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【甘々/寿命差】夜叉の少女はアナタから離れたくない
written by 霜月鷹
  • ファンタジー
  • 告白
  • 甘々
  • 切ない
  • 異種族
  • 寿命差
  • 人外 / モンスター
  • クーデレ
公開日2024年03月18日 22:33 更新日2024年03月18日 22:33
文字数
1292文字(約 4分19秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
夜叉の少女(外見に反して長命)
視聴者役柄
夜叉を慕う人間
場所
特になし
本編
ん……なんだ、お前か。
私のような夜叉に、よくもまぁ懲りずに会いに来るものだ。
それで、今日は何の用だ?
話し相手になってほしいのなら、何か私を楽しませられるような話題を用意しろ。
ふっ、このやり取りも、すっかり板についてしまったな。
さて、今日はどのような話をしに来たのだ?
ほぉ……私が恐れているもの、怖がっているものか。
確かに私は長き時を生きた夜叉、お前のような人間から見れば恐ろしくて堪らない妖魔とも幾度となく戦ってきた。
しかし、私を怖がらせた者などは記憶にないな。
ふん、そう残念そうな顔をするな。
かつての敵にそのような者が居ないというだけで、今の私にそれが無いという訳ではない。
お前の質問に答えるとするなら……そうだな。

強いて言うなら、それはお前かもしれない。

「こんなに優しい人間が」って……あぁ、お前は優しい。
優し過ぎて、怖いくらいだ。
私は戦に明け暮れ、この手を血に濡らし、幾つもの……数え切れない生命を奪ってきた。
死の訪れを感じたことも一度や二度とではない……この体に刻まれた無数の傷がその証拠だ。
しかし、この傷の全てを以てしても、私に恐怖を与える事はなかった。
当然の事だと、夜叉である私にはそのような物は存在しないと、心からそう思っていた。
だが、今は違う。
一つの命として私に触れ、私を愛し、慈しんでくれるお前を知り……私は、恐れてしまったんだ。

お前を喪いたくない……心の底から、そう思ってしまったんだ。

お前と共に居たい、お前と同じ時を過ごしたい……お前と、生涯を添い遂げたい。
しかし、それは叶わない。
お前がどれだけ歳を重ねることが出来たとしても、お前は私を置いて逝ってしまう。
そうだ……私とお前では、生きる時間が違うんだ。
お前を永遠に喪う未来が定まっているなど、私には耐えられない。
いつか訪れてしまうその日が……私は、恐ろしくて仕方がないんだ。

だから……だから、私は……出来ることなら、お前とは出会いたくなかった。
大切な物など、手に入れたくはなかった……!
何物にも代えがたい物を喪ってしまう、その恐怖を……私は知りたくなんかなかった!
嫌だ……お前が居なくなるなんて、そんなのは絶対に嫌だ!
(嗚咽)
え……?
それでも、私と一緒に居たい……?
そ、それは私だって……!
でも、私はお前を喪う事は──
(溜め息)
お前は恐ろしいだけでなく、本当に酷い人間なのだな。
私に喪失の傷を抱えて生きてほしいなど……私が屠ってきたどんな者よりも悪辣だ。
ただ……そうだな。
いつかの未来に出来るであろう傷は、お前が私と共にあったという何よりの証明だ。
体に刻まれた傷と同じ……ただ、それよりもずっと深いところに刻まれた、心の傷。
死を迎えるその時まで、決して癒えることのない傷跡。
あぁ、良いだろう……お前に、私の心に傷をつける権利をやろう。
その代わり、一つ約束をしてほしい。
私がその傷を愛おしいと思えるよう、共に多くの思い出を作ってほしい。
共に笑い、共に泣き……お前に出会って良かったと、今以上に思わせてほしい。
お前がそれを誓ってくれるのなら、私もお前の傍に居る。
お前が死を迎える瞬間、もっと私と一緒に居たい、私を遺して逝きたくないと心の底から悔やませてやる。

だから、これからもよろしくな……私の、世界で一番の宝物。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【甘々/寿命差】夜叉の少女はアナタから離れたくない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹
ライター情報
主に女性演者様向けの台本を書いてるタヌキ的な「何か」です。
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