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女騎士は一国の皇子のために殲滅の魔女となり、守るべき国を滅ぼした
written by 松平蒼太郎
  • シリアス
  • ファンタジー
  • 敬語
  • ヤンデレ
  • 女騎士
  • 魔女
  • 狂愛
  • 人外 / モンスター
公開日2022年04月20日 09:39 更新日2022年04月20日 09:39
文字数
3017文字(約 10分4秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
魔女
視聴者役柄
皇子
場所
某国
あらすじ
とある国の皇子と女騎士の物語。
皇子にほのかに想いを寄せる女騎士は祖国を守るべく日々研鑽に励んでいた。
しかしある日、皇子が不治の病にかかったと聞いて、己が何をすべきか苦悩していたが…
本編
皇子。お迎えにあがりました。

はっ。こたびの戦いでのご活躍、お見事でした。

お怪我などはございませんか?

はっ。ではこちらに。すぐに本国へ帰還いたしましょう。





ふぅ…そろそろ自主訓練はこのくらいにしておくか…

お、皇子⁉︎ なぜこのようなところに…⁉︎

い、いえ…悪いというわけではございませんが…

は、はい…もちろん、構いません。どうぞ…

それで皇子…ここに何か用事でも?

わ、わたしに…?そんな畏れ多い…

いえ…これくらい、騎士として当然のことです。

常に研鑽を積み、いざという時のために剣の腕を磨いておく。それがわたしの務めですから。

はい…この国を守ることこそ、騎士道の精神だと心得ております。

恐縮です。一介の騎士にすぎないわたしには勿体ないお言葉…

いえ!これからも精進いたします!ありがとうございます!

はい…どうぞ、わたしなどに構わず、お休みになってください。

明日もご公務がありますし、そのためにも英気を養っていただきたく存じます。

はっ。お疲れ様でした。





買い出しはこんなものでいいか…

うん、必要なものは全て揃ってる。問題はない。

はい、今日はわたしが買い出し係なので……って皇子⁉︎なぜこのようなところに…⁉︎

あっ…す、すみません。大きな声を出してしまって…

それで本日は?護衛もつけずにどちらへ?

…もしかしてお忍びで街へ出てこられたのですか?

(ため息)

全く皇子は…少しはご自分の立場を自覚なさってください。

将来この国を担うお方がこのようなところに軽々しくフラフラ出て行っては、家臣ひいては民に示しがつかないでしょう?

皇子…もう、仕方ありませんね。今日だけですからね?

はぐれないように…どうぞ、わたしの手を取っていただいて…

は、はい…それで構いません。では、行きましょうか。





ここまででよろしいですか?

はい。出来るだけ早くお戻りになってくださいね?

今ごろ皇子がいなくなって、お城は大騒ぎでしょうから。

もう…本当に分かっておいでなのですか?貴方はもっと皇子としての自覚をちゃんと持ってですね…

あっ、こら!……本当に仕方のない人だ。賢くて勇敢な方なのに、どうしてあんなにも自由なんだろうな…

この国のためにも、あの方のためにも…わたしがしっかりしなければ…




え……皇子が、不治の病…?しかもかなり以前から…?

この国のどのお医者様でも治せないなんて…そんな…

どうにもならないのか…くそっ!

皇子は?どのようなご様子で?

そうか…今のところ特に変わった様子はなし、か…

だがそれだと一刻の猶予もないだろう?

陛下の跡は誰が継ぐことになっている?

なに…⁉︎ 他国から養子をとるだと…⁉︎

そうか…お妃様の実家から…

だがそれだと国の乱れに繋がるのではないか?

あぁ…陛下には幼い次男もいる。養子をとってしまえば、お世継ぎをどちらにするかで、国が二分してしまう恐れも…

内乱が起これば、我が国は周辺諸国の草刈り場となるだろう。そうなれば…最悪、国が滅びる。

あぁ…たしかに我々がここでどうこう言ったところで、現状はどうにもならないのだしな…

このまま待つことしかできないのか…




あれ…?皇子⁉︎ そのようなところで何をなさっているのですか⁉︎

散歩って…貴方は病気なのでしょう⁉︎ フラフラ出歩いて病状が悪化したらどうするのです⁉︎

そ、そのようなことは…でも…

ま、まだお諦めにならないでください!病気だっていつかはきっと…!

あ……申し訳ございません。軽々しく言うべきことではありませんでした…

え…?呪いを…?そ、それは誰に…?

