最後、わたしだけど…

…なに？一番ジメジメした暗い女が出てきたから、ビックリした？

別に否定しなくていい。どうせわたしなんて…

…自己紹介？要る？

どーせわたしのことなんて、すぐ忘れるくせに…

じゃあ一応…わたしは三苗(さんびょう)。

特技とか別にない。

強いて言うなら、影が薄くて誰にも気付かれないことぐらい…

だから隠密的なことは得意…たぶん。

盗聴とか、覗き見とか…

ふふふ…今、引いたでしょ？

がっかりしたでしょ？

驩兜(かんとう)みたいなグラマーな美女の後に、こんなちんちくりんの根暗女だもんね…

…口ではなんとでも言えるし。

陛下はさぁ、実際のとこ、どう思ってるわけ？

何をって…そんなの、こうやって無理やり天帝まで担ぎ上げられたことだよ。

ホントはちょっと嬉しかったりするんでしょ？

いきなり天の頂点に立ったもんね。

毎日好きな物が食べられるし、女だって抱き放題。

さっきは四罪のみんなに言い寄られてさぁ…

ホントは鼻の下、伸ばしてたんでしょ？

やっぱり…よかったね、ハーレム作れて。

ま、わたしには関係ないけど…

…ッ、なんで…なんで逃げようとすんの？

ここに居ればいいじゃん…！

大人しくわたしたちに担ぎ上げられてれば、何もかも手に入る生活が送れるんだよ…⁉︎

なのになんで…なんでなんで！！！

え……なにそれ？

アイツらのことが大切って何？

アイツらって四神のこと？

意味わかんない…

屋敷に監禁される生活させられてたくせに、なんであんな奴らのこと庇えるわけ⁉︎

あたしたちなら陛下にそんなことしない！

陛下の自由は最大限尊重するし、あたしたちの誰かを連れて行くなら外にだって出かけてもいい！

なのになんで…ずっとアイツらのことばっかり！

ふざけるな…！

あたしたちの方がずっと陛下のことを想ってるのに…！

(追い込んで壁ドン)

ムカつく…ムカつくムカつくムカつく！！

陛下さぁ…これからアイツらのとこに出かけるんだよね？

ううん、止めないよ。

陛下の自由は最大限尊重するって、さっき言ったし。

でも妙な気起こさないように、陛下の心は奪ってやる…！

(キス)

…勘違いしないで。

わたしは陛下のことを嫌いだなんて一言も言ってない。

好き…愛してる。

陛下ならあたしたちのことも受け入れてくれるかもしれないから…

あたしたち四罪は、地上の穢れを背負わされて、悪神として天界から追放された。

誰にって…天界の神々に、だよ。

そう。地上との戦争終結後に、世界のありとあらゆる場所に、人間の負の感情から生まれた「穢れ」が残った。

それを一身に背負わされたのがあたしたち四罪。

そうだよ。

「穢れ」という人間の罪を背負ったから「四罪」なんだよ。

許せない…穢れが生まれたのは自分たちのせいでもあるくせに、それを全部あたしたちに押しつけて…！

そう…だから復讐してやったんだ。

天界唯一の地上出身の人間である陛下を担ぎ上げることによって、ね。

しかも陛下は屋敷に閉じ込められていたから、地上に蔓延った穢れの影響を一切受けていない。

ふふふ…鈍い陛下でも気づいたみたいだね。

そう、穢れを受けていないからこそ、帝位につけたんだよ。

しかも天界の連中はそのことに誰も気づいてない。

あの四神でさえもね。

ま、あたしたちが天界中に洗脳術をかけたからなんだけど。

あははっ！いい気味だ！

自分たちが見下してきた地上の人間に支配されてることにも気付かず、唯々諾々と従ってさぁ！

ねぇ、陛下…？大人しくあたしたちに協力しなよ。

陛下の望みはなんでも叶えてあげるし、二度と奴らに陛下を見下させたりはしない。

ふふふっ…やっと効いてきた？あたしたちの洗脳術。

そうだよ。あたしたちは人を操ることに長けているから、これくらいは朝飯前。

デレデレしながら女の子のキスを受けてるから、そーいう目に遭うんだよ。バカな陛下。

(咳払い)

あたしたち四罪はここに陛下への忠誠を誓います。

それと同時に、陛下のことを一人の女として愛します。

陛下…早くあたしたち色に染まり切ってね…？

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレ四罪に愛され過ぎて天帝に祭り上げられた〜反逆の三苗編〜
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