あなたは日々の生活に限界を感じ、樹海の奥深くへと足を運ぶ。
そこで半人半蛇（はんしんはんじゃ）の魔族ラミアと出会う。
全てに疲れ切ったあなたは死の運命を受け入れようとするが、そんなあなたにラミアはとある提案を促した。
「…それなら私が、愛してやろうか？」

こんな樹海の奥深くに人間とは…珍しいこともあるものだ。
フフ、今日はツイてるなぁ。
見てわかる通り、私はお前たちニンゲンとは違う。私は半人半蛇（はんしんはんじゃ）の魔族、ラミアだ。
私が怖いか？…まぁいい、ちょうど腹が減ってて仕方がなかったんだ。お前のその命、我が血肉になってもらおうぞ！
（数秒の間）
…なぁ、自分で言うのも変だが、少しは怖がったり抵抗したりしたらどうなんだ。
…はぁ？早く楽になりたい？おいおい気でも狂ったのか、哀れなニンゲンよ。
（少し間をおいて）
ふぅん、なるほどねぇ。お前は親に馬車馬のように扱われ、何かしらでお金を献上しないと罰せられる毎日に嫌気がさして飛び出してきたと。
ニンゲンってのは、思っていたより馬鹿な生き物なのだな。
家族という繋がりがあっても、そんな酷いことを平気で行うなんて。魔族よりよっぽど歪んでるじゃないか。
あーあ、なんかアンタと話してたら、毒気が抜けたっていうか。
魔族の私が言えることじゃないが、同情するよ。そんなんじゃ、何のために生きてるかなんて、分からなくなっちまうのも仕方ないよ。
そうだ、　ここで出会えたのも何かの縁だ。
アンタを虐めたというバカな親どもに復讐してやろうか？なに、私も腹を満たせるし、アンタも自由になれる。いいことずくめじゃないか。
…そんなことはしたくない？体も心も傷つけられたっていうのに、アンタってお人よしにも程があるよ。
なんか、なんかないのか？叶えたいことの一つや二つ。
ん？…一度でいいから、誰かに愛されたかった？…そんな事も、お前はしてもらえなかったのか？
…それなら私が、愛してやろうか？いやなに、別に今ここでお前を取って食ってやってもいいんだが…ここだけの話、お前は中々私好みの顔をしているからな。
それに、自分より他者を想うその心…気にいったよ。
毎日、自分以外の目的のために働くのが嫌になったんだろう？
ならば、アンタを、二度と動けない体にしてやろう。
もうお前は、何もしなくていいんだ。いや、何も出来なくしてやる。
ラミアの毒を知っているか？
牙から生成されるこの特殊な毒はな、一滴でも体に侵入したら最後、徐々に体全体が痺れ、感覚が鈍くなっていく。
2滴、3滴と量が増えていけば…血液中に毒素が周り死に至る。
恐ろしいか？だが、本題はここからだ。
私たちラミアは、この毒の量をある程度はコントロールすることが出来る。
死に至るよりも手前、体全体が麻痺する段階で止めてやろう。
そしたら、アンタは誰かにお世話してもらわないと何にも出来ない、ただのお人形さんだ。
今まで、他人に尽くすことばかりしてきたんだろう？
今度は、アンタが尽くされる番だ。
…アンタはもう、頑張らなくていいんだよ。
別に、嫌なら断ってくれてもいい。
人里に戻る道までは案内してやろう。さぁ、どうする？
…死ぬつもりでここに来た。もう、どこにも居場所がない…その言葉は、肯定として受け取っていいのか？
わかった。ならば、儀式を始めよう。
首を、こちらに。少し痛いかもしれないが、我慢してほしい。ありがとう。では…
（噛みつき）
よし、これで完了だ。
ふふ、そろそろ効いてきたかな。
毒が回るまで、私に身を預けるがいい。
（頭を撫でる）
よしよし、今までよく頑張ったな。これからは私がずっと尽くしてやるからな。
身の回りの全てを管理してやろう。
弱ったお前でも食べられる食事を用意して、柔らかい寝床も作ってやらないとな。
ああ、これから忙しくなるというのに、どうしてこうも楽しみなんだろう。
なんていったって、こんなにかわいいお人形が手に入ったんだからな。
だんだんと、力が入らなくなってきただろう？
これでもう、お前は私のものだ。
なんだ？もう1個お願いがある？
抱きしめてほしい、か。フフ、そんなこと。これから毎日いくらでもしてやるさ。
さ、行こう。我らが愛しの愛の巣へ。

・台本（ゆるボイ！）
ラミアさんにお人形にされて飼われるようです
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ソライヌ