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【男性向け】運命【ヤンデレ】
written by 平 朝臣
  • シリアス
  • ヤンデレ
  • SF
  • タイムマシン
  • タイムトラベル
  • 拉致
  • 誘拐
公開日2021年07月22日 14:30 更新日2021年08月25日 02:10
文字数
3796文字(約 12分40秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
現代人
視聴者役柄
未来人
場所
現代
あらすじ
ある日、一人で外出していたキミ(聞き手)は、雑踏の中で、一人の少女(演じ手)に声をかけられる。
だが、彼女は、70年後の未来からやってきた未来人を名乗り、過去ーーーすなわち、現在における未来を変えるために、協力して欲しいと申し出てきたのであった。
当然、最初は戸惑っていたキミだったが、彼女の熱意に心を動かされ、協力を約束することとなる。
しかし、キミも、彼女も、この時は知る由もなかった...。
この出会いが、歴史の必然であり、運命の悪戯だったことを...。
本編
SE:人混みの音

SE:駆け足で寄ってくる音

#息を切らせながら、急いだ様子で訊ねる

ハァ...ハァ...ね、ねぇ、そこのキミ!

...そう、そこのキミ!

えーと...ちょっと、聞いてもいいかな?

その...今、西暦何年の何月何日か、分かる?

#苛立たしげに

...いいから、早く答えてってば!

...20XX年のX月X日...?

(Xの部分は自由に変換しても問題ありません)

つまり...ちょうど、70年前...!

#顔を綻ばせる

っ...!

や、やったぁ!

遂に、私、過去にやって来れたんだよっ!

アハッ、アハハハ...!

#噛み締めるように

そっか、そっかぁ...。

ここが、70年前の、お婆ちゃんの故郷なんだね...。

古い写真や映像記録でしか見たことなかったけど、何か、ノスタルジックな気分になっちゃうなぁ...。

(しばし無言で周囲を見回して、気分に浸る)

(しばらくしたら、はっと我々に返る)

あ...そ、そうだ!

危うく、忘れちゃうところだったよ...。

SE:手持ちの小物入れをガサゴソまさぐる音

えーっと、確か、ここだっけかなぁ...。

あ...あった、あった!

はい、コレ!

SE:一枚の古ぼけた写真を差し出す音

実は、この写真に写ってる男の子を探してるんだけど、心当たりはない?

もし、何か知ってることがあれば、教えて欲しいんだけど...。

...え?

この写真を、どこで手に入れたんだ、って...。

#困り気味に

そ、それは、その...。

#何かに気がつく

...あれ?

そういえば、どことなく似てるような...。

ね、ねぇ!

キミの名前って、もしかして...!

#興奮気味に

...っ!

や、やっぱり、そうだったんだ...!

うわぁ、すっごーい!

ここまで来ると、もう運命としか思えないよね、アハハッ!

...へ?

それより、私が何者なのか、早く教えて欲しい...?

#何かを思い出したかのように

あっ...そ、そっか、そうだよね!

こういう時は、自分から挨拶しろって、お婆ちゃんも言ってたし、まずは、自己紹介しないと...。

#咳払い

こほん...。

えーっと...最初に言っておきたいんだけど、今から言うことは全部事実だから、それだけは覚えておいてね。

実は、私...今から、70年後の未来から来た、未来人なんだ...エヘヘ...。

...あ~...やっぱり、そういう反応になるよね...。

う~ん...じゃあ、こんなのはどうかな?

キミ、ヤンデレのシチュエーションボイスが好きで、動画サイトでよく視聴してるでしょ?

...なんで、そんなこと知ってるんだ、って...。

クスクス...そんなの、当たり前だよ~。

だって、キミの彼女...つまり、私のお婆ちゃんが、よく話してたからね。

まぁ、それはそれとして、なんで、私が、わざわざ70年前の過去にやってきたかというと...。

キミの彼女がお婆ちゃんで、私が孫ってことは、常識的に考えて、キミは私のお爺ちゃんにあたることは、分かるでしょ?

でも、未来におけるキミと私の血縁関係は、全く繋がっていないの...。

こう言われると、意味が分からないと思うかもしれないけど、れっきとした事実なんだ...。

で、その原因なんだけど...。

今から1年後に、キミとお婆ちゃんは結婚式をあげるんだけど、その前夜に、キミが謎の失踪を遂げてしまうことが、確定してるからなの...。

だから、お婆ちゃんは、キミとは別の男の人と結婚して、その結果、私が産まれたってことなんだ。

...え?

それと、私が過去に来たことに、どういう関係があるんだ、って...。

#待ってましたと言わんばかりに

そうそう、そこが重要なのよ!

実はね、お婆ちゃんもキミのことがずっと忘れられなかったらしくて、失踪の理由を調べるために、なんと、タイムマシンを作り始めたんだ。

けど、完成まであと一歩ってところで、寿命が近いことを悟って、娘...つまり、私のお母さんに、託したの...。

必ず、あの日の真相を究明するという強い意志と共にね...。

そして、その意志を継いだお母さんがタイムマシンを完成させて、さらに、孫の私が、真実を確かめるために、過去にやってきたってわけなんだ~。

#自慢げに

ふふーん...どう?

スゴいでしょ?

こんな壮大なストーリーが未来で展開されてるなんて、想像できないかもしれないけど、さっきも言った通り、全部事実だからね。

でも、だからこそ、キミにも、協力して欲しいの...。

未来と過去を、変えるために...。

キミのために、一生を捧げた、お婆ちゃんのために...。

#必死に懇願するように

ねぇ...お願い...!

...へ?

ほ、本当に、いいの...?

というか、普通なら、出会ったばかりの私なんか、信用できないと思うんだけど...。

...私が本気だってことが伝わってきたから、信じる?

