おかえり、お兄さん。

大丈夫？今日は怪我してない？

ホント？ちょっとボディチェックさせてね…

…うん、大丈夫そう。怪我はないみたいだね。

もうご飯できてるから、一緒に食べよ。



お兄さん？どうしたの？

あんまり食べてないけど、食欲ないの？

それともご飯、口に合わなかった？

そっか…でも食べないと身体保たないよ？

お兄さんはいつもわたしたちエルフの森を守ってくれてるんだから。

お兄さんが守ってくれるようになってから、この森も平和になったし…

そう。だからお兄さんには元気でいてもらわないと。

え……そ、そういう意味で言ったんじゃなくて…！

わ、わたし、お兄さんのこと、自分達を守るためだけの、ただの道具だなんて思ってないから！

お兄さんの優しいところも、真面目なところも、人として素敵だなって思ってるし…！

じょ、冗談？

もぅ…！おどかさないでよ…ビックリするじゃん。

と、とにかくご飯はちゃんと食べてね。

お兄さんが好きな物を作るように、わたしも努力するから。

ううん…これくらいお安い御用だよ。

お兄さんが普段やってくれてることに比べたら、大したことないし。

それじゃあわたし、食事の片付けするから、お兄さんはゆっくりしてて。



お兄さん、入るよ？

あれ？寝てる…最近眠るの早いなぁ…

森の見回り、やっぱり疲れるのかな…

いくら男の人でも、お兄さんは人間だし…

体力的にツラいのは仕方ないよね…

…そうだ。毛布かけてあげないと。

このままだと風邪ひいちゃうし。

お兄さん…いつもお疲れ様。

貴方のおかげで、この森は平和を保ててる。

力のないエルフの部族がここまで生き永らえてきたのは、お兄さんがいつも助けてくれてるから。

ん？手紙…誰に向けて書いてるんだろ…？

…えっ？う、嘘、だよね…？

こ、こんなの信じられない…！信じたくない…！

でも最近食欲なかったことの説明はつくし…

お兄さんがこの森を守ってくれてたのもきっと…

早くみんなに知らせなきゃ…！




おはよう、お兄さん。

ぐっすり眠れたようでよかった。

疲れはどう？しっかりとれてる？

ふふ、そっか。お兄さんが元気になって。

え？うん、そうだよ。

お兄さんの呪いは全部解いてあげた。

ほら、あれ…お兄さんを裏から操っていた魔女の生首。

アイツがお兄さんに呪いをかけていたんでしょ？

この森をお兄さんに守らせていたのは、わたしたちの警戒心を解くため。

あの女、この森を乗っ取った挙句、お兄さんを手篭めにするためにわざわざこんな回りくどいことしてたんだ。知らなかった。

はい、これ。お兄さんが魔女に宛てて書いた手紙。

森の状況を事細かに記してあるね。

これ、次の見回りの際にしれっと魔女の森まで行って、渡すつもりだったんでしょ？

魔女の森、わたしたちの森のすぐ隣にあるしね。

ふふふっ…別に怒ってないよ。

たしかにわたしたちへの裏切り行為ではあるけど…

仕方ないよね、呪われてたんだもん。

あはは！お兄さんも冗談が上手いね！

お兄さんがこんな薄汚い女に忠誠を誓うわけないじゃん。

もう…わざわざ嘘ついてまで、自分を貶めなくても…

そんなことでわたし、お兄さんを見放したりしないよ。

だってわたし、お兄さんのことが大好きだから。

わたしに笑いかけてくれたときのクシャッとした顔も、戦いに赴く際のキリッとした顔も、わたしのわがままを聞いた時の困った顔も、全部好き。

森のみんなもお兄さんのこと好きだけど、わたしはもっと好き。

この気持ちは誰にも負けない。

お兄さんが魔女の手先であったとしても大丈夫。

もう過去のことだし、お兄さんを苦しめてたその元凶ももうこの世にはいないし。

お、お兄さん⁉︎ どうして泣いてるの⁉︎

どこか痛いの⁉︎苦しいの⁉︎

癒しの魔法、かけた方がいい⁉︎

え……そ、そんな…

嘘、嘘だ…優しいお兄さんがそんなひどいこと言うはずない…！

あ、そっかぁ…まだ魔女の呪い、完全に解かれてないんだぁ…あははっ！

あの女…もう生首だけの存在のくせに、未だにお兄さんを苦しめるなんて…許せない…！

お兄さん…少しだけ、我慢してね。

(キスして押し倒す)

今からお兄さんにかけられた呪い、解いてあげるね。

大丈夫だよ。今度こそちゃんと上手くやるから。

子どもができればわたしたち、本当の家族になれるよね？

うん！わたし、お兄さんとの子どもがほしい！

何人産めるか分かんないけど…できるだけたくさんつくるね♡

呪いを解くこととの関係？あるよ。

あの女への気持ちを身体で上書きしちゃえば、きっと呪いなんてすぐ解けるよね♡

わたしも初めてでちょっと緊張するけど…

お兄さんのためなら、いくらでも頑張るよ。

お兄さん、大好き♡

いーっぱい、愛してあげるからね♡

・台本（ゆるボイ！）
魔女の手先としてエルフの森を守っていたら、一人のエルフの少女にガチ恋されてしまった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