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部下の自動人形(オートマタ)の忠告を無視しまくったら、監禁される羽目になった
written by 松平蒼太郎
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公開日2021年12月24日 17:05 更新日2021年12月24日 17:05
文字数
3000文字(約 10分0秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
自動人形(オートマタ)
視聴者役柄
指揮官
場所
某所
本編
マスター!ご無事ですか⁉︎

ひどい怪我…!早く病院に運ばないと…!

え?これからが本番だろって…

何言ってるんですか!

そんな状態で最前線で戦わせられるわけないでしょう!

バトルジャンキーなのもいい加減にしてください!

死んだら何もかも終わりなんですよ⁉︎

戦わないと生きてる実感が湧かないって…

マスター…貴方って人は…!

…って、あっ!ちょっと!

誰が単独で突っ込んでいいって言ったんですか!

待ってください!マスター!



失礼します、マスター。

お怪我の具合はいかがですか?

そうですか…まぁそれは当然でしょう。

お医者様の言うとおり、当分は安静にしててください。

また勝手に戦場に出ようとしたら、怒りますからね?

不満そうな顔をしても、ダメなものはダメです。

マスターは本当に命知らずなんですから…

戦いは、わたしたち戦闘用の自動人形(オートマタ)に任せておけばいいんです。

それなのにマスターときたら…

すぐ危険地帯に一人で突っ込もうとするんですから…

何ですか?もしかしてわたしたちの実力が不安だとでも言いたいんですか?

それならご心配なく。

敵の情報はこちらの優秀な諜報員が取りに行ってくれてますので。

その情報に基づき、わたしたちは戦略と戦術を組み立て、敵を殲滅します。

マスター。もう一度よく思い出してください。

わたしたち戦闘用の自動人形(オートマタ)の使命は何ですか?

そうです。人間に反旗を翻した自動人形(オートマタ)から、人間を守ることです。

その人間の中には当然、マスターも含まれているんです。

たしかにマスターはお強いです。

数百もの自動人形(オートマタ)相手に大立ち回りするくらいですから。

しかし、マスターはあくまで人間。

一度でも心臓や脳を撃ち抜かれれば死んでしまいます。

そうでなくても、腕や足、腹にダメージを負うと生命活動を維持するのが非常に困難になります。

すでにお分かりでしょうが、人間は死んでしまえば、二度と活動することができません。

その点、わたしたち自動人形(オートマタ)は少々の損傷でも活動を停止することがありません。

はい。動力源となるコアさえ破壊されなければ、何度でも修復し、すぐ戦いに復帰することができます。

マスター…ここまで言えば、わたしが何を言いたいか分かるでしょう?

不貞腐れないでください。

わたしは真面目に話をしてるんです。

えぇ、その通りです。

マスターはできる限り最前線に出ることは控えて、後方でわたしたちに指示を出すことに専念してください。

最前線での戦いはわたしたち自動人形(オートマタ)の役割ですから。

くれぐれもこの前のような、命を捨てるようなマネをするのだけはやめてくださいね?

わかりましたか?

微妙な返事ですね。

本当にご理解いただけたでしょうか?

むぅ…おざなりな返事ですが、とりあえずはよしとしましょう。

怪我に差し障ってもいけませんし、お説教はここまでにします。

マスター。何度も申し上げますが、入院中はくれぐれも病院で安静にしててくださいね?

はぁ…本当に分かったのか心配ですが、わたしも次の任務があるので、これにて失礼します。



…ッ、この状況はまずいわね…

敵方の拠点の人質を逃がせたはいいものの、わたしたちが囲まれる羽目になるなんて…

…仕方ない。一点突破で血路を切り開くわよ。

多少の犠牲はやむを得ないわ。

覚悟はいい?行くわよ……

え?敵の包囲網が崩れていくって…一体何が…

あれは…マスター⁉︎なんであんなところに…⁉︎

えぇ、分かってる!

マスターを救出し、全速力で自陣へ退却する!

