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二重人格のヤンデレちゃんはアナタのせいで──
written by 霜月鷹
  • ヤンデレ
  • 二重人格
  • ボクっ娘
  • 殺人鬼
  • サイコパス
公開日2021年10月23日 08:24 更新日2021年10月23日 08:24
文字数
3632文字(約 12分7秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
二重人格の少女
視聴者役柄
少女の知り合い
場所
廃ビル、自宅
本編
ん、君……こんな所で何してるの?
僕?僕は……ねぇ、僕は何をしてたと思う?
こんな廃ビルの中で、独りで幽霊みたいにぼんやりしてる僕……もしかしたら、都市伝説の怪物だったりして。
あはは、もしそうだったとしたら……君、逃げないと大変な事になっちゃうね。
人を襲う化け物、少し前にも君くらいの学生さんが襲われたって聞いたよ。
ニュースにはなってないけど、もうたくさんの人が被害に遭ってる……もしかしたらそういう話、君もどこかで聞いた事があるかもね。
世界は人間が思ってるよりも狭いんだ……だから、そういう偶然だってあり得ないとは言い切れないよ?
それより、今日はそろそろ帰った方が良いよ。
僕とは出会わなかった事にして、この辺りにも近づかない方が……多分だけど、君にとっても安全だから。
それじゃあね、僕とは最初から出会わなかった……とっても不運な誰かさん。

(翌日)

其処に居る人、動かないでください!
物陰に隠れてるアナタ、どうしてこんな所に居るんですか?
「私の事が気になった」……?
あ、あの……私、貴方の事なんて知らないんですけど。私の事、誰か「別の人」と勘違いしてるんじゃないですか?
私……誰とも関わりたくないから、ここに隠れてるんです。
寒いし暗いけど、人目を避けるにはうってつけですから……それなのにアナタは、どうしてこんな場所に?
「お腹が空いてると思って」──これ、私に……?
あ、ありがとうございます……でも、こんな事はもう二度としないでください!
私に優しくしないで、そうじゃないと私……また……だから、もう帰ってください!
私の事なんて、最初から知らなかった事にして下さい!

(翌日)

あれ……君、今日も来たんだね。
僕は「最初から出会わなかった事にして」って言ったはずなんだけど……君、なんだか変わってるね。
どうしたの?
えっと、もしかして……昨日も此処に来てた?
そっか……それじゃあ、きっと「彼女」にも会ってるんだろうね。
うん、変わってるでしょ?
僕はね、この体の中に「僕」と「彼女」が入ってる……ちょっと変わった体質なんだ。
どっちが先だったのかって聞かれると、多分「彼女」の方が先だったんだと思う。
僕は彼女と違って、つい最近の事しか覚えていないからね……僕と彼女は思い出の共有とか、出来ないから。
最初に居たのが彼女で、そこから僕が生まれた。
生まれる前の事はよく覚えてないけど、彼女の「忘れたい」「隠したい」って気持ちだけはずっと感じてた。
もしかしたら、僕はそういう「隠れ蓑」の役割なんだろうね。
ここに居る時は基本的に僕が起きてる日が多いから、きっとそういう使い方をされる為に生まれたんだと思う。
別に、悲しくはないよ?
僕はこうやって景色を見てるだけで満足できるから……それに、今はこうやって話し相手も居るから。
生まれて初めて話せた相手……あのね、一つお願いがあるんだ。
彼女は嫌がると思うけど、その……君が暇な時で良いから、僕に会いに来てほしいんだ。
うん、ありがとう……こんな温かい気持ち、生まれて初めてだよ。

(数日後)

あの……私、アナタに「此処には来るな」って言いましたよね?
アナタが「あの子」と何か約束をしたのは分かってます……でも、そんなの私には関係ないですから。
私、アナタの顔なんてもう二度と見たくないんです!
アナタの顔を見てると……見てると……頭の中がグチャグチャになって、居ても経っても居られなくなるんです。
私はあの子より起きれる時間が少ない分、あの子が感じた気持ちを夢に見るんです。
その夢が気持ち悪くて、いてもたってもいられなくて……私には──とにかく、もう二度と此処には来ないでください!
アナタは他人の気持ちを思いやれる人の筈です……だから、こんなに必死に頼んでる私の為にも、私の事なんてもう忘れてください……お願いです。


行っちゃった……
そうです、それで良いんです……私は先輩の傍には居られない。
ごめんなさい、先輩の事を知らないなんて言って……私、今でも先輩の事が忘れられないです。
でも、私はアナタの傍には居られない、だって私は……こうやって知らないフリをしてないと……私は、ワタシハ──


(翌日)

あ、今日も来てくれた……待ってたよ、僕の大事な人。
あのね、昨日は珍しく夢を見たんだ。
うん、君の夢……まだ知り合ったばかりなのに、君の事を……その、とっても好きって思ってる夢。
とっても暖かくて、優しくて──それなのに胸が苦しい、とっても不思議で甘い感覚。
内側からいっぱい溢れてきて、いつまで経っても止まらなくて……君への気持ちで、溢れかえってる。

