし。

騙した？
それは僕の台詞。
僕の気持ちを自分の命のために軽く扱った罰だよ。

あなたは僕を選ぶしかない。
…そんなに瞼をぱちくりしても
「いいえ」なんて選択肢はない。

あなたは目を一度だけ瞑って、
僕が口づけをするのを待つだけでいい。

ほら目を瞑って。
人間界だと、これが契約って聞いた。
僕は物分かりがいいかしこいあなたがすき。

…ん。
これであなたと僕は契りを交わしたことになる。

二度と裏切らない。
いつでも仲間の命は僕の気分次第で左右できる。

わかった？
わかったら、僕を抱きしめて。

えへへ、あったかい…。

・台本（ゆるボイ！）
独占欲強めなスライム娘ちゃんは毒を仕込み生涯の伴侶として貴方のパーティに参加する。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
鮎