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ふぉっくすている
written by 霜月鷹
  • 耳かき
  • お姉さん
  • ヤンデレ
  • 人外 / モンスター
  • 年上
  • 癒し
公開日2021年07月01日 03:44 更新日2022年05月24日 02:25
文字数
2740文字(約 9分8秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
人間の女性に化けていた妖狐
視聴者役柄
地元に帰ってきた青年
場所
暗い夜道→雨の音が聞こえる日本家屋
あらすじ
仕事に疲れ、地元に帰ってきた貴方。
久しぶりに懐かしい道を散歩していたら、辺りはいつの間にか夜になってしまいました。
そんな時、不意に誰かが声を掛けてきて……気が付いたら、いつの間にか雨の音が聞こえる日本家屋の一室に。
其処に居たのは貴方と、何処か懐かしい雰囲気を漂わせる──狐のお姉さんでした。
本編
あの……そこの御方、少し宜しいでしょうか?
お恥ずかしながら私、足を挫いてしまって……この辺りを歩くのは初めてで、おまけに辺りはすっかり夜で、誰にも気付いてもらえなくて。
えぇ、はい……申し訳ないのですが、何処か一休みできる場所まで肩を貸してはもらえないでしょうか?
まぁ……ありがとうございます。
こんな、見ず知らずの私に手を貸してくださるなんて。
「家まで帰る足がないなら、今日は泊まっていけば良い」……?
有り難いのですが、その……本当に宜しいのですか?
「袖振り合うも多生の縁、困っている人を放ってはおけない」……ですか。
うふふ、貴方はなんだか不思議な御方ですね。
初めて会う私にそこまで優しくしてくれるなんて──

(一人称、口調が変化。怪しい雰囲気に)

優しいのは美徳ですけど……それにしたって少し、警戒心が薄いんじゃありません?
こんな古典的な方法に引っかかっちゃうなんて……ひょっとして時代劇とか、お好きなんですか?♪
まぁ、貴方みたいな人が時代劇を見てるところなんて中々想像できませんけどねぇ……っと。
そんな事はお・い・と・い・て、こんな暗いところで立ち話をするのもアレですから、ちょっとばかり眠っててもらいますね〜
心配は御無用、私のおうちに来てもらうだけですから。
貴方は到着するまで、ぐっすりスヤスヤと眠っててくださいね♪

(雨音)

ふふ、私の布団でぐっすり眠ってる。私の匂いに包まれて……うふふ♪
可愛らしい寝顔……出来ればそろそろ起きてほしいけど、こうして寝顔を眺めているのも悪くはないかも。
あら、起きてしまいましたか……おはようございます、よく眠れましたか?
そうですか、それは良かったです。最近はあまり休めていないようでしたし、ちょうど良い休息になったのでは?
おや?どうかしました、そんな狐に摘まれたような顔をして?
いや、実際に貴方の事を私が摘んだのは事実ですが──「尻尾と耳」……?
えぇ、それはまぁ私、狐ですから。耳や尻尾の一つや二つくらい付いてても当然ですけど。
もし良かったら触ってみますか?手入れは入念にしているので、モフモフでフワフワしてますよ♪
ね、モフモフでフワフワで……ずっと触っていたくなるでしょう?
「確かに尻尾は気持ち良いけど、自分はどうして此処に居るのか」……やっぱりその事、気になっちゃいますよね。
でも、その前に少しお話しませんか?別に、今すぐ貴方の質問に答えてあげても良いですけど……その、私の心の準備がまだ出来ていないので。
そ、そうだ!ちょっと待っててくださいね。お湯は沸かしてあるので、すぐに淹れてきます。
(しばらくの沈黙の後、卓袱台に茶碗を置く音)
抹茶……お好きでしたよね?誰かの為に淹れるのは久しぶりだったので、正直なところ味にはあまり自信がないのですが。
良ければこちらもどうぞ。貴方に会いに行く前に、ちょっと奮発して買っておいた和菓子です。
「お茶もお菓子もとっても美味しい」……良かった。
私、自慢じゃないですけどお茶に合うお菓子を選ぶの、得意なんです……だから、気に入ってもらえたなら、またいつでも用意してあげますね♪
(膝をポンポンと叩きながら)
お茶を楽しんだ後は……こっちに来て、少し横になりませんか?
しっかり眠って体の疲れは取れたと思いますけど、まだ心は疲れたままでしょう?
なので、私が耳かきをしてあげます。これなら貴方の心も落ち着くでしょうし、ついでに耳の掃除もできますからね。
(膝に頭を置く音)
あら、意外と素直に来てくれるんですね……それではまず右耳から、始めますよ。

