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愛に飢える彼女がポッと出の主に送った闇DM
written by 蚊ネコ
  • シリアス
  • ホラー
  • ヤンデレ
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1847文字(約 6分10秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
何となしに配信を始めた系の男性がちょっとヤバそうな女性に偶然気に入られて、闇深いDMが送られてくるというお話です。萌えはありません。ひたすらにゾクゾクしたい人向け?萌えはありません!
本編
突然のDM、失礼します。

人生に絶望して、死のうと思っていた時に、私は偶然貴方の放送を拝見し、心が幾分にも救われたのです。
画面越しから聞こえてきた、耳触りの良い、とても落ち着く貴方のそのお声が、私の全てを包み込んで、全てを溶かし、受け入れ、許してくれるような、そんな気持ちになって、私はいつの間にか、自然と両目から涙を流していました。

貴方は、私に残された最後の砦(とりで)だと思いました。

貴方は、貴方ならば、いつか私の闇を全て綺麗に打ち消してくれる。

そう願い、望んで止まないのです。

そんな、偶然見つけた光の集合体のような貴方という存在に、少しずつにでも、私という存在の闇を受け入れてほしい。
今、そんな気持ちで、1年を振り返りながらこの文章を打っています。


1人目は、年上のシュッとした男性でした。
満開の桜を見上げながら、『君よりも美しい花はない』などと、キザな言葉を吐く人でした。

しかし、彼には既に、婚約者がいた。
『あの言葉は嘘だったの?』と問い詰めると、『あの日の桜は永遠ではなく、すぐに散るものだ』などと屁理屈を言うので、私はつい、カッとなり。 

やがて、誰も知らない場所に咲く、あの木の下に、彼をそっと、埋めました。


2人目と出会ったのは、ジメジメとした梅雨の季節です。
『一途に愛してくれないのなら、近寄らないでほしい』と忠告をする私の手を取り、優しく笑いかけて傘を差し出した、そんな愛らしい男性でした。

しかし、彼は、とても心の弱い人物でした。
彼は、私のことを愛せば愛すほどに、私の愛を信用できなくなり、次第に心が壊れていったのです。

ついには、私の愛が伝わることなど叶わず、私の愛が欲しくて心を病ませた彼は、一方的に、この世から旅立ってしまいました。


もはや私に生きる価値などない。
凍える冬の寒さに、耐えられる気力さえもない。
もう、何もかも終わりにしたい。


そんな矢先に出会ったのが、3人目の人。
彼になら、たとえ殺されても構わない。
そのくらい、情熱的に燃え上がり、死ぬ気で愛そうと思えた人でした。

それなのに、彼は数週間前、私にナイフを向けた。
そんなにも、私のことを愛してくれているのだろうかと、心をときめかせることが出来たのは、束の間。

『兄貴の復讐だ』と、彼は確かに、私ではなく、「他者」を想っての殺意を私に向け、そう言ったのです。

もう、何もかもが嫌になり、私は彼からナイフを奪うと、それを、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も振り下ろしました。


今度こそ何もかも嫌になったので、せめて誰かにこんな私のことを笑い飛ばしてもらえればと、そんな気持ちから「自殺配信」でもしようと、スマホを触っていた時でした。

そんな時に、貴方と出会ったのです。

閲覧は1桁。

『一名様いらっしゃい。ゆっくりしていってね。僕は君のことが大好きだから、ずっとずっと側にいてほしいな。』

貴方の魅惑的なお声が放ったその言葉に、ビックリして、このスマホを床に落としそうになりました。

会ったこともない、見ず知らずの人のはずなのに、彼は既に、私のことを見ている。
私を必要としている。
私を大好きだと、伝えている。
この人はつまり、もう、ずっとずっと遠い昔から、私のことを待っていたに違いない。
究極の愛で、私を引き寄せてくれたのだと、次第にそう確信をしました。

今、コメントを打てば、私のことを認識してもらえるかもしれない。
早く認識してほしい。

……でも、今はダメ。
閲覧の数字が「1」になってから。

それなのに、いつも、いつもいつもいつもいつもいつも邪魔がいる。

2人きりの時間を待てば待つほど、邪魔な人間を通報すればするほど、何故だかその人数は増える一方で、
今では2桁?

悔しくて、悔しくて、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も気がおかしくなってしまいそうになるのです。


そうした中で、昨日、ぼんやりと貴方のアカウントを見つめていたら、この「DM」という存在に、ようやく気が付きました。

貴方の放送に固執するあまり、こんなにも簡単なコンタクト方法に気が付けずにいました。


貴方からのご返信を、心より、お待ちしています。






……よし。
フフッ。

「送信」っと。

うーん……きっとすぐには、読んでくれないよね?

……あ。
生放送、始まった♡
イヤホンイヤホン……
よし。

ふふっ……

フフフフフッ……

相変わらず良い声だなぁ♡

うん、いらっしゃいましたよ♡

私も……大好き。


……(ぼそっと)アタシのこともしも"ブロック"したら、殺しに行くからね?








おわり
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
愛に飢える彼女がポッと出の主に送った闇DM
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
蚊ネコ
ライター情報
 初めまして。蚊ネコと申します。
 演じる方、聴く方が楽しめるような台本を目指しています。
 お気軽にご使用いただけますと非常に嬉しいです!!アドリブや一人称・タイトル変更もご自由にどうぞ!!
※お手数ですが、ゆるボイ!さんの規約は必ずお守りください!!
※素敵なクソデカ感情作品を利用実績に埋め込ませる作業をたまにします。ご容赦くださいますと幸いです。
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