だから──えへへ♪

ごめんね……このソファ、ちょっと硬かったよね。
押し倒すなら、もっと柔らかいものが良かったかな……?
その顔……やっぱり、君と僕は知り合いなんだね。
でも、僕は今の君しか知らない……君の知ってる僕は、僕じゃなくて「彼女」の方なんだね?
狡いなぁ……彼女、こんなに素敵な気持ちを独り占めしてたなんて。
どうしたの?もしかして、僕が怖い?
うん、自分でもちょっと怖いよ……僕がこんな事をしちゃう人間だって、知らなかったから。
でも安心して、僕は彼女とは違う……例え彼女が君に酷い事をしてたとしても、僕はそんな事を絶対にしない。
僕には君しか居ない、だから君を傷付けるような事なんて絶対にしない。
それに君は、怖い筈の僕に会いに来てくれてる……それって、そういう事なんでしょ?
だから今日は、時間が許してくれる限りはこうしてても良いかな?
ありがとう……やっぱり君は、とっても優しい人だね。

今日はありがとう、すっごい幸せだったよ。
うん……それじゃあ、また明日。

帰っちゃった……はぁ、寂しいなぁ……そうだ!
彼の後を追いかけて、今日は彼の家に行ってみよう……たまには僕も、思いっきり好きなことをしなきゃね。

『それはダメ、アナタは此処から出ちゃダメ』

あはは、僕が起きてる時に話し掛けて来るなんて……彼、君にとってはそんなに思い入れのある人なのかな?

『違う……私は先輩を、先輩の大切な人を……だから──』

うん、全部知ってるよ。
君が彼の大切な人を「僕達の体」で殺して、その後に食べちゃった事。
大好きだったはずの「センパイ」に化け物だって呼ばれて心が壊れちゃった事……あとは、君がセンパイの事を食べたくて仕方がない事。
お腹が空き過ぎて、また人を襲っちゃいそうな事も……ね。
君はまた、嫉妬に狂った惨めな殺人鬼に戻ろうとしてるんだ。

『それが分かってるなら、もう先輩には近づかないで!私はもう先輩を……先輩だけじゃない、誰の事も傷付けたくないの!』

だ~め、僕だってセンパイのことは大好きなんだもん♪
それに君だけがセンパイに言い寄ってるの、僕ちょっと許せないから。

『お願い止めて、そうしないと私……私達は……』

何度言えば分かるのかな……ダメなものはダメ!
それに、君の空腹は僕の時は気分的な問題なんだから……ちゃんと我慢してれば良いだけでしょ?
僕の中に居る醜い怪物わたし──あはは、自分の心を自分で傷付けるのって、とっても不思議な感じだね。
それじゃあ、見失わない内に追いかけなきゃ……待っててね、僕の大好きなセンパイ♪


(数時間後)

(二人の人格が入り乱れてる状態、情緒もおかしくなっている)

こんばんは……センパイ、お家まで先回りしてお邪魔させてもらってました♪
うふふ、どうしたんですか?
なんだか驚いてますけど……もしかして今「あれ、なんだか昔のあの子に戻ってる?」って思ったでしょ?
いいえ、僕は今まで通りの私ですよ♪
先輩の大切な人を殺しておいて、それなのに今でもセンパイの事を想い続けてる一途な私。
もういい加減にお腹が減り過ぎて、センパイの事が食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくてタベタクテタベタクテタベタクテタベタクテ仕方がない……それくらい先輩を愛してる僕ですよ!
あぁダメ、先輩の事は食べちゃダメ……センパイは私が初めて好きになったとっても美味しそうで大好きな先輩……アハハ、なんだか頭の中がグチャグチャしてます!
僕なのか私なのか分からなくて、自分が自分じゃないみたいで……なんだかとっても気持ち悪いです!
僕はセンパイを傷付けてしまった自分が許せなくて、それで先輩を解放した後にあのビルに閉じこもって私独りだけになれる環境を作って……それなのに先輩は僕達を見つけて、大切な人を殺した私達に優しくして……優しくしないでって言ったのに……先パイって普通じゃありません!先輩も壊れてますよ、異常ですよ!
あはははは、あぁ先輩……とっても美味しそう……違うちがう、センパイは食べるんじゃなくて……うぅ……好き……好き、好き好き好き好き!
好きだからお腹が減って大好きで食べたくて……お腹が減ったから大好きな君を食べたくて……違うそれは僕じゃなくて私の気持ち……アレ……どれが僕で私は……ねぇ先輩、分からなくなっちゃいました!
あはははは、ワタシ……もう完全に壊れちゃいました!
ボクがこんなに壊れちゃったのはセン輩のせいですよ?優シくしナいでってあんなに頼んダのに……あれ、これさっきも言いましたっけ?あはは、自分の言った事も分からなくなっちゃいました!

ねぇセンパイ、ボク?ワタシ?先輩のせいでこんなに壊れちゃいました……責任、取ってくれますよね?
そうじゃないと先輩の事、本当に食べちゃい愛してしまいますからね……あははははは!
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
二重人格のヤンデレちゃんはアナタのせいで──
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹
ライター情報
主に女性演者様向けの台本を書いてるタヌキ的な「何か」です。
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