あなた(聞き手)のクラスには、王子様みたいな女子がいる。
背がすらりと高くて、声も低い。この前、女子から告白されているのだって目
撃した。
そんな彼女とあなたが付き合っているのは、クラスのみんなには秘密。

●登場人物設定
名前：イケメン女子(作中に名前は登場しません)
年齢：16歳
身長：173センチ
一人称：僕(ボク)

●書式
(SE:)　SEを付けるための指示です。主に音声を編集する方へのものです
()　声優様への指示です。

(SE:クラスの喧噪)
(クラスメイトの女子たちと会話するイケメン女子)

ははは、まいったな。そんなに騒がないでくれよ仔猫ちゃんたち
僕はただみんなにホワイトデーのお返しをしているだけさ

バレンタインの時はたくさんチョコをもらってしまったからね
これはほんのお返し

順番に配っていくから待っててね

ああ……キミのチョコは手作りだったね
キミの誠意はよく伝わってきたよ、ありがとう。
キミにはクッキーを用意してみたよ。キミのチョコみたいに綺麗には出来なかったけど、どうかな？

ふふっ、ありがとう。キミのはにかむ笑顔が見られて良かったよ
キミの笑顔はまるで一輪の花のようだね

(聞き手がイケメン女子を呼んでいる)
……おっと、すまない。呼ばれているみたいだ

きっと委員会の用事だろう。……ははっ、心配いらないよ
用事が終わったらすぐキミたちの元に戻ってくるからね

(SE:歩く音)
やあ、ごめんね。待ったかい
僕に何か用事だろう、ちょっと場所を変えようか
仔猫ちゃんたちが僕たちのことを気にしてしょうがないからね

(SE:歩く音)
(場面転換)
……ここまで来れば誰もいないかな
ねぇ、手、握ってもいいかい？

……さっきまではみんなの前だからずっと我慢してたんだよ
でも、ここなら誰も見ていないだろう？

だから、ほら、手を出して

(手を握る)
んっ……

あはは……なんか、改めて手を握ると恥ずかしいね

手なんて何度も握ってるのに、あなたと握るといつでもどきどきしちゃう

……あれだけ女の子にモテてるのにって？

(慌てて否定する)
ちがっ、あれはそんなんじゃなくてっ、あなただって分かってるでしょうっ？

(早口で)
あの子たちは別に恋愛的な意味で僕のこと見てる訳じゃなくて、ただちょっと僕の男の子っぽいところに憧れてるっていうか……ああ、もうっ！　こんなこと自分で説明するのも恥ずかしいよ！

(おちついて)
ふぅ……なんか、あなたといると調子を狂わされてばかりだ

女の子たちといる時はこんな風な気持ちにならないのに……あなたといると自分が女の子なんだなって自覚させられちゃうよ

それで？　何か僕に用事があったんだろう？
だからクラスから離れて、僕を呼び出したんだろう？

僕たちが付き合っているのはあの子達には秘密だものね

……ん？
ホワイトデーのお返し……？

(驚いている)
うそ……！

僕に……くれるのかい？
いや、確かにバレンタインの時はあなたにチョコ贈ったけど……
わあ……嬉しい……

実はね……僕、バレンタインに誰かにチョコレート上げたの、あなたが初めてなんだ

いや、本当だって
だって……僕はいつだってバレンタインはもらう側だったからさ

……うん、嬉しいよ。あなたからもらうプレゼントはなんでも嬉しいけど、これが一番嬉しい

ねえ、開けてみてもいい？

わぁ……綺麗な飴……
キャンディだね……ハート型の缶に入ってる
中身もカラフルでいい匂いがする……

ふふふっ……まさかこんな素敵なお返しがもらえるなんて……
ああ、駄目だ。顔がにやけちゃう

こんな顔、他の子たちには見せられないよ

気持ち悪い顔になってないかい？

えっ、かわいい……？

(照れながら)
そ、それは……どうも……

僕のことをか、かわいいなんて言ってくれるの、あなただけだよ……

(思いついたみたいに)
え……えっと！

かわいいと思ってくれたなら、ついでにお願いしたいことがあるんだけど……
いいかい？

(照れながら)
そ、その……わ、私の頭……撫でてほしいな、なんて……

(慌てて否定　早口で)
あーあーあー、ごめんなさいっ！　やっぱり今のなし、ちょっとそれは自分で言っていて恥ずかしくなったというかありえないというか……！

(ちょっと落ち着いて)
……いや、僕って背が高いだろう？
だからあんまり他の人から頭を撫でてもらったことってないんだよね……

自分では、よく女の子の頭を撫でてあげたりはするんだけど……

みんなが気持ち良さそうにしていたから、僕もあなたに撫でてもらいたいなぁ
……って思ってしまったというか……

(「頭を撫でるよ」と言われる)
えっ、いいの！？

う、うん……
それじゃあ……って手が届かないか

じゃあ、ちょっとかがむね？
これで、お願い……

(頭を撫でられる)
ふぁあ……気持ちいい……
あなたのあったかい掌が僕の頭を優しく撫でてる……

撫でられたところがくすぐったくて、なんだかぽかぽかする
すっごく恥ずかしいのに、とっても安心する……

頭を撫でられるのってこんなに、気持ちのいいものだったんだね

僕のわがままに付き合ってくれてありがとうね

僕のこんな姿を見せられるのは、世界であなただけだよ

好きだよ……また、僕のわがままに付き合ってね

(おわり)

ホワイトデーのお返しの意味
クッキー=あなたとは友達のままで
キャンディ=あなたが好きです

・台本（ゆるボイ！）
女子から憧れられているイケメン女子な彼女が、あなたの前でだけめちゃくちゃかわいい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
語屋なつき