0
私のためのアイドル
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • ファン
  • アイドル
公開日2022年10月01日 18:41 更新日2022年10月01日 18:41
文字数
2281文字(約 7分37秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
アイドルのメンバーのファン
視聴者役柄
アイドルのメンバー
場所
ライブ会場外
あらすじ
アイドルグループのメンバーのあなたは、ライブの終わり、出待ちしていた一人のファンに話しかけられる。
よくいるファンの一人かと思いきや、彼女は強い独占欲を持っていて、「私だけのアイドル」になることを要求され……
本編
んふっ、ライブ、お疲れ様でした。
今日もとってもかっこよかったですよ。

当たり前ですよね。
私の王子様がカッコよくないはずなんて、ないですから。

座席、ステージからあんまり近くないところだったのに、あなたが何度も私に笑顔を見せてくれて、それだけでキュンとしてしまいました。
あ、いや、もちろん、そもそも同じ空間にいるというだけで頭クラクラして、心、正常に保てないんですけどね!?

って、あ、あ、い、今、今私、よく考えたら、あなたの目の前にいて、話し掛けちゃってる……?
え?

あ、あの、わ、私、考えれば考えるほど、あなたに迷惑なことしちゃってませんか!?
あなたなんかに私が話しかけてしまうなんて!

え、い、いいんですか?
そんな、でも、こんな私の相手をしてくれるところは、やっぱり素晴らしいです。
流石は王子様、お心が広いのですね。
ますます惚れてしまいます。

それにしても、こんな近い距離で、生で会えるなんて……
出待ちこそしてましたけど、本当に会えるとは思ってもみなかったの、心臓がすごく騒いでます。

よく見てみると、映像とか写真とかで見るより、ずっとずっとかっこいいですね。
直接じゃないと感じられないオーラがあるというか、王子様が目の前で生きているからこその一つ一つの動作が新鮮というか、感動してしまいます。

あの、これって、本当は夢だなんてこと、ないですよね?
私が王子様と出会えてる今は、ちゃんと現実ですよね?

そ、そうですよね。
私、こんな光景を何度か夢に見たことがあって。
それほど、心の底からこんな出会いを待ち望んでいたってことだと思うんですけど。

夢の中ではどんな話をしてましたっけ……

頭、撫でてもらったのは覚えてます!
あれはきゅんきゅんと燃え尽きて死ぬかと思いましたよ、夢でしたけど。

あの、もしよかったらでいいんですけど……
現実でも、してくれませんか?
ちょっと、ぽんぽんってぐらいで構わないので。
って、失礼ですよね。

 (男、撫でる)

ふぇっ……?
ほ、ほっ、本当に、してくれた……
もう私、死んでもいいかも……

えっ、ダメ?
って、そうですよね。
これからもあなたのこと、応援しなくちゃいけませんから、安心してください。
今日のおかげで、ますます熱、入っちゃいますから!

今日のところは、これ以上あなたの迷惑をかけるわけにもいかないので、最後に、一番あなたに伝えないといけないことを言わせてください。
直接会えるのなら、これだけは届けたいとずっと思ってたんです。

好きです。

わがままなことを言えば、もっとそばであなたの力になりたい、です。

 (男、断る)

あまり、申し訳ない顔をしないでください。
断られることぐらい、わかってました。
王子様に私は似合わないですからね。

ですが……他のファンがいるからってどういうことですか?
そんなもののために、あなたはアイドルをやってるっていうことですか?

ふーん……そうなんですね。
なんだか、嫌な気分です。

私には、あなた一人しかいないというのに、あなたは何千何万といるファンのことを考えてる。
「君のためのアイドル」って、いつもグループで言ってましたよね?
あれは、嘘だってことなんですか?
私のためのアイドルではいてくれないんですか?

そうですよね。
私のためのアイドルなら、今日のライブだって、ちょっと何度かこっちを見てくれるだけなんてこと、ないですよね。
ずっとこっちを見て、振付のハートを射抜くポーズだって、私に向けてやってくれるはずです。
やっぱり、沢山のファンにいい顔してるんですね。

「君のためのアイドル」とは口ばかり、有象無象のファンに愛嬌を振りまいて、私、ちっとも嬉しくないです。
私は、「あなたのためのファン」ですから、他のメンバーのことなんか、気にしたりもしませんよ?
私の愛全部をあなたに注いできました。
これからも注いでいくつもりです。

今までのことは、私の想いが届いていなかったとして許します。
ですから、これからはちゃんと、私のためのアイドルになってくれませんか?

他のファンのことを思うなんて、浮気みたいなものです。
王子様はそんな無粋なこと、しませんよね?

どうすればって、単純なことじゃないですか。

私のこと、特別扱いすればいいだけです。
その形は、私に伝わりさえすればなんでもいいですから。

もちろん、一番手っ取り早いのは籍を入れてくださることなんですが。
それなら、他の人にはできませんし、私以外すべての人があなたの大事な人にはなり得なくなりますから。

あはっ、それがいいですね。
それにしましょう。

というか、私からこの話をされて、違うことを提案されたら、もうそれは私のことを拒んでることになりますからね。
それって、やっぱり他のファンが大事だからってことになると思うんです。
そんなの、私のためのアイドルがしていいことじゃありませんよね?

それとも、私以外のファン、全員排除してしまえばいいんですか?
それなら確かに安心ですね。
私以外のこと、全く考えなくてよくなりますから。
ええ、それもありですね。

そうなると、流石に手間も掛かりますので、どっちかはあなたに選ばせてあげます。
どちらを選んでも、私はあなたの特別な存在になれますからね。
他の人の好きだとか、カッコいいだとかいう気持ち悪いノイズは気にしなくてよくなる。
やっと気持ちが満たされそうです。

私は、どっちでもいいんですよ?
あなたが、私だけのアイドルになってくださるんですから。

あなたが私しか愛さないか、私にしか愛されないか、そのどちらを選ぶだけです。

どうせなら、ちゃんと心から愛してくれる姿、見せてほしいものですけど。

それくらい、出来ますよね?
「君のためのアイドル」さん?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
私のためのアイドル
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

Twitterアカウントは@yorugi_suu以外一切関与しておりませんのでご了承ください。
有償販売利用の条件
TwitterのDM等にてご一報ください。
利用実績(最大10件)
夜木嵩 の投稿台本(最大10件)