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王国が認めたヤンデレ姫との結婚
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • ファンタジー
  • お姫様
  • クール
公開日2021年12月01日 18:00 更新日2021年12月01日 17:40
文字数
2224文字(約 7分25秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
王国の姫
視聴者役柄
城下町の一般庶民
場所
王宮・姫の部屋
あらすじ
ある日突然王国の姫から呼び出された城下町の商店の息子のあなた。
その内容はまさかの姫との結婚の通告。しかしあなたには本来、婚約している人がいるのだが……
本編
わざわざ私の元へ来てくれて感謝する。
……と言っても、王家の命令に背いてはその身がどうなるか、と考えれば当然のことか。

まあいい、とにかく座りたまえ。
重要な話だからこそお互い肩の力を抜いて話そうじゃないか。

早速だが、回りくどいのも嫌いだから単刀直入に言わせてもらおう。

私と君の結婚が決まった。

どうした、何を驚いている?
ああ、身分が不釣り合いだと言いたいのか。

……それの何が問題なんだ?
昔のような因習やら血統やら何が大切かもわからずに“そういうものだから”という考えで何となく続いてきたものだろ?

王家と庶民、どちらも人間なのに何がいけないと言うのか、私にはわかりかねる。

君は素直に喜んでくれればいいんだ。
無条件で王城での好待遇が待っているのだぞ?

……それに、一応私も姫として人気があるようだし。

何、どうして君を選んだのかがわからない?
そうか、それは驚いても仕方ないか。
私に好かれる心当たりは恐らくないだろうからな。
寝耳に水のような報告になったことは詫びさせていただこう。

もちろん、何の意思もなく君を選んだということではない。
実は君と私は何度か話しているはずなんだ。
君の店にはよく行くからな。
姫と分からないような変装を施していたから、君はわからなかったとは思うが。

言っておくが、私の目には王家や貴族のどんな人間より君の方が魅力的に見えているぞ?

生まれながらに豊かなものを得ている彼らには決して恵まれぬ者のことなど分かりやしない。
それどころか傲慢な態度さえ取るが、今立っている地位は自分で築き上げたものではない。
滑稽なものだ。

(嘆き)どうして人は自分と言う存在を正しく見つめることが出来ないのか……。

だが、それは民衆もそんな人間が多いようだな。
城下の商店にはよく足を踏み入れるが、客の身分で露骨に態度を変える店ばかり。
確かに、金のある客に気に入ってもらえる方が儲かるのはわかるが、あれはもう差別にも思える。

それでも、君は違った。
まるでそんな概念を持っていないかのように誰にでも同じ態度で丁寧に接している姿にはいつも感心するんだ。

だから、君には私にも臆することなく、媚びることなく、変わらぬ気持ちで接してほしい。
ただ、妻になる身としては、間柄の分だけの特別扱いはしてもらわないと嫌だがな……?

ふふふっ、困ってるのか。
まあいい、君の好きなように私を大切にしてくれ。

しかし君よ、なぜ君はずっと笑ってくれないんだ?
いつもの屈託のない笑顔を見せてほしいのだが……

ああ、既に婚約している相手のことか。

なぁに、私がそれを知らないとでも思ったか?
直接婚約を破棄すると言っておいたさ。
向こうは私のことを驚いてはいたが、私の前では流石に身を引くことしかできなかったな。

そういうことだ、君も彼女のことは忘れて、これからは私のことだけを見ていればいい。

……はて、先日から彼女の姿が見えない?
さあな、私は関与していないぞ?
君に会ってしまうと別れられなくなってしまうから君の前から姿を消すことにしたのではないか?

ふーん、律儀な彼女が手紙も寄越さずいなくなるはずがない、か。
何があったんだろうな。

だが、君がどうにかできることではないだろう。
空気の読めないことを言うが、君の気持ちがずっと彼女に向いているのも私としては気分がよくないんだよな。

彼女の家族とか、今頃探し回っているのではないか?
……まぁ、見つかるはずはないさ。
時間が経てば、君も私のことだけを考えてくれるようになるだろう。

え? 今のはどういうことなのか?
今の、とは、なんのことだ?

……見つかるはずはないと、どうして言えるのか、か。
はぁ、鋭すぎるのも、時には毒だな。

……なあ、君はもう彼女のことを気にする必要はないんだ。
気にしなくていいんだ、忘れてしまえばいいんだ。

どうして君は私を嫌がる?
私は王家の姫だぞ?

私の結婚を決めるのは当然国王、だからこの結婚が認められた時点で強制であり国の総意となる。
拒むのは君の罪になり、罰を受けてなお結婚から逃れることは出来ない。

もちろん、君以外の人間が決まった結婚を拒むことも禁じられている。
例えば君の彼女のように婚約破棄に応じてくれない、というようなね。
罰は君と違って、とても重いもの。
君のためにその内容は言わないようにしてあげよう。

だから、私のしたことは決して間違っていない。
恨むべきは私ではなく彼女なんだよ。

さあ、君は諦めて私の手を取りたまえ。
それですべては丸く収まるはずだ。

(君、拒む)

おい、どうして手を払う!
拒否権はないと言ったはずだろう?

君のそういうところだけは私も嫌いだよ……

あぁぁぁもう……!

私を睨むなッ! 拒むなッ! 嫌悪するなァッ!

全部全部全部! 私に従ってさえいればいいんだッ!

あの女は忘れろ! 私だけを見ろ! 私は姫だぞ! 一国の姫の命令に従えないのか!?

さあ、今すぐ私を抱き締めろ! 私だけを受け入れろ!

迷う必要などないはずだろ……?

さあ早く。
……早く!

ここまで大目に見てはいたが、もうそろそろ君の態度を国の結婚の意思への拒絶と捉えようか?

そうだな……罰は、一生私の性奴隷、とか。
ベッドに括り付けて私の好きなだけ君を貪ってやろう。
男の尊厳など知ったことか、毎日君を鳴かせてやる。

……そうか、それは嫌なのか。
気の籠ってない抱擁だが、まあいいだろう。

今日から君は私の夫だ、王家に君の名を連ねることになる。
君に王家の人間として求めることは多くはないはずだが、くれぐれも王家の顔に泥を塗るような行為はしないように。

(威圧的に)……よろしく頼むぞ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
王国が認めたヤンデレ姫との結婚
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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