放課後の教室で一人、赤点の補習課題をしていた貴方の前に現れたのは、同じクラスの女子だった。
なぜか彼女に課題を手伝ってもらうことになったのだが…？

(扉が開かれる)

君…まだいたんだ。

こんな遅くまで残って勉強？

そっか…赤点の補習課題が…

わたし？わたしは忘れ物を取りに来ただけ。

うん、宿題で使うノート忘れちゃって…

そう、これ。面倒だし、さっさと終わらせたい。

ところで…君の方はどこで苦戦してるの？見せて。

ふーん…大変そうだね。ちょっと手伝ってあげようか？

そんな意地張らなくていいと思う。困ってるんでしょ？

数学はわたしの得意科目だから任せてほしい。

うん…それじゃあ一緒に勉強しよっか。





うん…これでいいと思うよ。先生に提出してきたら？

ううん、気にしないで。ちょっとした恩返しだから。

そうだよ。君はわたしのこと、助けてくれた。

階段で足を踏み外したわたしを、庇ってくれたでしょ？

その手の骨折だって、元はと言えばわたしのせいだから…

え……ふふっ、あはは…！

ご、ごめん……なんか君らしいなって…ふふふ…

でもありがとう。わたしに気を遣わせないようにって、わざとそういう言い方してるの、分かったから。

ふふふ…君ってそんな可愛いとこもあるんだ。初めて知った。

ん？なに？……ひゃっ！

(両肩を掴まれる)

ど、どうしたの？……あ、そういうこと…

…いいよ。君になら襲われても。

だって…君が優しい人だってこと、知ってるから。

ちょっと不良っぽいからみんな勘違いしてるけど…君は優しくて素敵な人だよ。

買い被り？そうかもね。

それでもわたしはあの時助けてくれた君のこと、信じてるから…

なんだ、襲ってくれないんだ…残念。

(バックハグ)

仕方ないから、わたしから襲ってあげる。

不良に見えて実は結構紳士だよね、君。

嫌なら振り払えば？男の子の力なら余裕でしょ？




ね…わたし、君のこと好きになったかもしれない。




冗談言ってるように聞こえる？

少なくともわたしは本気のつもりだけど。

あはは…どうだろうね？

階段から落ちたときに、ついでに恋にも落ちちゃったのかも…なんてね。

だって今わたし、すごくドキドキしてるから…

変？なんで？君を好きになることのどこが変なの？

ふーん…自己評価、低いんだ。

君の自己肯定感、もう少し上げてあげようか？

わたし、君に助けられたの、あの一回だけじゃないよ。

中学の時わたし、いじめられてたの。

その時にも君は、わたしを助けてくれたよ。覚えてない？

そっか…覚えてないんだ…

詳細は省くけど…その時君が言ってくれたこと、今でも忘れてない。

「これからは俺がお前をいじめてやる」って。

実際、その後何度か校舎裏に連れて行かれたけどね。

ううん。何もされなかった…っていうか、ほんとに連れて行かれただけ。

校舎裏に着いたら「はい、いじめ終わり！」とか言って、さっさとどっか行っちゃうんだもん。

わたし、ポカーンってしてて…

後から思い出すとおかしくて、一人で笑っちゃった。

同じ高校に上がって…ちゃんとお礼言いたかったけど、なかなか言い出せなくて…

あ、うん…普段から君のこと、よく目で追っかけてた。

不良っぽいのは相変わらずだけど…優しいところも相変わらずだなって。

ふふふ…いいよ、教えてあげても？わたしと付き合ってくれたら。

得かどうかはわたしが決める。君は心配しなくていい。

返事…してくれない？

わたしのこと、なんとも思ってない？

それとも…「これからは俺がお前をいじめてやる」っていう、あの時の言葉は嘘だった？

えぇ…酷いなぁ、もう…

君が覚えてなくても、わたしが覚えてるし。ノーカンにはさせないよ。

あ…ごめん。ずっとくっついたままだったね。離れる。

(キス)

こっち、向いてくれると思った。ありがとう。

え？キスされるの期待してこっち向いたんじゃないの？

ふふ、冗談だよ。でもわたしが本気だってことはわかってくれた？

あ、待って。わたしも一緒に帰る。

(腕にしがみつく)

やだ、離さない。今日はこのまま一緒に帰るの。

…君のこと、振り向かせてみせるから。覚悟してね？

・台本（ゆるボイ！）
クールで美人なクラスメイトになんやかんやお礼言われた挙句、なぜか告白された
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