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君専属殺し屋、一人一夜で承ります
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • 殺し屋
  • オレっ娘
  • ショタ
公開日2021年09月07日 18:00 更新日2021年09月07日 15:59
文字数
2235文字(約 7分27秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
殺し屋
視聴者役柄
少年
場所
殺し屋の住処
あらすじ
不遇の少年と非情なはずの殺し屋の女。
その巡り合いが、女の真っ黒な人生を狂わせ新な日常を描いていく。
本編
ああ、起きたか。
……おはよう。

まあ……夜のことは気にするな。
そもそも、オレが勝手にやってるだけなんだ。
アンタが男としての甲斐がねぇだ気にするようなことで嫌ったりしねぇよ。
アンタに男としての強さなんか求めていねぇんだから。

特に、オレに憧れて強さを求めたくなってるっていうんなら尚更やめておけ。
こんなロクデナシの背中を追ってアンタまでロクデナシになるのはオレは嫌だからな?

はぁ、本当なら、ロクデナシよりも愛っつーもんがよくわかってる肉親の背中を見てアンタだって育つべきなんだが……哀れにもアンタにはそんな存在はいないんだよな……
まったく、何でオレなんかが子育てしなきゃなんねぇんだ……

……なぁガキ、アンタ、今幸せか?
……そうか、アンタの両親殺した女一人に育てられて生きてるだけで幸せか。

え? お姉さんは悪い人じゃない?

……や、やめろぉっ!
オレを勘違いするな! オレは殺し屋だぞ!? 人の命ぐらい容易く奪えるような残忍な女だぞっ!?

しかも……お姉さんっつー呼び方はなんかオレの危ない感情が呼び覚まされちまう……。
ああ、オレはもう手遅れだったな。こんなガキに手を出しちまってるんだ。
今更愛だの恋だの胸が騒ぎ出す性分じゃねぇはずだったんだが……

アンタのことは嫌いだよ。
……なんて、言えりゃどれだけよかったか。

……ああ。好きだよ。悪いか。
好きでもなきゃ、親を失ってこれから路頭に迷い雨に打たれるようなガキなんざ拾ったりしねぇよ。

ふんっ、殺し屋が慈愛持って、庇護欲抑えられないでどうすんだか……
結局、アンタをこの家に置いてすべての仕事依頼も断るようになって、引き受ける仕事は全部アンタの依頼だよ。
というか、ガキのくせになんで殺したい奴に溢れた人生送らされてんだよ。
って、あの親の子って考えたら当たり前なのか……

やるせねぇ世の中だな……
まあいい。アンタは今幸せなんだろ?
殺し屋が言っていいかはわからねぇが、他人の幸せは嫌いじゃないからな。

はぁ、これじゃますます殺し屋なんかやってられねぇじゃねえか。
……かと言って、今更表社会にも戻れねぇけど。

んあ? ボクのせいでごめん?
安心しろ、生活が出来ねぇって訳でもねぇんだ。

殺し屋っつーんは厄介な仕事でさ、依頼ひとつで尋常じゃねぇカネが手に入るんだわ。
そんでオレ、腕は比べたこともねぇが、この国でも片手で数えられるぐらいの殺し屋やってるみたいでよ、アンタ、シラサキとかいう議員知ってるか?

そうか、ガキでも政治と世界は知っておいて損はない。見聞は広めておけ。
で、ソイツが最近急死したって騒ぎになってんだが、ソイツ、オレがったんだ。

そんぐらいでっかい仕事もたまに舞い込んでくる。
おかげでカネだけは遊んで暮らせるくらいに有り余ってんだ。
ガキが他人のカネ心配すんな。

どうしてこんなことをしてるのか?
さぁな、オレだってまともな家に生まれてりゃこんな汚れた世界、知るまでもなかったさ。
オレが生きるためにはこれしかなかった、そんなところだろ。

……わかったかもしれねぇ。
オレがアンタを拾った理由。

オレとアンタが重なって見えたんだろうな。
オレもアンタも、生きる世界を選べないはずの人間だった。

オレは生きてこそいるが、毎日と言っていいほど命を取り巻く倫理感にも、孤独感にも締め付けられてきた。
心を殺すしかなかったんだよ……

それ以来、他人など何とも思わない殺人マシーンと同等の存在になったんだろうな。
それからしばらくしてお前の両親を殺せという依頼を受けた。

オレは、そこでアンタがいるっつーことは知らされてたんだが、ガキから親を奪うことさえ心は痛まなかった。
もっとも、蓋を開けてみりゃアンタから奪うべき親でしかなかったがな。

仕事を済ませて家からとっとと出て行こうとしたんだが、やけにアンタの存在がチラついっちまったんだわ。
この後、ガキはどうなっちまうんだろうって、殺してたはずの心が騒ぎ出したんだよ。

そのまま出て行けなくなったオレは、部屋で寝てるアンタを攫ってここに帰ってきたわけ。
……だから、アンタに悪い人じゃねぇって見透かされるんだな。

オレはそれ以来、アンタを守るためにしか仕事はやってねぇ。
どうしてか?

んなもん、オレがいらぬ罪犯したせいでアンタを残してブタ箱行きってわけにはいかねぇからだろ。
アンタに孤独も閉塞も与えてやらねぇ、アンタを表社会の立派な人間に育ててやるってオレはオレに誓ったんだ。

だから、アンタもオレの願いを叶えてくれないか?
多分、思うように生きれなかったオレの苦痛を乗せてるだけの迷惑なものでしかないが、アンタを想ってのことだ。

ああ、アンタが言ってくれれば、親のせいで集る者も、背負った境遇ゆえにアンタを苦しめようとする者も引き続き排除しよう。
もちろん、報酬として一人につき一夜、快楽をアンタから頂くがな。

どうして、報酬がそれなのか?
……あんたは何でなら支払える?
言っておくが、出世払いは信用ならんから無しでな。

……だろ?
……って言うと何かアンタを商売相手に見てるようでオレが嫌になってくる。

本当は殺したはずの心が生き返った時、余計なものが付いてきちまったんだ。
生物の存在意義が生殖のためとは言っても、オレには不要なはずだったんだがな……

唯一、許せるのがアンタなんだ。
とうとうイカれたんだか、求めたいとすら思っちまう……。

まあ、オレの我儘だ。
素直な愛の求め方も知らないオレの、な。

ああ、この前の依頼は二人だったよな?
一人につき一夜、だから今夜もアンタを頂くぞ……と言いたいところだが、もう我慢ならねぇ……

なあ、昨夜したばかりだが、今からでも構わないよな……?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
君専属殺し屋、一人一夜で承ります
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

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