あなたはとある理由から吸血鬼と同棲をしている。
ある日、いつものようにベットで寝ていると寝込みを襲われてーーー
そんな吸血鬼を返り討ちにして説教を始めます。

はい…はい…えっと、ここに正座すればいいんですね…分かりました。
…なので…その、一回その手に持ってる十字架しまってくれません？
アッやめて！無言で十字架見せつけてくるのやめて！
正座するまでだめですか…はい…よいしょっと。

（正座する）

…あの、もういいですかね。
はい、自分がやらかしてしまったことについては、十分理解しております。
なるほど。自分が犯した罪をキチンと言葉にして反省してほしい、ですか。
わかり、ました。
んん…わ、わたしは…「君がベットでスヤスヤと眠りこけているのをいいことに、寝込みを襲って吸血しようとした愚かな吸血鬼」です…
これで、いいですか？
はい、ごめんなさい…さらに「返り討ちにあって正座させられてる」って付け足した方がいいかな！アハハ！
アッごめんなさい冗談です。

はい…おっしゃる通りです…寝込みを襲うのは良くないですね…
ていうかそもそも無断で血を吸うのはNGですよね…はい…
いやでもさぁ！隣に吸血鬼がいるってのにスヤスヤ寝てるキミもよくないと思うなぁ！
あれ？もしかして舐められてる？ワンチャンいけんじゃね？ってなるに決まってんじゃん！
まぁ弱ってるとはいえ吸血鬼相手に平手打ちかまして倒せるのなんて君ぐらいだと思うけどね。あはは！！
あっごめんなさいグーはやめてくださいグーは。

…うん、ごめん。ほんとうに申し訳ございませんでした…
確かに、君には恩しかないよ。道端で倒れている僕を拾ってくれたこと、家がないって嘆いてた僕をここに住まわせてくれたこと、
それから吸血鬼だって打ち明けても引かなかったこと、むしろなぜか好戦的になって歩み寄ってくれたこと…
最後のはなんか違うかもしんないけど（笑）
キミから決められた周期で定期的な血の提供をする、その代わり勝手に吸血しないことを条件にここに住まわせてもらってるのにさ…こんなの裏切りもいいとこだよね。
…時々ね、自分でも衝動が抑えられなくなっちゃう時があるんだ。
喉が乾いて、牙がうずいて…ああ、この飢えを満たしてくれる血が欲しい…そんな感情に支配されて。
この感情がコントロール出来なくて、色んな人を傷つけてしまった。
家族にも「出来損ない」だって言われた。
でも、キミはさ、こんな自分でも全力で止めてくれる。
「目ぇ覚ませ！」って叱ってくれる。
むしろその力がどこから出てるのか、不思議でしょうがないけど。
…ありがとう。こんな自分を見捨てないでくれて。
気を付ける…なんて言葉だけじゃ信用ならないと思うけど頑張るよ、わたし。
命の恩人であるキミにこんな迷惑かけちゃうのは流石に申し訳ないからさ。
だからわたし、正座しながら考えた。
きっとずっとお腹が一杯だったらわたしも暴走しないで済むと思うんだ。
な、の、で…

（お腹がなる音）

お腹すいたからそろそろ血を分けてくれませんか？？
…あの、ちょっと、なんで無言なんですか。
そしてその振り上げたコブシはなんですか…？
あ、やめて、静かな殺意を纏ながら近づいてこないで。
あの！冗談です！！ごめんなさい！！

（コブシを振りかざす音）

いたーーーーー！？！？！？！！

・台本（ゆるボイ！）
寝込みを襲ってきた吸血鬼に説教するようです
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ソライヌ