クールと見せかけて全然クールじゃないちょっと生意気な後輩に質問攻めを"強要"される話。

ほらほら質問してくださいよ。私の事知りたいですよね。

ふーん。買い出しは先輩と、ですか。
思えばこうやって二人きりで行動するのって初めてですね。
買うものメモ、忘れてないですよね。え？忘れちゃったんですか？

もう…先輩が受け取ってたじゃないですか。
ま、そんな事もあろうかと可愛くて出来る後輩ちゃんはこうしてメモの写真を撮ってきている訳ですが。
私と一緒じゃなかったら一旦部室に戻ることになってましたね？全く危なっかしいんですから。

ほら、褒めていいですよ。うんうん、それでいいんです。

メモ。歩きながら読んでたら危ないですよ。目的地に着いてからちゃんと読めばいいんです。
館内図とか見ながらルート取りを考えましょう？そっちの方が効率的です。

そんな事より。いいんですか。この移動時間…可愛くて出来る後輩ちゃんとの貴重な談笑タイムですよ。

褒められてご機嫌ですから…先輩に少しくらい質問攻めにされても全然答えちゃうかもしれませんね？

じゃあ、専攻？あれ、知らなかったんですか。…知ってるけど、何故それを専攻してるかは知らない？
ふーん、そういう事ならいいですけど。

そうです。地質学です。積み重なった事実は個人の捉え方の揺らぎに左右されないところがよいです。
深い意味はないですよ。そのままの意味です。ただ、ちゃんと答えがあるものが好きなだけです。
ぽいですか？そうですか。

さて次は。
先輩。これは可愛い後輩ちゃんと仲良くなるチャンスなんですから。
色々聞いておくべきかと思います。

趣味ですか。
うーん。音楽鑑賞、ですかね。どんなのを聴いてるのか？
まぁ、普通に。ずっと金曜夜がいいのに、とか、TESUSABIとか。玄米法師とか…その辺聴いてますけど。
そこらのにわかファンと一緒にしないでください。私、初期から追ってるので。
私は売れるって思ってましたよ最初から。
私が好きで聴いてるアーティスト、だいたい流行るんで。
先輩も、私のオススメアーティスト、チェックしとけば流行先取り間違いなしってことです。ふふ。

うちの親ですか。
まぁ…そうですね。ちょっと鬱陶しくはありますね。やっぱり過保護すぎるっていうか。
何するにも、決めるにも、いちいち口出してきて、面倒です。
髪染めた時も、ピアス開けた時も、色々言われましたし。

正直、先輩みたいに早く一人暮らししたいなー…なんて。
ま。もちろん家族ですし？死なれたりとかしたら、たぶん悲しいとは思いますよ。ええ。
何ですか。その驚いた、みたいな顔。私にだってそういう気持ちはあります。
全く…私を何だと思ってるんですか。そんなに冷血に見えます？こんなに可愛いのに？
ふーん。そうですか。

あーあ。
先輩の失礼な発言のせいで、後輩ちゃん、ちょっとご機嫌ナナメになってしまいました。
次の質問で、持ち直せるとイイですね？よく考えて選んでくださいね。

好きな食べ物ですか。
先輩。もしかして…先ほど進行方向右手を通り過ぎた、私のお気に入りの喫茶店の、私のお気に入りのプリンを、私にご馳走して、私のご機嫌を取ろうという腹積もりですか。

なるほど。先輩にしては、悪くない判断です。
ええ。良い判断と言い換えてあげても構いませんよ。
ええ。私のお気に入りの喫茶店の、私のお気に入りのプリンを、私にご馳走する事を許します。

というわけで、私の好きな食べ物はプリンです。

ちなみに。先輩の好きな食べ物ってなんですか？
ふむふむ、なるほど。あー、確かに好きそう！

あっ…こほん。

何故聞くのかって？特段意図するところはないですが。単純に。興味本位で。
一つの質問をお互いに問い合う、よくある事じゃないですか。
深堀りしなくていいんです！

しかし、結局無難な質問ばかりですね。先輩。
もうすぐ目的地に着いちゃいますよ。
もっと私が返答に頭を悩ませるような、面白質問ないんですか。

なら、好きと嫌い…どっちか…？

え。あ。それは…。先輩を、好きか、嫌いか。っという質問という事で認識に相違ないですか。
ふ、ふーん。そうですか。

どちらか片方という二極で答ねばならないとなると、まぁ。はい。嫌い。…の選択肢はないですね。
そうなると結果的に答えは残りのもう片方となる訳で。
はい。つまり、好きな方なんじゃないですか。知りませんけど。

あ、く、ま、で！好きか嫌いかのどっちかで言えばですよ！？勘違いしないでくださいね！

まぁ、私が本当のこと言っているかは誰にもわからないですし。
もしかしたら嘘かもしれませんし。真実を語ってる証拠なんてどこにもないわけですから。

まぁ、別に？先輩が信じたい方を信じていたらいいんじゃないんですかね。
何ですか、そのニヤニヤ顔。そういう顔、やめた方がいいですよ。

見る人によっては変な風に捉えられかねませんから。
私は別に。気にはしませんけど。嫌いじゃないですけど。

私だって、多少、自分の態度が悪いという自覚はあります。
ですから、勘違いしてもらっては困るので言っておきますけど。

先輩を嫌っているなら、こうして話もしてないですし、
それこそ質問に答えるだなんて、あり得ないですから。
嫌いな人と一緒に喫茶店とか絶対嫌ですし。
嫌ならそもそも買い出しのメンバーが先輩と私の二人になるようにクジに細工もしてませんし。

え？クジ？あ、いや何言ってるんですか。
私そんな事言ってないです。絶対絶対言ってないです。
幻聴ですか？やだなぁ。先輩。疲れてるんじゃないですか。
早く用事済ませて、喫茶店で休憩しましょうね。

ところで。先輩はどっちなんですか。
どっちって。私の事ですよ。可愛くて出来る後輩ちゃんのことです。
好きか、嫌いかですよ。

なんでそんな事聞くのかって？
特段意図するところはないですが。単純に。興味本位で。
一つの質問をお互いに問い合う、よくある事じゃないですか。
そうですよね。そうだと思います。そうあるべきかと思います。

自分が答えられない質問を、人にするのはよくないと思いますよ。
さっきの質問をする前に、こういう結果になるって予想できなかったんですか？
浅慮過ぎて、可愛いですね。先輩。

ほらほら。簡単な二択じゃないですか。
もはや一択と言ってもいいくらいです。

だから。先輩は、私の事を好きだと言えばいいんです。

・台本（ゆるボイ！）
自称可愛くて出来る後輩ちゃんは、先輩に自分のことを知って欲し過ぎるようです。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
かよ！