昔よく可愛がっていた年下の幼馴染は突然あなたの家に訪れる。
その理由は、『あなたの嫁になりに来た』

（インターフォン）

お久しぶりー、嫁入りに来ましたー。
えっ、帰れ！？　ちょちょちょっ、ひどいですよお兄さんっ！
嫌です。私は帰りませんよ？

ふう、門前払いされるかと思ってひやひやしましたよ。
お兄さんは可愛い幼馴染ちゃんにもっと優しくするべきだと思います！

可愛いのかって、そこを疑問に思わないでください！
お兄さんですからね？　私のことを可愛いって言いながら面倒見ててくれたのは。

まあ、今日はお兄さんが素直じゃないという件よりも大事な要件がありますので、その話をさせてください。
……って、ピンと来てないんですか？　そもそも一番最初に言ったんですけどね。

そうです、お兄さんのお嫁さんになりに来たんです！
あ、今何を馬鹿なことを言ってるんだって言いたそうな顔してますね？
まったく、お兄さんは真剣な話と冗談の区別もつかないんですか？

もちろん、真剣な話です。
だって、この話は10年前からの約束なんですから。
「私たちが大人になったら、結婚して幸せな家庭を築こうね」って言ったら、笑って「いいよ」って言ってくれましたよね？

……まさか、忘れてるはずありませんよね？
お兄さん、最近あんまり私のこと意識していないように思えるので心配なんですけど。

えっ……お兄さんは大事な結婚の約束を子供の時の約束だからって反故にするんですか？
うう、私の大好きなお兄さんはそんな人じゃなかったはずです！

当たり前ですよ。いくら子供の時の約束だろうと、結婚という人生にかかわる大事な約束は冗談なんかで済まされるものではないんです！

その時から私は真剣でしたよ？
お兄さんと結婚したら、毎日おいしい料理を作って、毎日一緒のお風呂に入って、毎日ベッドで夜を共にしたいって思ってました。

その気持ちは10年間一切揺らぐことなくこの胸の奥に大事にしまってあるんです！
お兄さんがその約束を忘れようとも、私はずっとずっとお兄さんが大好きなんです！

お兄さん、大人になった今、約束がいかに大切なものなのかわかりますよね？
私達の約束を破るというのなら、然るべきお仕置きは必要だと思ってますよ？

……へぇ、それでもお兄さんは私の気持ちを受け入れてくれないんですね。
こんなに歳の差があるからですか？
お兄さんの眼中にないくらいの年下だって言いたいんですか？

まあいいです。お兄さんにはまだ私が子供に見えていたとしても、こんなに成長したんですから、こんなことだってできますよ？

ちゅっ、ちゅっ、れろっ、れろっ（キス→口移し）

……んはぁ。
いくらお兄さんが力のある男だとしても、油断してたら押さえつけてキスするくらいは簡単です。

あと、私、お兄さんがいい反応をしてくれないのを見越して痺れ薬を仕込んでいたんですけども、出番ありましたね。

そうです。今お兄さんが飲んだのは痺れ薬だったんです。
だんだんと体が動かなくなってくるの、わかりますか？

えへへっ、今ならお兄さんが油断してなくても勝てちゃいますね。
じゃあ、お家に上がらせてもらいますね。
あ、お兄さんもついてきてください？
まだ大丈夫みたいですけど、仮にここで倒れられると危ないので、ベッドまではついてきてもらいます。

お兄さんの寝室は、ここでしたね。
え、何で知ってるのか？
実は私、入ったことあるんです。
驚きました？

でももう、身体がそれどころじゃないみたいですね。
大丈夫ですよ。もうベッドに着きますからね。

どーん。（お兄さんをベッドに突き飛ばす）

えいっ、私もお兄さんの上に乗っかっちゃいます。
お兄さん、さっきよりも動きづらいですよね？
これなら思うようにいきそうです。

え？　何をしようとしているのか？
約束なんかじゃお兄さんが納得してくれないみたいですから、ちゃんと私たちを結びつける行為をしようかなと。

もちろん、お兄さんのせいですからね？
そもそも私たちは結婚するんですから、遅かれ早かれすることですし構わないですよね。

当然お兄さんに拒否権なんかないんですけど。

・台本（ゆるボイ！）
10年前の約束で迫る幼馴染ちゃん
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