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目が覚めるといつもの先輩と知らない病室で…
written by そらくん
  • お姉さん
  • 先輩
  • ヤンデレ
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1458文字(約 4分52秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
先輩
視聴者役柄
後輩
場所
指定なし
あらすじ
記憶の一片や二片、なくしてなんぼですよね。僕も記憶なくしたいです。
本編
…………おや、どうやら目が覚めたようだね。
おはよう。ぐっすり眠れたかな?
って、はは。こんな言葉をかけるには、いささか君は眠り過ぎだね。
なにせ、もう丸3日も気を失って眠りこけっていたから。
驚いた顔。もしかして覚えてないのかい?
何を、って……。そりゃ、自分が足を滑らせて、階段から転げ落ちたことさ。
……っぷ、ははっ。驚いた。その様子だと、本当に記憶が抜けているようだね。
…君はね、私とのおしゃべりに夢中になって、階段から落ちて頭を打ったんだよ。
それはもう見事な転倒っぷりだったなぁ。
アレには、さすがの私も肝を冷やしたよ。
外傷こそなかったものの、君は気を失って動かないし。
そこでまぁ、私が病院に連絡して、君を運んだというわけ。
もちろん、私の父が経営しているこの病院にだよ。
この、いやに豪華な個室は私なりの後輩くんへの取り計らいということさ。
どうだい?納得いったかな?

うんうん。それじゃあ君も目を覚ましたことだし、ちょっと私が診てあげよう。
んー?これでも将来のお医者さんだよ?触診の心得くらい、多少持ち合わせているとも。
いつ何時、君に何があっても守ってあげられるようにね。
どれどれ…じゃあまず眼を診せてごらん?
こらっ、動かないでくれよ。ちゃんとできないだろう?
ほら、私の眼をみて。じっとね。
………そう、いい子だ。
……うん、特に異常はないね。
脈拍を図ろう。手を出して?
………ふふっ、暖かいね。君の手は。
うん、大丈夫そうだ。
そしたら……意識はどうかな?はっきりしているかい?
お名前は?生年月日は?………よしよし。
じゃあまあ、今更だが、私のことは?
そうだね、君の先輩だ。
…………………で、それだけ?
おいおい、まさか……忘れてしまったのかい?
君と私の関係性。ただの先輩後輩じゃないだろう?
………はぁ、その反応。どうやら冗談ではないらしいね。
普段、人の心がないと言われる私でも、これは少し……堪えるかな…。
いいかい、落ち着いて聞いてくれよ?
私と君は………………付き合ってるんだ。
そう、恋人同士なんだよ。
どうだい?思い出せないかな…。
………そうか。いや、いいんだ。仕方のないことさ。
アレだけ頭を強打したんだ。
お医者様も言っていたからね。目が覚めたとき、一時的に記憶の混濁が確認される可能性があると。
……だから、そうか………。
そしたら、記憶が…ない君は、私のこと………好きでいてくれはしない…のかな…?
いやっ、すまない。こんな物言いは卑怯だよね。いいんだ……いまのは忘れてくれ。
………………ねぇ、抱きしめても……いいかな。
ああ、さすがの私も、こうなっては…多少、いや…こうも不安に思ってしまうものなんだな。
……うん、ありがとう。
おやおや、君の方からも抱きしめ返してくれるのかい?
なんだか君、記憶を失う前より積極的になったんじゃないかい?
ははっ、冗談だよ。いいんだ、これからゆっくり、また二人の時間を取り戻していこう?
ああ。では、私は先生を呼んでくるよ。
いつまでもこうして、君を独り占めしていたいが、そうも言っていられないからね。
君は横になって待っていてくれ。
じゃあ、ちょっと行ってくる。

ドアを開閉する音

…………くっ……っふ、ふはっ。
っはははは、あはは。ははははははっ。
いやぁ、まさかこうも事がうまく運ぶとは。我ながら恐ろしいな。
彼が突然「好きな人ができた」と告白してきたときは、驚いて思わず手元にあった本で頭を殴ってしまったが。それがまさか、こんな自体になるとは。
柄ではないが、これもまた『運命』ってやつなのかな?
よもや、彼が私以外の人間を好きになることなんて、まして結ばれることなんて、あってはいけないことだ…。
これからは私がちゃんと、躾直してあげるからね。どうかそのままでいてくれよ、後輩くん。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
目が覚めるといつもの先輩と知らない病室で…
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
そらくん
ライター情報
 そらくんです。「みたいなのどうよ氏」に深い感銘を受けて趣味で台本を作らせて頂いています。
 つたない文章ですが、どうぞよろしくおねがいします…!
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