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【吸血鬼二人で…3】二人で生きると吸血鬼と少年(少女)…掛け合いver.
written by 葛葉 茉白
  • シリアス
  • ファンタジー
  • 少女
  • 少年
  • 人外 / モンスター
  • 看病
  • 切ない
  • 吸血鬼
  • 俺様
公開日2021年07月28日 00:11 更新日2021年07月23日 03:08
文字数
4177文字(約 13分56秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
吸血鬼・人間(男女どちらでも)
視聴者役柄
指定なし
場所
総合病院
あらすじ
【あらすじ】
吸血鬼と少年(少女)の掛け合いver.となります。
単に吸血鬼ver.と少年ver.を掛け合いに直しておりません。新しいエピソードを追加しておりますので、先の二作品をお読み頂いた方にも楽しめる作品になっております。

病院の屋上で出会った吸血鬼と余命幾ばくもない少年(少女)話をするうちに打ち解けていく。少年(少女)は本当は生きたいと願いながらも家族を思って天命を受け入れようとしていた。
吸血鬼自身もずっと一人でいることに寂しさを抱えていた。そしてそんなに少年(少女)に吸血鬼はある提案をする。

【注釈】
全編を通しての音声化が長いと感じる方は、前後編に分ける事をお勧めします。

その際、前後編に分ける時の目安になる場所に・・・と~~~印を付けております。
前編の終わりと後編の始まりを二行ほど重複させる事で後半に期待を持ってもらい誘導する様に仕掛けてありますので、お気をつけ下さい。

