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昔、妹が大切にしていた人形が俺に甲斐甲斐しく世話を焼いてくる
written by 松平蒼太郎
  • 耳かき
  • 甘々
  • 純愛
  • 切ない
  • 癒し
  • 少女
  • 清楚
  • お嬢様口調
  • 妹系使用人
  • ASMR
  • 擬人化
  • 人形
公開日2022年04月17日 07:41 更新日2022年04月17日 07:41
文字数
2178文字(約 7分16秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
人形
視聴者役柄
人間
場所
自宅
本編
おかえりなさいませ、お兄様。

本日もお勤め、ご苦労様です。

え?…はい、わたくしはお兄様に拾っていただいた人形です。覚えていませんか?

そうです!その人形です!

昔、お兄様の妹様が所有していたあの人形です!

ですがわたくし、大きくなった妹様にもう不要だと捨てられてしまって…

ですが、それをお兄様が拾ってくださいました。

拾ってくださったこと、心より感謝申し上げます。

こうして人の形をとれたのも何かの縁。

もしよろしければ、わたくしをお兄様のおそばにおいてくださいませ。

わたくし、誠心誠意お兄様に尽くしますので。

はい。非力ではありますが、お兄様の身の回りのお世話をさせていただきますわ。

さっきもお兄様が帰ってくる前にお部屋の掃除、洗濯などをしておりました。

まぁ…!喜んでいただけて嬉しいです!ありがとうございます!

さぁ、お兄様。玄関で立ちっぱなしも何ですし、まずはシャワーでも浴びてサッパリしましょう。

上着、お預かりしますわ。あとお着替えもすぐに準備いたしますので。



お兄様。お上がりになられましたか?

はい。お食事の準備もすでに整っております。

お兄様がお風呂から出てくる時間に合わせて作り終えましたので、出来たてですわ。

ぜひお召し上がりくださいませ。



お粗末様でした。ご満足いただけたようで何よりです。

え?わたくしですか?わたくしはあとで適当な時間に食べますけれど…

はい。お兄様のお世話が終わり次第、適当な物を食べようかと思っております。

え?…いえいえ、そんな!お兄様と同じ食卓につくなんて畏れ多い…!

め、命令と仰るのであれば、そのようにいたしますが…

はい…かしこまりました。次からはお兄様と同じ食卓を共にするといたします。

そういえば、お兄様。さっきお部屋の掃除をしていて見つけたのですが、これは…

はい。新品の耳かき棒です。まだ開封もしていませんよね?

あら、そうだったのですか?でもこのままホコリをかぶせておくのはもったいないですし…

もしよろしければ、わたくしがこれでお兄様のお耳をお掃除して差し上げましょうか?

はい。全然構いません。むしろお兄様のお世話ができて、わたくしも嬉しいですし。

ではお兄様、こちらに……はい、わたくしの膝にどうぞ。

ふふ、遠慮なさらず。わたくしはいつでもウェルカム、ですわ。

(膝に寝転がられる)

その態勢でよろしいですか?

かしこまりました。それではお耳掃除、始めていきますね…

(耳かき)

あら、お兄様…とても耳の中が汚れておいでです。

ご自分ではあまり耳掃除はなされないのですか?

そうなんですね。ではこれからはわたくしが定期的に耳掃除をしていきますね。

え?……あ、それはそう、ですね…

いつまで人の形をとっていられるか、わたくし自身も分かりませんし…

はい…ホント、どうしてこうなったのかという感じです。

でもこれはきっと、神様がわたくしに授けてくれた贈り物に違いありません。

はい。お兄様への御恩をお返しするチャンスというプレゼントを、神様が授けてくださったのですわ。

もう必要とされなくなったはずのわたくしをお兄様は再び必要としてくださった…人形としてこれほどの喜びはありません。

しかし、どうしてお兄様はわたくしを?

子どもの頃の大切な思い出……ふふっ、そうですか。ありがとうございます。

もうそのお言葉だけで十分救われましたわ。

昔、妹様とお兄様とわたくしの三人でおままごとをしたことは、わたくしにとっても良い思い出ですわ。

たとえ人形の姿に戻ったとしても、絶対忘れませんから。

片耳はそろそろ終わりにいたしましょう。

仕上げにお耳、失礼致しますね…

(耳ふー)

ふふっ…気持ちいいですか?それはよかったです。

では反対のお耳もお掃除しましょう。反対向きに寝転がっていただけますか?

(反対を向いてもらう)

ありがとうございます。ではこちらのお耳も綺麗にしていきますね…

(耳かき)

こちらもしっかり汚れを取って差し上げます…カリカリっと…

はい、何でしょう?わたくしに答えられることであれば、なんでも。

そうですね…お兄様呼びなのは昔、ままごとをした時にわたくしがお兄様の妹役だったからですわ。

妹様はお兄様のお嫁さん役でしたね。懐かしい…

ふふっ…はい。三人で楽しく遊んでいたあの頃が懐かしいです。

え?……いいえ。妹様のことは恨んでなどおりません。

短い期間とはいえ、妹様がわたくしを人形として愛してくださったのは紛れもない事実です。

そんな妹様をどうして恨むことができましょうか。

最後には不要になって捨てられる運命だったとしても…わたくしは、わたくしを愛してくださった妹様のことを今でも愛しております。

別に凄くなどはございません。わたくしにとっては当然のことですから。

そろそろ仕上げに入りますね…いきますよ。

(耳ふー)

これで耳掃除は完了です。お疲れ様でした。

ありがとうございます。お兄様にお喜びいただけて何よりですわ。

え?……そう、なのですね…

ご、ごめんなさい…少し目にゴミが入ってしまって…

わたくしもお兄様のこと、愛していますわ。

人の姿でいる限り、これからもお兄様に尽くしていきます。

その、お兄様のお言葉に甘えるようで恐縮なのですが…

もし、わたくしが人形の姿に戻ったとしても…わたくしをお兄様のおそばにおいてくださいませんか…?

…! あ、ありがとうございます…!

(抱きしめる)

お兄様…わたくし今、とっても幸せです…!

お兄様の命尽きるまで、わたくしもそばにいますから…!

不束者ですが、これからもよろしくお願いします…!
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
昔、妹が大切にしていた人形が俺に甲斐甲斐しく世話を焼いてくる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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