そ、そうなんだ...。

エヘヘ...うん、ありがとう!

それじゃ、早速だけど...。

今から、お婆ちゃんの家に行かない?

ちなみに、住所は調べてあるから、案内は大丈夫だよ。

...え?

なんで、って...も~、そんなの決まってるじゃん。

昔のお婆ちゃんを、一目見ておきたいからだよ~。

せっかく、過去に来たんだから、それくらいは当然でしょ?

あ、でも、直接会うわけじゃないから、そこは安心していいよ。

そうすると、色々ややこしくなっちゃうしね。

あと、若い頃のお婆ちゃんって、かなり美人でモテたって言ってたから、それもちょっと興味あるんだよね~、エヘヘ...。

まぁ、そんなことより、まずは、早く行こっか!

SE:走り出す足音

#走りつつ振り向きながら声をかけるように

ホラホラ~!

さっさとしないと、置いてっちゃうよ~!

私達に残された時間は、長いようで短いんだからね~!

SE:人混みの音と足音がフェードアウトして一旦終了
 
(しばらく間を空けて場面転換する)

(1年後、結婚式前夜)

ふぅ~...ようやく、この日がやってきたね...。

#しみじみと思い出すように

それにしても、色々あったなぁ...。

私の存在が、お婆ちゃんにバレそうになったり...。

キミとお婆ちゃんが破局しかけたせいで、私が関係修復に奔走する羽目になったりして...。

#苦笑気味に

ホント、大変だったよね~...。

でも、その分、キミとの楽しい思い出をいっぱい作れたのも、事実なんだ...。

それこそ、未来に帰るのが、イヤになるくらいには、ね...。

(しばしの無言)

#重い空気を変えようと、無理矢理明るく振る舞いながら

そ、そういえば、お婆ちゃんのウェディングドレス姿、見た?

スゴかったよね~、アレ。

あんなキレイなお婆ちゃん見たら、なんか、私も結婚したくなっちゃったな~...。

...え?

私も、いつかは素敵な相手が見つかる?

エヘヘ...そ、そうかな?

でも、私はもう決まってるから、心配いらないよ。

...どんな相手なんだ、って...。

ニヒヒ...知りたい?

じゃあ、とりあえず、目を瞑って?

...なんで、って...ホラ、いいから、いいから!

とにかく、早く!

...うん、それでいいよ...。

#正面、至近距離、囁き

次は、両手を出して...。

...そうそう、そんな感じ...。

そして、最後は~...。

SE:手錠をかけられる音

#左耳、至近距離、囁き

クスクス...つ~か~まえた~♪

#正面、通常距離に戻る

あ、ちょっと~。

まだ、目開けていいって言ってないのに~...。

...え?

これは、何のつもりだ、って...。

この話の流れで、まだ、気づいてないの?

クスクス...ま、いっか。

じゃあ、キミにも、分かるように説明してあげるね。

突然だけど、キミは、エヴェレットの多世界解釈って、知ってる?

これは、量子力学の観測問題において、コペンハーゲン解釈と並んで有名な解釈なんだけど、ようは、パラレルワールドみたいなものなんだ。

何でそんな話をしたのかっていうと、実は、この解釈を基礎にして、タイムマシンが作られているからなの。

だから、本来いるはずのない私が介入したとしても、そこから新しい世界に分岐して、タイムパラドックスが生じない仕組みになってるはずなんだけど...。

なんか、おかしいと思わない?

だって、この理論が正しいとしたら、この日の真相を突き止めて、それを阻止したとしても、何の意味もないってことになるし、お婆ちゃんの目的すら、分からなくなっちゃうからね。

だから、私はある仮説を立てたの...。

それは、私が過去にやってきた瞬間が分岐点となって、そこから本来の世界に収束したということ...。

つまり、私が過去にやってきたことや、その後の行動...。

そして、私がキミを好きになってしまったことさえも、一つの未来に至るまでの過程であり、運命だったってことなんだ...。

クスクス...まさか、こんな皮肉な真実だったなんて、私も思わなかったなぁ...。

まぁ、でも、今となっては、そんなことすら、どうでもいいけどね...。

今の私にとって重要なことは、キミをお婆ちゃん...うぅん、あの女から取り戻して、あるべき歴史へと修正することなの...。

そのためには、キミが謎の失踪を遂げることが条件なんだけど、これに関しては問題ないよ。

だって、私と一緒に、タイムマシンで未来に帰るだけでいいんだからね...クスクス...。

#恍惚としたヤンデレボイスで、妄想を一方的に捲し立てながら

アハァ...楽しみだなぁ...。

未来に帰ったら、まずは、何しよっか...?

やっぱり、結婚式...?

キミも、そう思うよね...?

あ、お金は心配しなくてもいいよ...。

未来には、シミュレーテッド・リアリティで体験できる結婚式サービスとかあるからね...クスクス...。

あと、それからは、私とキミで家族を作ったり、子供の成長を一緒に見守ったりして...。

そして、最期は、二人で同じお墓に入るんだぁ...。

アハハッ!

考えただけで、ゾクゾクしちゃうよね...。

ねぇ、キミも、そう思うでしょ...?

#一転して低い声で

...ふーん。

まだ、自分の運命を受け入れられていないんだね...。

#声の調子を戻して

クスクス...心配しなくてもいいよ...。

確かに、過去を変えることができないのは、証明されちゃったけど...。

でも、未来を素晴らしいものに作り変えることは、誰でも、出来ることなの...。

だからこそ、キミにも、手伝って欲しいんだ...。

私とキミの、輝かしい未来のために、ね...。

フフフ...アハハハッ!
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【男性向け】運命【ヤンデレ】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
平 朝臣
ライター情報
タイラ トモオミ
 初めまして。
 平朝臣と申します。
 ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
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