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貴方の事が愛おしくて堪らない妖狐さんが貴方を心の底から幸せにしてくれるようです
written by 霜月鷹
  • 甘々
  • 癒し
  • 年上
  • お姉さん
  • 妖狐
公開日2022年12月14日 23:23 更新日2022年12月14日 23:23
文字数
3161文字(約 10分33秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
妖狐
視聴者役柄
妖狐に好かれた人間
場所
妖狐の社
本編
ふふ、此処ここればお主に会える……そう信じておったぞ。

今宵こよいはちと寒いが、それでも此処から眺める月は格別かくべつじゃな。
お主からこの場所の話を聞いてから気になっておったのじゃが、幾分いくぶん気乗りしなくてのぉ……
じゃが、今日は少しばかり大事な話があったから、こうして少しばかり足を延ばしてみたのじゃ。
なんじゃお主、そのような顔をして?
もしや、わらわが此処に居るのが不服とでも言うのではあるまいな?
「いつもの場所以外で会うのが不思議だったから」……なるほど、言われてみれば確かに。
お主と出会ってからというもの、妾はちと出不精でぶしょう気味じゃったからの。
じゃが、その言いようだとお主……妾を日がな一日社に籠っているだけの駄目狐とでも言いたそうじゃな?
よいよい、お主になら何を言われようと気にはせん……気にはせんが、流石に多少はへこむかもしれんな。

そんな事よりお主、少しばかり妾に付き合っては貰えぬかの?

もし仮に嫌と言っても、今宵の妾は少しばかり気が立っておるからのぉ……多少は強引に、それこそお主を引きってでも付き合ってもらうつもりじゃ♪
別に嫌な事があったとか、そういった俗物的な事ではない……ん、どうかしたのか?
「怒ってるようには見えない」……ふふ、それはそうじゃ♪
お主、妾が一体どれだけ生きておるのかを忘れたのか?
これだけ長生きしておれば、腹の内を隠す事など朝飯前──

最も……今日は隠し切れぬ程に、はらわたが煮えくり返っておるがな。

これこれ、そう怯えた顔をするでない!
別に妾はお主に対して怒っておる訳では無い、じゃからそう無用な心配をするでないぞ。
全く、こうして怖がられるのが嫌じゃから怒りを抑える事につとめておったのに……
まぁそんな事はどうでもよい、ひとまず社までついてきてくれぬか?
茶菓子と軽い食事くらいならすぐに用意できる……どうせ家に帰ってもだれも居らんのじゃろうし、今宵は泊っていくがよい。
細かい事は気にするな、これは年寄りのお節介じゃからの……ともかく、その沈黙は了承したと捉えてよいな?
ならば妾の手を取るがよい、こんな寒さに身を晒しながら歩く必要もないからの。
今回は特別に、妖術で向こうまで連れて行ってやる。
ほら、しっかりと手を握っておれ……では行くぞ!




ふふ、なんとまぁ見事な食いっぷり……妾の手料理が気に入ってくれたようで何よりじゃ♪
この調子なら、先の事も安泰あんたいじゃな──ん、どうかしたか?
あぁ……さっきのは単なる独り言じゃ、お主は気にせずとも良いぞ。
そんな事より、今日はよほど疲れたようじゃの……お主、もしや気付いておらぬのか?
全く……妾の前でそう気を張る物ではない、何度も言っておるじゃろ?
ほれ、妾のひざを貸してやる。
遠慮せずとも、お主にはこれくらいの贅沢、許されてよいと思うのじゃが……ふふ、そうじゃそうじゃ♪
お主はそうやって、妾に甘えておればよいのじゃ♪
ふふ、それにしてもお主……随分とまぁ心地良さそうじゃな。
妾の膝枕、加減はどうかの?
最高か……そうかそうか、それはよい事を聞いたぞ♪
よしよし、よしよし……お主は毎日のように頑張って、本当に偉いのぉ……その疲れを癒す為にも、今宵は心ゆくまで妾に癒されておくれ。
よしよし、よしよし……こうしておると、お主が我が子のように思えてきてしまうのぉ。
今まで子をした事など一度もないが、こうしてみると中々に……ん、どうかしたのか?
「用事はなんだったのか」……あぁ、そのことか。
確かにそれも大事じゃが、それよりお主、今日はもう疲れたであろう?
ならば、今日はもう床に就いてしまわぬか?
わざわざ疲れ切ったお主に無理をさせるほど、妾は心無い狐ではないからな。
あぁ、それでは此方へ来ておくれ……