※この台本は女性向けに書いてはありますが、語尾の変更、一人称を変更する事で吸血鬼を女性でも演じて頂けます。
少年の方も同じく少女で演じて頂けます。

☆吸血音がYouTube等ではR指定になり広告等がつかない場合がありますので、ご使用の際にはお気をつけください。

《ご挨拶》
初めまして拙い本を手に取って頂きありがとうございます。

《朗読される演者様へ》
話の本筋が変わらないアレンジや言い回しは演者様にお任せします。
文字と読み言葉では違いが出ますので、その辺に関しましては演者様のやり易い方向でお願いいたします。
本編
ト書の種類
【 】 場所、シーンチェンジ、SE:指示
( ) 心情、行動 (心の声)呟き
【()】少年(少女)の心情、行動

~~~本編~~~
・・・・・・【前編】・・・・・・
【病院の屋上】

少)…吸血鬼さんいる?
なにか話を聞かせてよ。
(ぐるっと周りを見渡しながら声をかける)

(少年(少女)の脇に降り立つ)
鬼)うるせガキだなまったくよ。
毎晩、毎晩来やがって…

少)別にいいでしょう?どうせ暇なんだしさ(笑)

鬼)まぁたまにはこうやって人間と話すのも悪くは無いさ。

少)でしょ…
でもなんで病院の屋上に住んでるの?
死神じゃないなら…

鬼)なんで?俺さ、あんまり人の血を吸いたくないんだ。
だから、ギリギリまで我慢すんだけど…
どうにもならない時がある。

少)まさかその時に弱ってる患者さん襲うの?

鬼)ばーか、そんな事はしねぇーよ。
ここって輸血っていうんだけ?それ用のパックに入った血液あんだろ?
それを一パックだけ頂くんだ。

少)頂くってそれ泥棒じゃん。それにその血液パック…

鬼)あぁ、分かってる。でも俺だって腹ぺこで死にそうなんだし…ひとつだけからさ。見逃してくれ。

少)それでもね!ダメなんだよ。

鬼)わかった…本当の事なんて言わなきゃよかった(呟く)

少)なに?吸血鬼さん。

鬼)お前さ。いやなんでもない…
(ポンポン頭を軽く叩く)
良い奴だな…

少)今頃。気づいたの(笑)

【笑い声…フェードアウト】


【シーンチェンジ・病室】

(ベッドに近づいて)
鬼)最近、屋上に来ないと思ったら…

【(弱々しく空元気)】
少)ごめんね…夜は絶対に病室からでちゃダメって怒られちゃった。
だから屋上にも、吸血鬼さんにも会いに行けなくて。寂しかったもしかして(笑)

(少し心配そうに)
鬼)そんなの事はまぁあるかな?
…しかし、随分と弱ってるな。
そろそろか(呟く)

少)たぶんね…でも…

鬼)なんだ?

少)別になんでもない…

(頭を撫でながら)
鬼)本当は怖いんだろ?
言わなくてもわかるさ…

少)わかってても怖いんだよ…死ぬのはさ…

鬼)誰だって死ぬのは怖い。
この俺だって、いつかはきっと死ぬだろ…
その時は怖いと思うさ。

お前、本当に死にたいのか?

少)僕(私が)生きてるとお金がたくさんかかるし、家族に迷惑ばっかりかけるから…
死んだほうが皆のためなんだ。

鬼)よしよし…(頭を撫でる)
そんな風に考えてんのか…
生きてる事が迷惑をかける…なんて悲しい事を…

少)だってお父さんやお母さん…家族みんなにいっぱい迷惑かけてる。その方が辛いし、悲しいよ。

鬼)お前、家族と別れる事になっても生きたいか?
二度と会えなくなるってわかってても…
それでも生きる事を望むか?

少)それって…もしかして…?

鬼)そうだ。お前が今、考えてる事だ。
俺と契約を結べばお前は俺の眷属になる。
そうなれば病気も消えてお前も不老不死になるって寸法だ。

少)契約したら僕も吸血鬼になるの?
吸血鬼になって不老不死になったら僕は生きていられるの?

鬼)ただし、そうなればさっきも言ったように親や、兄弟とは別れる事になる。

少)会えなくなるんだみんなと…

鬼)二度と会えないというか…お前の見た目が変わるから向こうにはお前だとわからなくなるんだ。

少)家族と二度と会えなくなる…

鬼)実は俺はさ、もうずーっと一人なんだ。

少)ずっと何百年もひとり…

鬼)そうだ。ずっとひとりだった。
もしも…お前がこのまま死にたいのなら邪魔はしない。
それはお前が自分の運命を受け入れたってことだからな。

少)自分の運命を受け入れる…死ぬ事を受け入れる…

鬼)そうだ。
だが、もしもその運命に抗い(あらがい)生きたいと願うなら…俺と契約しろ。
そして俺と共に生きてみろ。

【(小さく呟く)】
少)運命に抗う……吸血鬼さんと生きる…

鬼)どうだ?

少)……今、決めなきゃダメ?

鬼)イヤ…今じゃなくてもいい。
しかし、お前に残された時間はわずかた…

少)わかるの?僕(私)がいつ死ぬのか?

鬼)ハッキリわかる訳じゃないが、精気が落ちて血の臭いが薄い…

次のその次の満月まで大丈夫だが、その後の満月は…

少)そうか…僕の命はあと1ヶ月…

鬼)そうだな人間の時間だとそれくらいだな…
次の次の満月にまたここへ会いに来る。
その時まで決めろ。

少)もしもそれまでに死んだらどうなるの?

鬼)それもまたお前の運命だったって事だ。そのまま受け入れろ。

少)そのまま…天命…それまでの命だったってことなんだね…

鬼)いいか、だからって適当に考えるなよ。
きちんと頭と心で考えろ。どっちか片方じゃなく、両方で考えるんだ。

少)なんで考えるのは頭だろ?心は関係ないんじゃ?

鬼)とにかく言うことを聞け。

あっと、見回りが来たみたいだな…
じゃあな…満月に来る。

少)わかった。それまで頑張って生きる。それで頭と心で考えるよ。

【SE:引き戸の開閉音】

【シーンチェンジ・次の次の満月の晩】

(ベッドに近づく)
鬼)おい、生きてるか?

【(弱々しく掠れた声で)】
少)なんとかね…

鬼)そうか…それでどうするか決めたか?

少)うん、決めた。一緒に行く。

鬼)そうか、それで後悔はしないか?
人間としての生活を全て捨てる事になるぞ。
家族も友達も…その後は俺と二人になる。
(念を押すように)
それでいいんだな?

少)うん…それでいい…後悔しないよ。
このまま居たってどっちにしても死んじゃうんだ。
なら、僕(私)は運命に抗(あら)がってみる。

鬼)わかった。ならそのまま目を瞑れ…
さっさと契約してしまおう。そろそろ死神があらわれるころだからな…

少)このまま目を瞑ればいい?
えっ?死神が…

鬼)とにかく時間が無い。
じっとしてろ、いいな。

少)じっとしてる…

【吸血シーン】
(基本演者様にお任せ。吸血鬼…少年共に合間にセリフをお願いします。少年はリップ音に合わせて多少喘いで下さい)

鬼)じっとしてろ…

少)あっ……うっ…

鬼)あと少し…我慢しろ…

少)うっ……うん…


【吸血シーン終了】

少)そして僕(私)はこの日吸血鬼になった…


・・・・・・【後編】・・・・・・

少)あの日。僕(私)が死んだ日からもうすぐ一年になる。

僕らは東北の田舎の街でひっそり暮らしてる。

