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巨大な竜娘に気に入られて耳かきしてもらう話
written by えむおーおー
  • 耳かき
  • ファンタジー
  • 癒し
  • 人外 / モンスター
  • お姉さん
  • 年上
公開日2024年03月05日 13:58 更新日2024年03月07日 22:54
文字数
3235文字(約 10分47秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ドラゴン娘(身長4~5m)
視聴者役柄
旅人
場所
洞窟の奥にあるドラゴンの巣
あらすじ
洞窟の奥、光の差す寝床の上で、巨大な竜娘が旅人に耳かきしてもらいながらくつろいでいる。
竜娘は殺意を持たず近づいてきた旅人の事を気に入り、住処に通わせていた。
しかし些細な口論から、竜娘が旅人に耳かきをすると言い出す。
旅人は遠慮しようとするが、体格差で捕まってしまい無理矢理膝枕で耳かきされることになるのだった。

竜娘は小さな耳かき棒に苦戦しながらも、器用に耳かきをしていく。
旅人に対してなぜ膝枕をしてくれないのかと聞いた竜娘は、答えを聞いて自分の膝枕が恥ずかしくなる。
しかしなんとか隠し通し、旅人への耳かきを終えるのだった。
本編
(離れた場所から耳かきの音)

(声正面から)

——ふむ…………ん……む、むう……待て、そこを引っ搔くのは……!

あう……うー……。

(耳かきの音終わり)

——……ふう。…………む?なんだ?もう終わりなのか?

もう少し我が耳の中を掻いてくれてよいのだぞ?

……汚れはもう全て取った、だと……?

フン、小さき者。人間よ。我(われ)が物足りないと言っているのだ。

……耳かきのし過ぎは耳に良くない……?

強靭なる竜の耳を、脆弱な人間の耳と一緒にするな。もう少しやってくれてもよいではないか。

……待て、そうではない!耳かきだけが目当てで、毎日貴様をわが住処に通わせているなど。

——決して耳かきだけの関係などではない。

これは竜と人間との貴重なる友好関係。貴様もそう言っていたではないか。

……仕方ないではないか。人間がする耳かきという行いが、ここまで心地よいとは思わなかったのだ。

むう……今日はもうこれでよい。毛玉で耳の中を撫でてもらうのも我慢してやる。

だからまだ帰るな。もう少し我と話でもしてゆけ。

ここに上から光が差すうちは、洞窟の外も日が昇っているからな。

——うむ。それでよい。

(ごろりと身じろぎする音)

(声片側に動く)

——それで、貴様。前から少々気になっていたのだが、なぜ我からときおり目を逸らすのだ?

初めて会った時……我を怖がっていた頃は、むしろ視線を外さぬよう、警戒し舐めるように見ていたと思うのだが。

(声反対側に動く)

……なんなのだ?はっきりと言ってみよ。

……体つきが人間の女と似ている?

まあ、それは我は雌であるし、竜の中でも比較的人間と姿の近い種ではあるからな。

(声真ん中に戻る)

——だがこの角に翼、爪に鱗、そして長き尾。貴様の倍を越える見事な体躯をとくと見よ。

脆弱な人間とは比べ物にならぬだろう?

……服を着て欲しい、だと?

馬鹿を言うな。それでは磨き抜かれたこの威容が見せつけられぬではないか。

——はあ……。人間に竜の価値観は理解できぬか。

……竜には繊細さが足りない?……言ってくれるではないか。

——では我もしてやろうではないか。

……何を、だと?耳かきに決まっている。

……そう遠慮するな。実は耳かき棒なら我も持っているのだ。

(ごそごそと漁る音)

昔返り討ちにした人間の荷物に入っていてな。

殺した人間の持ち物は、面白いから捨てないようにしているのだ。

……待て、逃げるな。

(体を尻尾が締め付ける音)

——我と貴様の仲ではないか。巻き付いた尾で絞め殺しもしない。安心せよ。

確かこう、我の両足を折りたたんだ上に貴様の頭を乗せるのだろう?

人里でこうして耳かきをしている姿を見た事があるのだ。

竜の目は遥か上空からでも、隠れた人の動きぐらいは見通せる。

(声片側から)

(反対側から太ももが擦れる音)

——うむ。これでよいか。鱗のない部分に他人を乗せるのは少々落ち着かんな。

それに人間のやっていた姿と比べると、我に乗る貴様は小さすぎるが……。

あとはこの耳かき棒を、こう持って……む……爪が滑って上手く……むむ……。

——どうだ。持てたぞ。

グルル……(低い笑い声)。では貴様にも、我と同じ心地よさを味わわせてやる……。


(片側耳かき開始)

——驚いたか?どうだ、我の手先の繊細さは。人間にも劣らぬだろう。

我々竜は長く、孤独に生きるからな。手慰みに人の道具で遊ぶこともある。

こんなことを知ったのは貴様が初めてかも知れんな。

——忌々しい神の代からの繋がり。竜も人も同じく作られ、しかし別々の力を与えられた。

そして人は竜の力を求め、殺すことを覚えた。

それゆえ竜と人は憎み合い、互いに遠く離れた姿になってしまった。

我のような姿の竜は、今や消えゆく神話の残り火だ。

——貴様も最初に見た時は、我が心の臓を狙う下らぬ輩かと思ったものよ。

全く。本を書く人間が鎧を纏い剣を携えているなど、聞いたことがない。

……神話の時代の研究にはあれぐらいの備えがないと死んでしまう、か。あの時もそう言っていたな。

馬鹿げたことをする人間よ。

我もたまたま食事を終えた後でなければ、貴様を食い殺していたところだったわ。

————それとも貴様、いま我の肌に触れて、竜を食らってみたくなったか?

