あちゃあ…今回のライブも中止か…。
前は雨で中止、前々は流行り病で…はぁ。

よしっ、気分転換に掃除でもしよっと！
ええと…、あれ、こんな紙袋あったっけ…。

おかえり。
ねぇ、何か私に謝ることない？

隠し事とか…隠し事とか。

ふーん、知らないならいいよ。
私も君みたいな口だけの人なんかしーらないだっ、ふんっ。

いい…。
いいってば…。
私のことそんな好きじゃないんでしょ。

ご飯も作ってたけど食べさせてあげない。
その女の画面見ながらインスタントでも食べれば？

あんなに私のこと好きだって、一生推すっていってくれたのに…。
素直に喜んでた私がバカみたいじゃん…。

何って…。
はぁ…。

…これ。部屋にあった紙袋から見つけたの。
私のライバルユニットのCDでしょ。

しかも私とは正反対のキャラで売ってる子。
しかもファンしか買わないラブソングCDじゃん。

他の女に愛を囁かれて嬉しかった？
私の愛の言葉なんていらない？

そうだよねえ。
私もう君の推しじゃないんだもんねえ。

…それにもムカついたけど。

なにより、底にあったのが嫌。
バレると何か私に言われるのがわかってる…それがすっごくムカつく。

…推し変したんでしょ。

なに？
私のどこが嫌になっちゃった？

美味しいご飯も作ったし、なるべく素の部分を出さないように接してきたよね？
どこで冷めちゃったの？

勘違い？
なんでっ…！
なんで、そこまで否定するの！？

ここまで言っても、素直に言ってくれないの…？
正直それが一番傷付くよ…っ。

まだ君の口から言ってくれた方が諦めがつ、く…。
　
な、なに…！？
抱き着いたからって許されるわけじゃ…！！

は、離してよ！　離してったら！
推し変した人に抱き着かれても何も嬉しくなんか…っ！

さっきから誤解誤解…って何が…！

友達がその子のファンでもらっただけ…？
ま、まぁ握手券を当てるために買って布教するのはよくあるけど…。

それなら…っ！
あ、いや、私と付き合ってるのは公表してないんだっけ…。

貰った手前捨てるわけにもいかなくて…。
そういうところ君は律儀だし…わからなくはないかも…。

私のグッズだけで、部屋埋めるくらいだしね…。

まぁ確かに…。

…ねぇ、本当にそれを信じていいの？
私のこと嫌いになってない？
いまも好き？

即答…。
そっか…"好き"か。
疑ってごめんね…？

ちょっと最近ライブが出来てなくて、メンタル弱ってたのかも…。
ほら、私昔からストレスを歌って発散するタイプだったし…。

君の気持ちに変わりがないのはよーくわかった。
いまも手震えてるもんね。
慣れないことさせてごめんね…。

だ・け・ど。
…私にこのCDを隠してたのは許しません。

…貰った時に素直に教えてほしかったな。
ほらその、仮にも彼女なわけですし…。

信頼してほしかったな～って。
実際見つけてすごく傷付いたし…。

と、いうわけで…いこっか。
どこって、私と君が会った場所…カラオケ屋さんだよ。

今日ずっともやもやしてたんだ。
見つけたのお昼だよ？
お昼から君が帰ってくるまでずーっと。
だからすっごい歌いたい気分なの！

ストレス発散！
付き合ってくれるよね？

じゃあ早速支度支度～…。

//背中を押すときに後ろから抱きついてるイメージ
ねぇ…君は出会った時のこと…覚えてるかな。
私いまでも鮮明に思い出せるよ。

あのときはいまみたいに売れてなくてさ。
やさぐれて悲しい曲ばっか歌ってた私に明るい曲を選曲してくれて…。

年も近かったから、世代曲を一緒にコーラスしたりさ。
とにかく楽しくしてやろ～ってしてくれた君がすっごい印象に残ってる。

まぁ…ヒトカラしてたら人入ってきたときはびっくりしたけど。

君も普段いかないカラオケでお手洗いに逃げてたところに私の声が聞こえてきたっていうんだから、出会いってホントわかんないよね。
しかも私のファンとか、どんだけ世間は狭いのって思ったよ。

でもね…、でもあれがあったから、いまの私がある。
君があのとき励ましてくれたから、いまも楽しく活動出来てるの。

…特に私はメンバーの中で、あんまり人気ないしね。
こう言うと君は、そんなことないって怒っちゃうけど笑

だからあの時、私を本気で元気にしようとしてくれた君を好きになったの。

それはいまもそう。優しい君が大好き。
えへへ、改めて口で言うと何か恥ずかしいね？
でも今日は甘えたな気分だからゆるして？
ぎゅーっ…。

ねぇ…いまも…私は最推しかな？

そっか。
じゃあさ、私渾身のラブソングメドレー聞かせてあげる。
あなただけの特設ライブ、ちゃんと声枯らして応援してよね？

・台本（ゆるボイ！）
他ユニットのCDを見つけた最推しはどうやら嫉妬してしまったらしい。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
鮎