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家畜地獄【異世界】〇〇しないと出られない部屋
  • 監禁
  • ファンタジー
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
3370文字(約 11分14秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
目覚めたら、見知らぬ少女とともに地下牢に監禁されていた。
そこは人間たちが牛頭の怪物たちに支配される巨大な迷宮。
しかも、彼らにはある目的があるようで....
本編
おはよう 目が覚めた?

言葉がわかるの?
そう、よかった

大丈夫?

そこにお水があるから
パイプから流れ落ちてるのだけ飲んで

溜めてあるのは飲まないようにね
それたぶん水浴び用だから
トイレはあそこ 水は手桶で手動で流して

ここは、たぶん牢獄
外がどうなってるのか私も知らない
あそこに窓があるけど、届かないでしょ?

いいえ 私はもう何か月も前からここにいる

わからない
目が覚めたらここにいたの
あなたと同じよ

あなたが連れてこられた理由なら知ってる

そのうちわかるわ あなたも

私、そろそろ仕事の時間だから
ほら、迎えが来た

(足音)
(怪物登場)
しーっ....黙って
叫ばないで
大丈夫 大丈夫だから

何時間かしたら戻るから
またね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ただいま

そんなに一度に質問しないで
今話すから

ここはあなたの元居た世界じゃない
たぶん別の世界なの

そして、この世界を支配してるのは人じゃない
やつらなの
あなたも見たでしょ
頭が牛の怪物を
いいえ、牛だけじゃない
豚頭もいるし、鶏頭もいる

ここではやつらが支配者
家畜同然なのは私たちの方なの

なぜここに来たのかはわからない
それまではあなたと同じように普通に暮らしてた
学校へ行って友達と遊んで....

でも、ある日 目覚めたらここにいたの


ああ、ここでの仕事?
私は給仕係
だいたい決まった時間になるとこの牢から出されて
広い宴会場みたいなところへ連れていかれるの

そこにさっきみたいな牛頭の怪物が大勢いて
私たちはやつらが飲んだり食べたりしてる間
ものを運んだり片付けたりする

それに 人として扱われていないのは、すぐにわかった
ここでの私たちの身分は奴隷かそれ以下
もしかすると愛玩動物程度のものかもしれない

私たちって言ったのは
そう、他にもいる

私が見たのは女の子だけ
同じように働かされていて
終わるとまたどこかへ連れていかれる

その子たちのことは何も知らない
お互い同士の会話は禁じられているの
言うとおりにしないとぶたれるから

たまにやつらの目を盗んでこっそり話しかけてくる子はいるけど
言葉がぜんぜんわからないの 
顔を見ても国籍がバラバラで...

建物の外に出されたことは一度もない
でも私が見たところ、この上には何層にも連なる巨大な宮殿があるの
ここはたぶんその最下層 家畜小屋みたいなものだと思う

食事は一日2回 それに仕事の時間
もしかしてあなたにも何か労働の割り当てがあるかもしれない

時々つれ出されてお風呂に入れてもらうこともある
それ以外はずっとこの牢獄にいるしかないの

私が知ってるのはそれだけ

私、もう寝るから

そうだ、これ
ぼろ布みたいなものだけど、この藁の中に入れば寒くないから
おやすみなさい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(翌日)

ただいま

あ....
ううん、ただ

何か月ぶりかな
お疲れさまなんて言われたの

どうしてこんなことになったのか私も知らない

何も思い出せない
ただみんなと同じように暮らしていただけなのに

でも、一つ思うことがあるの

私の生まれた国 生まれた時代は
かつてないくらい食べ物に恵まれていた
でも贅沢な暮らしも豊かな食事も当たり前すぎて
感謝を忘れてしまったの

考えたことさえなかった
たくさんの生き物たちの命をもらっていること

もしかするとここは地獄なのよ
向こうの世界では家畜だった生き物たちが、ここでは私たちの主人なの
やつらに仕えることで罪の償いをさせられているんじゃないかな

もしここが地獄なら
どこかに天国もあるのかな?
...わからない
私たちは死んだの?
私にそんな記憶はないけど....

でも、あなたがここへ来たきっかけみたいなもの
もし思い出したら教えて
何か、手がかりがつかめるかもしれないから

おやすみなさい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(一週間後)

....ん?

大丈夫

あなたも熱っぽいの?

そう....やっぱり
今夜あたりそうなると思った

今日私たち、連れ出されてお風呂に入れられたでしょ?

さっきの夕食にたぶん、薬が入れられてたの

たぶんこれからしばらく、毎日入れられる

大丈夫 毒じゃないわ

なんとなくわかるでしょ

これは....