陛下が…⁉︎ バカな…!そんなことあるはずが…!

まさか陛下が皇子を邪魔に思っているだなんて…

そのために呪術師に頼んで皇子を呪い殺そうと…

何か手を打たねば…!呪いを解く方法さえあればきっと…

お、皇子⁉︎ しっかりなさってください!

酷い吐血…すぐお部屋に…!

え……いえ、しかし…

一介の家臣に過ぎないわたし如きが皇子を抱きしめるなど…

…かしこまりました。では、少しばかり失礼致します。

(ハグ)

こんなにもあたたかいのに…このお体がいずれ冷たくなってしまうなど考えたくもありません。

皇子…やはりわたしは貴方の命を諦めたくはありません。

必ず貴方を救う方法を見つけてみせますから…!それまで待っていてください…!

はい…ですから、今日限りでわたしは騎士を辞めます。

少しばかり旅に出て、その呪いを解く方法を探してきます。

大丈夫です。貴方のためを思えば少々の苦難など、どうにでもなります。

どうかわたしを信じていただけますか…?

はい…ありがとうございます。

必ず貴方の元に戻ってきます…!それまでどうかご無事で…!





皇子…お久しぶりです。わたしのこと、覚えておいでですか?

はい。貴方がやんちゃしていた時に、よく手を焼いていたあの騎士です。

もっとも今は騎士ではなく、魔女ですが。

さ、ここは危険ですので、早く脱出しましょう。

はい、お城を燃やしたのはこのわたしです。

どうしてって…決まっています。このお城こそが、貴方を苦しめていた元凶なのですから。

どうやら陛下は城全体に呪いをかけて、貴方を呪い殺そうとしていたみたいですね。

まさかあの温厚な陛下が実の息子である皇子を殺そうなどとは…まったく度し難い話です。

さ、グズグスしてる暇はございません。わたしの手を取ってください。

はい。それでは飛びますよ…




ここまで来れば大丈夫でしょう。

お体、何ともございませんか?

そうですか。なら良かったです。

いいえ…残念ながら呪いは完全には解けておりません。

長年、貴方の中に蓄積された分の呪いがまだ残っておりますので。

はい。これを解くには、わたしの眷属になるしか方法がありません。

はい、眷属です。今のわたしは魔女ですので、貴方の中にある呪いに対抗できる魔力を持っています。

貴方の呪いを消し去るためには、わたしの魔力を半永久的に流し込むような仕掛けが必要です。

はい。そのための眷属化です。どうかご理解ください。

ご安心ください。力関係としてはわたしの方が上になりますが、わたしは貴方のしもべ。

これまでと同じく、貴方に忠誠を誓います。

これからは国ではなく、貴方のためだけに力を尽くします。

えぇ…見ての通り、この国は滅びました。わたしが滅ぼしました。

せめてもの慈悲です。この国が他国のモノとなり、民がその国の奴隷となるくらいなら、いっそのこと滅んでしまった方がよろしいでしょう。

はい…噂には聞いていましたが、魔女の力というのは凄まじいですね。

このように、一国をも容易く滅ぼせるとは…

はい。この力は他ならぬ魔女から分け与えられました。

いえ、ご心配には及びません。

少々拷問のようなことも受けましたが、耐え忍びました。

はい。すべては御身を守るため。

お陰でその魔女に気に入られて、力を分け与えてもらった次第です。

謝らなくて結構です。これはわたしが望んだ結末ですから。

それからもう一つ…わたしの想いをお伝えしてよろしいですか?

(キス)

わたしは一人の女として、貴方のことをお慕い申し上げております。

貴方が呪いを受けていると知ったあの日から、そのことを自覚したように思います。

一国の皇子として戦場に出向く姿も、一人の男の子として街で楽しそうに遊ぶ姿も、すべて好きでした。

貴方さえいれば何も要らない。貴方さえ無事でいれば、他のことなどどうでもいい。

国が滅びようが知ったことではありません。

わたしは魔女ですが…これからは貴方だけの騎士でいたいと思っています。

貴方のおそばでお仕えすることを、どうかお許しください。

(抱きしめられる)

あ……ありがとう、ございます…

はい…貴方にそのように想ってもらえて嬉しく思います。

ずっと、一緒にいますから…国が、世界が滅びても、ずっと…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
女騎士は一国の皇子のために殲滅の魔女となり、守るべき国を滅ぼした
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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