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迷い家お姉さんの逆プロポーズ大作戦
written by 松平蒼太郎
  • からかい
  • ホラー
  • お姉さん
  • ヤンデレ
  • 怪異
  • 擬人化
  • 迷い家
  • 監禁
公開日2023年05月04日 12:59 更新日2023年05月04日 12:59
文字数
2219文字(約 7分24秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
迷い家本体
視聴者役柄
青年
場所
迷い家
あらすじ
貴方は登山中、霧のせいで道に迷ってしまい、近くで見つけた空き家に避難する。霧が晴れず、一ヶ月もの間そこで生活していると、突然見知らぬお姉さんが部屋に入ってきて…?
本編
(足音が近づいてくる)


ちょっと君、人の家で何堂々とくつろいでるの?


いるわよ、ここに。まさか空き家だと思った?


失礼な子…まぁ、いいわ。入っちゃったものは仕方ないし。ゆっくりしていきなさい。


通報?しないわよ。君、悪い子じゃなさそうだし。


(青年の前の椅子に腰掛ける)


さて…この家に入った経緯を聞かせてもらえる?


…なるほどね。要するに、登山中に遭難して、ここに辿り着いたと。


霧が出るなんて災難だったわね。本来なら迷うはずがないところを迷っちゃったんだから。


ん?あぁ、わたしがこっちに帰ってきたのは久しぶりでね。


帰って来て玄関に靴があるから、空き巣かな?って思ったの。


いいわ。事情が事情だし、わたしの家に不法侵入したことは許してあげる。


そうね。食料が山ほどあって助かったわよね。


かなりの量を貯蔵していたから…保存性のいいやつばかりをね。


…おかしいこと?何それ?どういうこと?


あぁ、たしかに…霧、全然晴れないわよね。


ちなみに君がこの家に入って何日経った?


(含み笑いを漏らし始める)


くふふっ、あはは…!


ようやっと気づいた?鈍いわねぇ、君も。


そう…わたしがこの濃い霧の中、しかもこんな山奥の家にどうやって辿り着いたのか…


そして君が貪った一ヶ月分もの食料…あまり大きな家じゃないし、収納も大したことないのに、どうしてそれらが尽きないのか…


更にさっき君が言った通り、山奥とはいえ一ヶ月もずっと天気が濃霧というのも変な話よねぇ?少しくらい晴れてもよさそうなのに…


答え合わせしていきましょうか。


「迷い家(まよいが)」って知ってる?


完全に誰もいないのに、あたかもさっきまで人が生活していたかのような跡の残る家…


入った時点で不思議に思わなかった?


どうして人がいないのに、こんなに生活感溢れる雰囲気を漂わせているのか…


食料ももちろんそうだけど、食器とか布団とか…生活に使えそうな物がかなり良好な状態で置いてあるじゃない?


遭難して焦っていたから、入った時は分からなかったんでしょうけど…


でも、実際ここで暮らし始めて、わたしに言われるまで、君は何も違和感を感じなかった。それはなぜ?


答えは簡単。わたしが「迷い家」そのものだからよ。


わたしが君の違和感そのものを消していたの。


そうよ。霧が出たのも、君がこの家に入ったのも、食料の備蓄が尽きないのも、ぜーんぶわたしの仕業。


わたしはこの家そのものだから、当然、霧の中を歩いてきていない。


君がこの家で何不自由なく暮らせるように、わたしの力で取り計らってあげていたのよ。


うふふっ…どうしてか知りたい?


わたしね、君とこうして会うのは初めてじゃないの。


君がまだこんなにちっちゃかった頃、君は故郷の田舎にあった空き家の壁に落書きをしたでしょう?覚えてる?


そうそう。あの頃の君はヤンチャ坊主でね、「この家は今日から僕のモノだ!」って、一緒に来てた友達の前で高らかに宣言したの。


そうよ。あの時の家がこのわたし。


小さかった君に求婚されて、君が大人になったら、迎えに行ってあげようって決めてたの。


えぇ。迷い家であるわたしは、妖気が色濃く残っている土地を自由自在に移動することができる。


この山は今君が住んでる所の近くだし…新居を構えるにはちょうどいいかなって思ったの。


わたしから迎えに行ってあげるつもりだったけど…まさか君から、わざわざ山を登って来てくれるなんてね。お姉さん、とっても嬉しい♡


嫌って何が?何も嫌なことはないでしょう?


ここにいれば、君は一生わたしと遊んで暮らせるのよ?


働いたりしなくていいし、赤の他人に心を惑わされたりする心配もない。まさにいいことづくめでしょ?


こーら?いい大人が駄々こねないの。大人しくお姉さんと暮らしなさい。


(男が部屋を飛び出して行ったと思ったら、また部屋に戻って来る)


ふふっ、無駄よ。この部屋の出口はわたしが自由に操れるの。何たってこの家がわたしそのものだし。


君が何度飛び出そうとしても同じこと。


さっきみたいに必ず、この部屋に戻ってくるようになってるわ。


挑戦するのは自由だけど…本当に何回やっても同じよ?


(男が何度も部屋を飛び出すが、その度にまた同じ部屋に戻ってくる)


まぁ、そう落ち込まないの。お姉さんがたっぷり可愛がってあげるから。


それよりさっきから部屋を走り回って疲れたでしょう?紅茶でも飲む?


あ、汗をかいたからスポーツドリンクの方がいいかしら?


…?どうして謝るの?君は何も悪いことはしてないでしょう?


君は幼い頃にわたしと将来を誓ってくれた…それが本当に嬉しかったの。


わたしは一人じゃないんだって…これ以上、寂しい思いをせずに済むんだって…


おまけにわたしが迎えに行こうとしてたところを、逆に君の方から来てくれた…わたしたち、完璧に相思相愛でしょう?


ちなみにわたしが一ヶ月も姿を現さなかったのは、君にここの暮らしやすさをじっくり味わってもらうため。


えぇ、もちろん。君の一挙一動は漏れなくわたしの目に焼き付けてあるわ。


くつろいで安心しきっていた時の君の顔、とっても可愛かったわよ♡


でも、性欲だけは発散できなかったわよね?


まぁ、それは当然ね。発散させるための道具は一切置いてなかったし。


一ヶ月もよく我慢できたわね。えらいえらい。


(頭なでなで)


だからぁ…今からそれ、お姉さんで発散しない?


わたしと君は数年来の時を経て、無事ゴールインしたわけだし…今ここでするのは当然でしょう?


何言ってるの…今日からここが君のお家でしょう?


君のお世話は全部わたしがやってあげるから…


今は安心して、お姉さんに抱かれなさい…ね?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
迷い家お姉さんの逆プロポーズ大作戦
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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