~~~ここまでを前編として使用~~~

何をどうしたのかは僕にはわからないけど…お父さんが何かしたらしい。

まぁその辺はおいおい教えるって言ってるから、今は聞かないことにした。

僕は吸血鬼さんの息子になって、今は高校生活を満喫してる。

暮らし始めた最初の頃は、お父さんなんて呼べなかったけど、今は新しい名前を貰ってお父さんって呼べるようになった。

そして、あの頃の僕には夢だった生活を送っている。
勉強もスポーツも友達と遊ぶ事さえも出来なかったあの頃の夢…

たまにお父さんがふっと寂しそうな顔をするけど…今は見ないでおこう。

きっとこの先何百年も生きるって事の意味を僕もいずれ知る…それを思うからあんな顔をするのかなって思うんだ。

でも今は…この生活を大切にしてお父さんと二人で生きていく。

お父さん、僕、そろそろ学校に行くね。
朝ごはんはテーブルにあるから、嫌がらずに食べるんだよ~

行ってきまーす。

鬼)う~っんわぁぁ(欠伸をする)
しかし、翔(しょう)の奴は相変わらず元気だな…

血も吸ってないし、普通の人間の食事だけで良くもまぁ、こんな太陽の下を歩けるもんだ。俺には無理だわ。

でもなんであいつを巻き込んじまったんだろう…俺がひとりでいる孤独に耐えられないからって…

あいつは自分が生きる事を望んだからって言うかも知れないけれど、あいつがそう言う様に仕向けたのは俺だ。

俺自身があいつと同じように吸血鬼になったから、あいつの心を誘導するのは簡単だった。
暗示もまして魔力なんか使わなくても…

今でもこの選択が正しかったのかわからない。
あの死を覚悟し、それでも生きたいと願ったあいつの顔が昔の自分と重なった事だけは確かだ。

あいつを吸血鬼にしてしまった日…あの日…

・・・・・・回想・・・・・・

鬼)この二つの血を一緒に飲め。

少)一緒に飲むって…ち、血を飲むってこと?

鬼)そうだ。この二本の指から流れる血だ。

少)わ、わかった。この血を飲めばいいんだね(血を飲むリップ音)

鬼)ゆっくりでいいから…

少)(血を飲むリップ音)

鬼)二つの混じりあった血は契約の証しだ。俺の血がお前を吸血鬼にする。

少)うっ…何…急に身体が…息も…苦しい…

鬼)息が苦しいか?そのうち身体中が燃えるよえに熱くなる。

少)はぁ、はぁ息が…
(フラフラで倒れそうになる)

鬼)おっ…と大丈夫か?

少)息が、苦しい、身体中が…熱くてたまらないよ。

鬼)少しの辛抱だ、俺の血がお前の身体の細胞ひとつまで活性化させてるせいだ。

少)はぁ、はぁ、(息が整ってくる)

鬼)そろそろ落ち着いたか?
次に、お前には明日の朝に死んでもらう。

少)えっ?なんで?僕(私)、やっぱり死ぬの?
騙したんだ!

(落ち着かせるように)
鬼)いいから聞け。もしもこのままお前が消えたらお前の家族はどう思う?心配するだろ?
だからその心配を無くすために、一度お前は死ぬんだ。

少)家族に心配かけないように死ぬの?
そのあとは?僕どうなるの?

鬼)そして吸血鬼として生まれ変わる。

少)生まれ変わる吸血鬼に…

鬼)そうだ。これを飲め。
これを飲めば朝にはお前は死んでる。
死ぬのは24時間だけだからその後は生き返る安心しろ。
俺が迎えに行くからそれまでじっとして待ってろいいな?

少)わかった。これを飲めばいいんだ。
そうして僕は一度死んで、また生き返る…

鬼)そうだ。お前が眠りにつくまで傍にいてやる。だから安心していい。

少)わかった(頷いてそれを飲む)
これでいい?僕…本当に…生き返るんだよね?

鬼)あぁ大丈夫だ。安心しろ。
さぁ横になって目を瞑れ…
そのまま深い眠りに落ちろ…


【シーンチェンジ・告別式】


鬼)これが最後の別れだ。

少)なんか変な感じだね、自分の告別式にでるって…

鬼)やっぱり自分の告別式に出るって言うのも変な感じか?

少)うん…なんか変…みんな本当に僕だって気づいてない?大丈夫?

鬼)大丈夫。誰が見ても俺の弟にしか見えないから安心しろ。

少)弟にしか見えない?ならいいけど、
みんな…泣いてる。僕なんかの為に…
吸血鬼さん連れて来てくれてありがとう。

鬼)別に礼なんかいらん。ただちゃんとケジメはつけた方がいいと思ってな。

少)お礼は言わせてよ。ちゃんと最後にお別れ出来て嬉しいんだ…

【二羽の鳥の羽ばたきでフェードアウト】

・・・・・・そして今・・・・・・

鬼)さぁて俺も起きるかぁ…

しかし俺ってこんなに投資の才能があったんだな(笑)

翔には言ってないが金に関しては困ってないんだよなぁ。

昔、助けた人間が何やらお礼にって渡してくれたものが、あっという間に大金になって、それをまた同じようにしてるうちにまた増えてる。

それがあるから人間として暮らす分には、まず困る事はないだろ(笑)


あの日、屋上で見つけた生きたいと切に願った少年と孤独に耐えられなくなった吸血鬼の俺…

二人ならきっとこの先も生きていけるさ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【吸血鬼二人で…3】二人で生きると吸血鬼と少年(少女)…掛け合いver.
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
葛葉 茉白
ライター情報
初めまして台本を手に取って下さりありがとうございます。
葛葉 茉白(くずのは ましろ)と申します。

シナリオの書き方を勉強中の為、読みづらい点が多々見受けられると思います。
また語彙や言い回しも同様なのでその点を了承の上読んで頂ければ幸いです。
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