すまぬな、ここには布団がこれ一つしかない……じゃから、今日は大人しく妾と同衾どうきんしておくれ♪
「妖術で布団を作ればいい」……仕方ないとはいえ、また随分と無茶な事を言うではないか。
お主は知らぬかもしれんが、妖術で物を作るのはそれなりに大変なのだぞ?
無論、妾なら造作もない事ではあるが……まぁ、とにかく今日は我慢しておくれ。
それともお主……妾と体を寄せ合って眠るのは、その……嫌か?
「嫌じゃない」……そうか、それならば良いのじゃ♪
ほれ、冷えぬうちに此方へおいで♪

お主の体、随分と温かいのだな。
背中に手を回して、足を絡めて……こら、身を引こうとするでない。
こうしておらんと、お主の熱を感じられぬではないか……ほら、お主も妾の事をもっと感じておくれ?
言っておくが、妾の事を気にしたり、遠慮なぞするものではないぞ?
元より妾は、お主とはこのような事をする間柄になりたかったのじゃからな。
妾はお主を受け入れる準備などとうに出来ておる……じゃから、もっと妾の事……抱きしめておくれ?

ふふ、心地よいのぉ……こうして、想い人に抱き締められるというのは。

こうして強く抱き合っておると、逃げようにも逃げられぬな……
このままお主に襲われてしまったら、妾はどうなってしまうのやら。
ま、それはお主も同じことじゃがの。
なぁお主、このままでよいから少しばかり、妾の話を聞いてはくれぬか?
実は妾、最近こっそりとお主の事を見ておったのじゃが──

あの有様、あれは一体何なのじゃ?

お主、まさかとは思うがあのような事を毎日しておるのか?
道理どうりで毎日の様に疲れ切った顔をしておる訳じゃ、あれは流石に目に余るぞ。
人の世で生きていく上では仕方のない事かもしれぬが、あれだけの仕打ちを受けても人の世で生きていたいと思うなど……はっきり言って異常じゃぞ?
他に生きるすべがないのも分かる、分かるが──

妾には、あのように苦しんでおるお主など見るにえん!

何故お主が、あれ程までに苦しまねばならぬのじゃ……!
なぁお主……これ以上あのような暮らしを続けるくらいなら、人の世の事など忘れて、此処で妾と添い遂げてくれぬか?
辛い事から逃げて、苦しいだけの現実から逃げて、妾と二人きりで……お主が二度と傷付く事のない余生を過ごさぬか?
お主が望む物は妾が何だって与えてやる……じゃからどうか、妾と添い遂げてはくれぬか?

「少しだけ考えさせてほしい」……そうか。

まぁ、戸惑うのも無理はない。
何せこれは……妾自らが口にするのはちと恥ずかしいが、妾がお主に求婚しているのと変わりないからの。
そんな告白を、このように同衾しながらなど……妾も少しばかり、品が無かったかもしれんな。
じゃが、妾の元に留まるというのなら、お主の平穏へいおん安泰あんたいは約束しよう。
これからは辛い現実に別れを告げ、ただひたすら甘く緩やかな、夢のような日々に浸かっておればそれで良いのじゃ。
こうして妾に抱かれ、甘くとろけて……お主は一切の苦悩から解放されるのじゃ。

ふふ、妾の事をそんなに強く抱きしめて……一体どうしたのじゃ♪
まさかお主、言葉にするのが恥ずかしいから行動で……などと考えておるのか?
なんとまぁ……実に分かり易い、単純な人間じゃのぉ♪
そうじゃ、そうやって自分の気持ちに素直でいるのが本来のお主なのじゃ。
自らの気持ちを嘘偽るなど、なんの得もない愚かな行為……それをしないお主は、本当に偉いぞ♪

おや……どうしたのじゃ?
そんなに顔を赤らめて、こうして褒められるのは恥かし──おぉ、これはこれは。
お主に夢中になり過ぎて、寝巻ねまきがいくらか肌蹴はだけておったの。
これこれ、そう遠慮するでない……お主が相手ならば、妾は微塵みじんも嫌とは思わんよ♪
折角せっかくなら、今宵はお主の事を気が済むまで甘やかして、身も心も溶かしてやろうか?
ほら、言ったであろう?
お主が求めるなら、妾はどんな物でも与えてやると。
勿論、妾自身もそれに含まれておる……お主が妾を求めるなら、妾はそれに応えるまでよ。
じゃからお主がそうしたいのなら、遠慮などしなくて良いのじゃぞ♪

な~んて、冗談じゃよ♪

疲れ切ったお主には、妾の相手はちと荷が重いじゃろうからな。
今宵はこうして抱き合い、疲れを癒すとしよう。
安心せい、お主が眠るまでしっかりと見守っててやる。
しっかりと眠り、そして存分に安らぐがよい──妾のいとおしい、か弱き旦那様♪
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
貴方の事が愛おしくて堪らない妖狐さんが貴方を心の底から幸せにしてくれるようです
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹
ライター情報
主に女性演者様向けの台本を書いてるタヌキ的な「何か」です。
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