昇進して待ち受けていたのは仕事、仕事…仕事の山だった。
しかも1つ1つが重要で気を抜く暇がない。

スーツがくたびれることも忘れてしまいそうな多忙さだ。
「せっかく作ってくれたんだし、ご飯を食べないと…」

そうは思っていても、足が動かない。
へとへとだ。

そのまま脱力していると、部屋の扉が開いた。
現れたのは、ここの寮母の娘でもある〇〇ちゃん。

疲れ切ったあなたの表情を見た〇〇ちゃんは耳かきを提案してきて…？

ただいま～！
ってあれ？おにーさんじゃん、こんばんは～！


SE:歩く音


スーツのままとか珍しくない？
ご飯も…まだ食べてないみたいだし。

ふーん、なるほどねー？
仕事でめんどくさそうな業務押し付けられちゃったんだ。

そりゃ大変～。
でーもご飯ちゃんと食べないともっとチョーシ悪くなっちゃうよ～？
立ってるし、あーしの分温めがてらでよければチンするけどー？

…。
うへー、返事からして元気なさそー。

ひょこっ
ねね、おにーさんさ、耳かきって興味ある？

いや～…あんまりにも疲れてそうだったから
あーしがしてあげようかなーって…

ほら、今日お母さんどころか誰もいないしさ
おにーさんにだけ特別ね？

嫌ならいいんだけど…。

ほら、疲れてそうなおにーさんにあーしが出来そうなこと、
あとは肩揉みくらいしかないし？

ていうか、元気なさそうなおにーさんの顔見てると
心配になってくるっていうか…そういう感じ。


//「…いや、いいよ。〇〇ちゃんも忙しいでしょ？宿題とかしたいこととか…」


宿題？
あー、いいよいいよ。

そんなのすぐに終わるってか、
いつも友達に見せてもらってるし。

いつもはおにーさんに元気貰ってるんだしさ、
こういうときくらいはあーしのこと頼ってよ、ね？


//「ううん…せめて欲しいものとか…」


ええい、もう！
もんどうむよーだぁ！

あーしがしたいって言ってるんだから
年上のおにーさんは言うこと聞いて聞いて！

ほら膝枕してあげるから頭預けてくーださい！

…よし。
やっと言うこと聞いてくれた。

もぅ…

おにーさんは人に甘えるってことを覚えてください。
そうじゃないと、いつか本当に身体壊しちゃうよ？

人が甘えていいよってときは、たくさん甘えていいんです。
そこに大人だからだとか年上だからとか関係ないんですから。

体勢は…このままで大丈夫？

おけ。
じゃあ早速綿棒入れていくね～？


(耳かき浅め)


どうかな？
したことあんまりないっていうか…

どちらかというと、
初めてだから気持ちよくなかったらごめんね？

…このくらいまでは大丈夫そ？
ふふっ、よかった。

？
ちょっとだけくすぐったい…？

だよね～。
たぶんあーしもおにーさん側だったら変に力入っちゃうかも。

爪切りとかさ、人に任せるときってびくびくってしちゃうよね。
仮にその人をたくさん信頼しててもさ～、ちょっぴり怖いというか。

そうだなあ…

慣れて力が抜けるまで
耳の浅いところだけしていこっか。


(耳かき浅めの音のみが続く)


…慣れてきたかな？
ちょっとずつ奥の方もやっていくね？


(耳かき奥の音に変わる)


ん、ここら辺？
なーんか反応いい気がするんだけど。

へへ…
実はここ結構気持ちいい場所なんだって。
だからもっと強くやってあげるね？


(耳かきの音が続く)


どう？
だんだんと癒されてきたかな？


(耳かきの音が続く)


はーい
片耳はしゅ～りょ～！

おにーさん？

目瞑ってる…。
…起きてるかな？


//「んぅ…」寝返りを打つ


あ…
んも～、そんなに気持ちよかった～？
まだ言ってないのに片耳もしてほしそーにしてるし…

あははっ
じょーだんじょーだん！

慌てないで大丈夫だって～。
元々そのつもりだったから安心して？

すごい気持ち良さそうなの伝わってきたし、
何よりあーしがお姉さんを癒せてるってのがわかって嬉しかった～

うんうん
お耳ごしごししてると、目がとろーんってして…

何だかねぇ…かわいいなって…思っちゃった♪
ふふ…

なっ！？
あ、あーしのことはいいの！
急に「かわいい」って言うのは…反則…だから…っ！

んもー！
年下をからかっちゃだーめ！
勘違いしちゃうかもしれないでしょ！

ほ、ほらほら！
こっちもしていくから大人しくしてて！

あ、その前に…ひとつだけ確認。
これからしなくちゃいけないことってない？

うん、眠っちゃった時に起こした方がいいのかな～って。
いちおーね。

…そか。
やっぱりおにーさんは優秀なんだね。

なら寝ちゃっても問題ないってわけだ。
おけ～、あーしがおにーさんの睡眠導入剤になることが確定したとこで…

耳かき再開～…


(耳かき開始)


//「ん、ありがとね。〇〇ちゃん」


いえいえ～。
あーしが好きでやってることだし気にしないで～。

むしろあーしの方がありがとうだよ。
おにーさんの世話できて嬉しいし、楽しい。

お仕事大変だろうけど…
たぶんそれって、おにーさんがデキると思われてるってことでしょ。

あーし、あんまり言わないけどおにーさんのこと尊敬してるし。
尊敬している人が頼られてるのって何だか嬉しいんだ。

…まぁぐったりするほど任されてるのは、ちょっと目に余るけどさ。

だから応援してるって意味でも
おにーさんの力になれるのはありがたいことなんだよ。

たくさん癒されてどんどん活躍していってね。
また疲れた時には、こうして耳かきとかで体力満タンにしてあげるからさ。


//(耳かき継続)


//「すぅ…すぅ…」


あれ、もう寝てる…。
ふふ、おにーさんってば無防備すぎ。

まぁそれだけ疲れてたってことかな。
すやすや寝てるおにーさん…。

ふふっ…いいかも。
寝顔見せてもいいくらい、あーしのこと信頼してくれてるってことだもんね～。

あーしとしても嬉しい。
他の人に見せてたらゆるさないぞー…なんてね。

(小声)
それにしても可愛い寝顔…。
ずっと見てられるかも…。

本当にいつもお疲れさま。
今日は綺麗にしてあげるからぐっすり休むんだよ…

よしよーし…。

・台本（ゆるボイ！）
疲れているあなたを見かけた同寮のギャルちゃんに半ば強引に癒される話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
鮎