(耳かき開始)

(耳かき一時停止)
うふふ……こうして見ると、昔と変わらず可愛らしい顔をしてますね。
えぇ、貴方は覚えてないかもしれませんが、私とは一度だけ、小さい頃に会った事があるんですよ。
可能なら自力で思い出してほしいんですが……その顔、もしかして私の事、思い出してくれたんですか?
うふふ……答え合わせは、こっちの耳が終わってからにしましょうね。
(耳かき再開)

(耳かき停止)
はい、右耳は終わりましたよ。次は左耳……の前に。(耳に息を吹きかける)ふふ……相変わらず、貴方は可愛らしいですね。
それでは先程の答え合わせですが……正解。
私は、貴方が小さい頃に仲の良かったお姉さんでした……久しぶりね、元気にしてた?
懐かしいでしょう?貴方が小さい時もこうやって耳かきをしてあげて……もうすっかり、大きくなったわね。
さっきは初めて会うみたいな素振りを見せて、ごめんなさい。
本当は私、今でも覚えてもらえているのか不安で──けどね、ちゃんと思い出してくれて私、とっても嬉しいわ。
それより、今は反対側を向いて。耳かきの続き……始めるわよ。
(耳かき開始)

(耳かきをしながらの台詞)
私ね……実は貴方の事をずっと見ていたの。貴方が遠くに行ってしまってからも、こっそり後を追いかけて。
だからね、また此処に戻ってきてくれた時……本当に嬉しかったの。
また昔みたいに毎日一緒に居られる、あの時約束してくれたように……結婚して、私の旦那さんになってくれるって、そう思ったの。
でもね……帰ってきた貴方は、身も心もボロボロだった。
色んな人に好き勝手に利用されて、誰も貴方の事を見ようとしないで、大勢の人間が貴方を道具みたいに使い潰そうとしてた。
そんなの、許せる訳ないよ……私の大切な貴方を好き放題に傷付けて、必要じゃなくなったら躊躇いなく捨てるなんて。
私から貴方を奪っただけでも許せないのに……でも、貴方はこうして私のところまで帰ってきてくれたから、他の人間の事なんてもうどうだって良いの。
アイツらには、私がしっかり「仕返し」をしたから。

(耳かき終了)

さ、こっちの耳もフーってしちゃいましょうね。(耳に息を吹きかける)はい、耳かきはこれでおしまい……気持ち良かったかな?
それは何より。貴方が喜んでくれて、私も嬉しいわ。
あのね……一応伝えておくけれど、貴方はもう、この屋敷から出ることは出来ないわ。
この屋敷は現世よりもずっと、黄泉の国に近い場所に存在しているの。
貴方も聞いた事があるでしょう?「黄泉の国の物を口にしてしまったら、もう二度と外へ出ることは出来ない」っていうお話。
そう、あのお茶……あれは此処の物だから、それを飲んでしまった貴方はもう、永遠にこの場所から出ることは出来ないわ。

でも、そんな事はもうどうだって良いわよね?

だって……此処には私が居るし、貴方を傷付ける人間は一人も居ない。ここに在るのはいつまでも続く安らぎと、二人だけの幸福な時間……とっても素敵でしょう?
もし仮に貴方が嫌がったとしても、私は絶対に諦めないからね?貴方が私との幸せを受け入れてくれるまで何年でも何十年でも何百年でも、ず〜っと貴方の傍にいるから。
ふふ、貴方ならそう言ってくれると思ったわ。
これでもう、貴方は私のモノ……もう誰にも奪わせたりなんかしない。

これからもどうか、末永く幸せになりましょう……私の旦那様♪
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ふぉっくすている
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹
ライター情報
主に女性演者様向けの台本を書いてるタヌキ的な「何か」です。
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