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クールな剣聖様には取り付く島もないけど、俺は諦めない
written by 松平蒼太郎
  • 告白
  • ファンタジー
  • シリアス
  • クーデレ
  • 剣聖
公開日2022年03月13日 06:59 更新日2022年03月13日 06:59
文字数
2345文字(約 7分49秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
剣聖
視聴者役柄
???
場所
某所
本編
貴方か…また性懲りも無く来たんだ。

言ったはず。貴方ではわたしには勝てない。

貴方はわたしに挑む前に、もっと腕を磨いた方がいい。

分かる。やってみなくても。

どうしても認めてほしいなら、この腰の剣、わたしに抜かせて。

隙だらけ… (取り押さえる) これで分かった?

貴方相手に剣を抜くまでもないってこと。

そう…なら、さっさとどこかへ行けばいい。

わたしも貴方の相手をしてるほど、暇じゃないから。

次?もう来なくていい。貴方の相手をするの、面倒。

わたしはそろそろ行く。じゃあね。




はい…このアジトの賊はこれで全てかと。

いえ、大したことはしてませんので。お疲れ様でした。




はぁ……貴方、いつまでそこにいるつもり?

敵情視察?わたしのこと?

そう…観察しても無駄だと思うけど。

前にも言ったはず。

まずは自分の腕を磨いた方がいいって。

そう…まぁ何でもいいけど。

貴方がどこで何してようが、興味ないし。

なに?……それは貴方には関係ない。

あったとしても、答える義理はない。

…っ!放っておいて。

貴方にとやかく言われる筋合いはない。

それじゃあわたしはこれで。

一応言っておく。ストーカーまがいの行為はやめて。

気が散って迷惑だから。




…貴方、わたしが前に言ったこと、もう忘れた?

ストーカーまがいの行為はやめてって、言ったはず。

は?意味が分からない…

わたしの休憩中に、目の前で堂々と座るなんて、どういう神経してるの…

勝手にライバル認定しないで。

わたしの足元にも及ばないくせに…

剣聖…たしかにそう呼ばれてるけど、貴方にそう言われると、なんだか侮辱されてるように聞こえる。

…?なに?覚えてるも何もわたし、貴方のことなんて全然知らないけど。

いや、ちょっと!……急になに、あの人…

お金だけ置いてさっさとどこかに行くなんて…何考えてるの…

奢られる筋合いなんてないのに…ホント迷惑。

あの人のことはもう気にしないようにしよう。

それが一番、のはず…




な、にこれ…わたし、知らない…

こんな記憶、知らない…!

わたしが覚えてない空白の部分って、もしかして…!

違う…違う違う!

こんなのありえない…!ただの幻覚に決まってる…!

はぁはぁ……わたしは、誰?何者なの…?

…貴方。どうしてここに…

…そう。相変わらず意味不明だけど。

わたし、貴方のこと知ってる。

存在しないはずの記憶の中の話だけど…

わたしと貴方は友達、だった…

ううん、腐れ縁って言い換えてもいい。

小さい頃、貴方は弱いくせに、いじめられてばかりのわたしの前に立って、いじめっ子と毎日喧嘩してた。

貴方はいつも負けてばかりで、わたしがその傷を治療するのが日課になってた。

だからきっと…わたしは自分が強くならなくちゃって思ったんだ。

大切な貴方を、守るために…

やめてよ…そうやって笑うの…

わたし、そこの魔女に記憶を消されて、改ざんされて…!

いいように操られて、知らず知らずのうちに魔女のために働いてた…!

自分の邪魔者を消すために、わたしを魔法によって強化して…

わたしはそれを自分の力だって自惚れて…滑稽(こっけい)だよ。

わたしの強くなりたいって思いを利用されたんだ…!許せない…!

だけど、今のわたしは操り人形だから…

ごめんなさい…記憶は取り戻したけど、自分の体は思い通りに動かせない。

だから早く逃げて…貴方の命は奪いたくない。

もうわたしは立派な魔女の眷属だから…お願い。

え……全部知ってたって…どういう…

そう…敵情視察ってそういうことだったんだ…ふふっ。

だったら…わたしの命、貴方に預けていい?

うん…わたしを助けてほしい。

わたし、まだ貴方に言ってないことがあるから…

このままじゃ死んでも死に切れない…!

ありがとう…貴方のこと、信じるね。



ごめんなさい…ごめんなさい…

あっ…大丈夫⁉︎ 息、してる⁉︎

よかった…本当によかった…!

わたし、貴方のこと殺してしまったのかと…!

この期に及んでそんなこと言えるなんて…貴方ってホントバカ…

けど貴方にあんな隠し玉があるなんて知らなかった…

弱いのは相変わらずだったけど…ふふっ。

魔女のことはいい。またとっ捕まえればいいから。

うん…思い出した。貴方との思い出全部…

弱いくせに、自分が前にしゃしゃりでるのは全然変わらないね。

でも…そんな貴方だから、好きになったんだと思う。

好き。貴方のこと、好きだよ。

そう…これが貴方に言いたかったこと。

散々、邪険にあしらっておいて今さらって感じだけど…

これが今のわたしの本当の気持ちだから。

いい。返事はいらない。

貴方にこの気持ちを伝えたかっただけ。

受け取ってもらう資格がないことくらい、分かってるから…

え……いや、でも…!

わたし、貴方に酷いことばかり言って…!

…っ、それは違う!

貴方の行動を見れば分かる!

そうじゃなきゃ、わたしを助けたりなんてしない!

あっ…そっか、貴方もわたしのこと…

分かった…ありがとう。

貴方の気持ち、素直に受け取る。

うん…嬉しいよ。そう言ってもらえると助かる。

わたしも貴方と一緒にいたい。

貴方がわたしの力になってくれたように、わたしも貴方の力になりたいから。

へっ?わ、わたしから?

なんでそこで調子に乗るの…ムカつくんだけど。

まぁいいよ。迷惑かけたお詫びってことで…

(キス)

こ、これでどう…?

なっ!じゃ、じゃあ今度は貴方がやってみせてよ!

(キスされる)

〜〜っっ!ムカつく…ムカつくムカつく!

わたしより上手いのがなんか腹立つ…!

そのドヤ顔やめて。斬りたくなるから。

ん……もちろん。これからは貴方と一緒に行動する。

剣の腕は一から磨き直す。

元々わたしに剣聖なんて肩書き、全くふさわしくないし。

そう。魔法による強化が解けたし、そもそもあれは借り物の力だから。

うん…これから本当の意味で強くなってみせる。

ううん、貴方は弱いままでいい。

じゃないと、わたしが貴方を守れないでしょ?

そう。むしろ強い貴方なんて想像できない。

さ、まずは貴方を医療施設に放り込んで、その傷治してもらわないと。

貴方が入院してる間、わたし、修行してるから。

すぐ貴方のこと追い越すから。覚悟しててね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
クールな剣聖様には取り付く島もないけど、俺は諦めない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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