この機を逃すな!総員、突撃!



おはようございます、マスター。

お目覚めになられましたか?

あっ、いきなり動くと痛みますよ…

…って、ほら。言ってるそばから…

ん?あぁ、その鎖ですか。

マスターはわたしがさいさん一人で前線に出るなと口酸っぱく言っていたにも関わらず、また今回もお一人で無茶をなされました。

えぇ、助けていただいたことは感謝しています。

ですが、それとこれとは話が別です。

マスター…わたし、言いましたよね?

マスターは人間で、部品を取り替えるだけで修復できる我々自動人形(オートマタ)と違って、少しの怪我で命を失う危険が高いと。

それなのにマスターは、こちらの気持ちなど全く無視していつも無茶ばかり…!

戦場で命懸けで戦ってこそ生を実感できるって…

まだそんなことを…!

バトルジャンキーなのも大概にしてくださいと、前にも言ったでしょう!

わたしはマスターに危険な目にあってほしくないんです!

今回もたしかにピンチでしたが、わたしたちだけで何とかすることはできました!

はい、多少の犠牲は出たとしても仕方ありません。

え……戦友は誰一人失いたくないからって…

マスター…そのお気持ちは嬉しいです。

ですが…マスターが死にそうな目にあっているのをもう見たくはありません…!

はい。だから今日からマスターをここに監禁することに決めました。

いいえ。これはわたしの一存ではありません。

仲間の自動人形(オートマタ)の総意です。

みんな、マスターのことを心配していましたよ。

自分達の指揮官がいつかいなくなるんじゃないかって、怖がってる子もたくさんいます。

けれど、マスターは言葉による説得には応じないでしょうから…

こうしておけば、戦場に出たくても出れないでしょう?

こちら側の指揮は、これからはわたしが取ります。

マスターに要らぬ苦労はかけぬよう、精一杯努力しますから。

マスター…今、ここからどうやって抜け出すか考えてましたね?

はい。マスターが急に黙り込むときは大抵、ロクでもないことを考えてる証拠ですから。

仮にその拘束を解いて自由に動けたとしても、この部屋は厳重なセキュリティによってロックされていますので、内側から開けることはできません。

はい。セキュリティのシステム権限は、わたしと一部の仲間だけが持っていますので。

無駄です。システム権限はよそからハッキングできぬよう、こちらも厳重なロックをかけてありますから。

ご安心ください。マスターのお世話はこれからわたしたち自動人形(オートマタ)が行います。

食事も排泄もお風呂もぜーんぶ、つきっきりでお手伝いしますから。

何でそこまでって…ここまで聞いてまだわかりませんか?

わたしがマスターのことを大切に思っているからです。

はい。異性として好き、と言い換えても差し支えありません。

マスターは全く気にも止めていませんでしたが、わたしだって女です。

マスターの男らしいところを見て、ドキッとしたことは何度もあります。

はい。身体は機械ですが、こんな身体にも心は宿っているんです。

事前にプログラムされたものではないことは、わたし自身が一番よく分かっています。

強いて言うなら、バグのようなものでしょうか。

いえ、この感情はバグそのものかもしれません。

わたしたち戦闘用の自動人形(オートマタ)は戦闘に特化した仕様で、それ以外の思考・行動はとらないよう、プログラムによって合理的に処理されるはずですから。

えぇ、どうしてこのようなバグが起きたんでしょうね?

わたしにもよく分かりません。

けどこれはマスターが原因であることは明らかです。

マスターへの想いが日増しに止められなくなっていくのを感じていますから。

ふふっ、いまさら後悔しても遅いですよ。

マスターがいけないんです。

わたしからの忠告を散々無視して、ご自分の命を危険に晒すから…

マスターのお命はわたしにとって大切なモノ。

だから、ここに縛り付けてでも守り切ってみせます。

マスター。少しずつでいいのでわたしからの愛、受け取ってくださいね…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
部下の自動人形(オートマタ)の忠告を無視しまくったら、監禁される羽目になった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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