……意識させないでほしい?冗談のつもりだったのだが……。少々残念だ。

……そういう意味じゃない?む……なら紛らわしい事を言うでない。

竜の火で焼いてしまうぞ。

——それより我の耳かきはどうなのだ。

……グルル…。そうであろう。

我が心地いいと思ったところを、同じように掻いて汚れを取ってやっているからな。

(耳かき続く)

——グルル…。情けない声を出して、そんなに心地よいか。

——このまま何時(なんどき)でも続けられるが、どうする?人間よ。

……そうであったな。人間の耳は脆弱なのであった。

(片側耳かき終わり)


——ではこの棒の、反対の毛玉も入れてやろう。

……む。昔の物なら汚いかもしれない? 安心しろ。しっかり水で洗って乾かし、清めてある。


(片側梵天耳かき始まる)

——グルル…。我はこれをされるのが最も好きなのだ。

次に貴様が耳かきするときは、しっかりやってもらうからな。

(片側梵天耳かき終わり)


——よし、反対を向け。今日は我の番だからな。

最後までやるのだ。

(太ももの上で寝返りを打つ音)


(声反対側から聴こえる)

(反対側耳かき始まる)

——そういえばこの姿勢、何と言うのだ?

……膝枕か?なぜ貴様は耳かきの時、膝枕をしてくれんのだ。我の時は石の上ではないか。

貴様だって今、両脚の上に頭と胴を乗せるのは心地いいだろうに。

……角が刺さりそうで怖いし、頭が大きいから重そう……だと。

なんたる無礼……いや、脆弱な人間なら仕方ない事か……。

……む、それに……なんだ?

……それに膝枕で耳かきは、親しい間柄としか普通はしない?

——何を言っているのだ。汚れを取ってやるぐらい、仲間同士なら当然するものだろう。

我は竜だ。仲間と出会えば爪で汚れを取るのはよくあることだ。

……自分の体に他人を寝かせながらやるか、だと?

貴様、竜を下等な獣と同じだと思っておらぬか?

身体を許すのは親子かつがいの間柄でもなければ……。

——…………つがい…………。

——……うむ。

——……貴様の言いたいことは理解した。

——我が人里に見かけた光景も……親しき間柄の人間同士が、やっていたな。……うむ。

……結局次は膝枕してほしいのか?……う、うむ。それは……次までに考えておこう。

——耳の汚れを取らねばな。そのための耳かきだからな。

——我は貴様に感謝しているのだぞ。耳の聞こえが悪くなったなどと同族に相談すれば、いい笑いものだ。

人間がこんな道具で汚れを取っていたとは。

——……これはそのための道具であろう?決して、親しい間柄で互いに心地よくなるためではなく。

……うむ。そうであるな。

(耳かき続く)

——……人間よ、妙な声を出すでない。汚れ取りごときで声を出すなど、情けないぞ。

……我も声を出していた?な、何を言うか。

強大な竜が貴様の耳かきごときで、心地よさに溺れるはずが無かろう……!

——むう……終わりだ。耳の汚れは全て取ったからな。

(反対側耳かき終わり)


——では最後に心地よい毛玉で……。

いや、毛玉で耳を綺麗にせねばな。まだ耳に汚れが残ってるかもしれんからな。


(反対側梵天耳かき始まる)

——一応言っておくが、この棒を清めていたのは、我が綺麗好きなだけであって、

貴様を普段の我のように心地良くしたい、などという不埒な考えではないからな?

……耳かきは別に不埒じゃない?

——むう……そうだが、人間といえどこのように軽々しく互いの体を絡ませるのは……。

……いや、忘れろ。


(反対側梵天耳かき終わり)


——これで我の貴様への耳かきは終わりだ。

早く我の脚から離れるがよい。早く。

(下りる音)

(声正面から)

——さて……どうであった?我の、その……耳かきは。

……いつもここに来るまでの疲れが取れて気持ち良かった、と?

グルル…。ならばよい。

……貴様、そろそろ人里に帰るのか。

その神話の研究とやらに必要なら、また明日もここに来るとよい。

——それに……竜と人間との友好関係には、耳かきのような楽しみも必要であろう?

……そうであろう。またしてやる。

だから我にもちゃんと耳かきをするのだぞ。

これは人間の文化であり、我々の行いに何も不埒な所はないからな。

……服は着ぬ。我は竜だ。

——うむ。また会おう、人間よ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
巨大な竜娘に気に入られて耳かきしてもらう話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えむおーおー
ライター情報
ファンタジー系ASMRが好き。
耳かきしながらずっと話してるタイプの作品が好きなので、文章長くなりがちです。
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