ねえ、言わせないでよ

わからない?
私たちはつがいなのよ
オスとメスを同じ檻に入れる理由なんてそれしかないじゃない

やつらは人間の子どもがほしいのよ

子どもが生まれたらどうなるのかは知らない
やつらに食べられてしまうのかも

でも、考えようによっては
やつらは向こうの世界から好き勝手に人を連れ込むことはできないのよ
だって、小さい子がほしいなら
子どもや赤ん坊だけ選んでさらってくればいいじゃない
でもきっと、それはできないのよ
行き来するのはそんなに自由じゃない
あいつらは連れてくる人間を選べない
偶然落ちてくる人間をひろって家畜にするしかないんじゃないかな

だから
向こうの世界では、きっとまだみんなが幸せに暮らしてる
私の友達も家族も、きっと

ねえ

あ....
(手を出して突き飛ばされる)

絶対に私に手を触れないの?

そう そうね 気持ちはわかる

でもね

もしあなたなら、思い通りにならない家畜をどうする?

もしやつらの意向に逆らい続けたら、どうなるの
あなたを生かしておく値打ちがない
やつらはそう考えるかもしれない

脅してるわけじゃない
ただ、ここではそれが現実なのよ

ねえ

....あなたの前にもいたのよ

そう、別の男の子がここにいたの

私たち、何度薬を盛られても逆らい続けたけど
ある日とうとう、我慢し続けるのに疲れてしまったの
あとはもうなし崩し...

それからしばらく一緒にいたけど
そのうちその男の子はどこかへ連れていかれて
それきり二度とここへは来なかった

私は妊娠しなかった
相性が悪いって思われたのかもしれない

その子がいなくなってしばらくしたら
今度はあなたが送り込まれたってわけ

いいのよ 何もしなくて

でも私には同じことよ
またあなたの代わりの男がここに来るだけ

おやすみなさい
....

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(翌朝)

おはよう

ねえ、謝らないで
言ったでしょう
こうするしかなかったの

ねえきいて
話しておきたいことがあるの
すごく大事なこと

私ね、宴会場で給仕をしてるって言ったでしょう?
ここは石造りの迷宮みたいなものだけど
あちこちに換気のための通風孔がある
この部屋のはだめ 狭すぎて

でも宴会場の床から60cmほどの高さにある通風孔
あそこは人一人通れるくらいの大きさで、鉄格子がはまってるけど、取り外せるの
もちろん、普段は監視が厳しくて無理

でも、見たのよ、私

ある宴会の時だった
女の子の一人がランプを倒して
ちょうどそばに合ったアルコールや油に引火して....

みんなの目がそっちに向いてる隙に、その子は
通風孔の格子を外して、中に入っていった

どうしてかな
その時私 
ついていこうってまったく思いつかなかった
かわりにとっさに浮かんだのは
あの子がいなくなったことを隠さなきゃって、そう思った

だから駆け寄って 外れた格子を元に戻したの

そのとき中を見たけど、中は真っ暗で
あの子の姿はもう見えなかった
それから何も気づかないふりをして
火事の後始末をしていたみんなを手伝ったの

あの子がどうなったのかは知らない
結局つかまったのかもしれない
もう生きてはいないのかも

でも
あの子が出て行ったあの瞬間は
いまも私の、たったひとつの希望なの

だから信じてる
あの子はきっと生きてる
生きてこの宮殿から自由になったんだって

あの子が私に、生きる勇気をくれたの

だから忘れないで

もし何かでこの檻から連れ出されるときは、
どんな小さなことも見逃さないようにしっかり見てて
いつどこにどんなチャンスがあるかわからないから

私もずっとその時を待っているの
何か月も たとえ何年かかっても
必ず 何か方法があるはず

あなたはここにきたばかりで、私の檻が初めてでしょう
それならきっとあなたの役目はまだ終わらない
そのうち次の女の子の牢に移されるから

そしたらその子にもこの話を伝えて
たとえ言葉が通じなくても
なんとか希望だけでもあげたいの
次の子にも その次の子にも
あなたがつがいにさせられた子みんなに話して

忘れないでね それがあなたの本当の役目なの

だから
この先やつらにどう扱われようと
あなたは家畜なんかじゃない

心だけは自由でいて
だってそれは人である証だから

決めたの 私も
二度とあの時みたいにタイミングを逃したりしない

もし私が先に外に出られたら、今度はあなたを迎えに来る
他の子たちも助ける
約束だよ
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
家畜地獄【異世界】〇〇しないと出られない部屋
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
クリスらびっと
ライター情報
 クリスはYouTubeで怪談朗読から出発した個人勢です。
 自キャラのボイスを投稿したのをきっかけにシチュエーション台本も書くようになりました。
 これは音読のしやすさやおもしろさ、演じてみたいシーンや伝えたいことなどを書いた
 読み手の私にとっての理想の台本です。あまり再生されない時もあればロングヒットも誕生しました。他の方が読んでくださっているのを聴くのも楽しいです。
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