悪魔に呪われた聖女は魔女堕ちしようとしていた。秘密裏に恋仲だった勇者の男が彼女の元に駆けつけるが、彼女はすでに手遅れの状態であった。彼女は男に自らを剣で斬り殺すことを頼むが、男はなかなか聞き入れない。男がためらっているうちに、聖女は魔女へと堕ちてしまって…？

あ……君、
どうしてここに…？


帰るって…どこに？
わたしに帰る場所なんて
どこにもない…


そうだよ…わたしは
もう聖女じゃなくなる。


全てを破壊する魔女…
君だって分かってるはずだよ？


見て…この紋章。悪魔に
魔女だって認められた証。


無理だよ…元には戻せない。
この証は一生付きまとうから。


それに…いずれわたしも消える。
たぶん、もうすぐ…


うん…君の知ってる、
聖女としてのわたしの人格は消える。


その代わり…魔女としての
人格が新しく誕生する。


ううん、もう変えられない…
この運命だけは、絶対。


あっ…ダメ！それを使っちゃ…！


(カードを奪い取る)


ダメ…！絶対ダメ！
これだけは使わせない…！


このカード…時間を
巻き戻せる代物だよね？


ううん、ダメ。こんなもの
使っても君は救われない。


断言するよ…だってこれは
悪い魔女が作ったモノだから…


詳しい説明は省略するけど…
君はその魔女に騙されてるんだよ。


過去をやり直しても、
運命は変えられない。


それはもう決まってることだから…
こんなモノを使ったら、君が余計に
苦しい思いをするだけだよ…


分かるよ…分かりたくないけど
分かっちゃうんだよ…！どうしても…！


うん…未来予知。
わたしの、聖女としての力…


君がそのカードを
使った場合の運命は
破滅、だってさ…


だからお願い…
ここでわたしを殺して？


君の持ってる聖剣ならできる。


聖女としてのわたしが死んで
魔女としてのわたしが生まれた瞬間に
わたしを斬り殺せばいい。


その聖剣なら確実に魔女を殺すことができる。


君にしか頼めないことだから…お願い…


無理なんて言わないでよ…
君しかいないんだってば…！


魔女が生まれたら、もっと
たくさんの人が傷つく。


わたしを犠牲にして…
世界の平和を守って？


それが勇者としての君の役目でしょ？


それに…わたし、君のこと大好きだから。


大好きな人に
終わらせてもらえるなら
本望だよ。


聖女と勇者だから…
正式に恋人にはなれなかったけど、
それでも君が好き。


あまりわたしを困らせないで…
お願いだから、わたしの言うこと聞いて…


(息が荒くなる)


はっ、や、く…じゅ、準備して…


もう、すぐ、生まれちゃう…


うん…新しい、次のわたしが…


きっと、わたし、は、き、君の、こと、を…


(しばらく無言)


…遅いよ。あたしを斬りたいなら
もっと早く斬らないと。


捕まえた…初めましてだね。勇者くん。


初めましてだけど…あたし、君のことが
好きみたい。前のあたしが好きだったのかも。


ちょっと…拒否しないでよ。傷つくじゃん。


そうだ。あたしの魔力、
身体ん中に入れてあげよっか？


うん、そうしよ。
君もあたしのモノに
なれて嬉しいもんね。


さっ、おいで…チューしてあげる。ンッ…


(ディープキス)


美味し…ご馳走様♡


ふふふっ…ねぇ、苦しい？
いきなり魔力流し込まれて…
拒絶反応、出てるでしょ？


大丈夫…君ならあたしの愛、
受け取れるよね？だって
あたしの恋人だから♡


それからぁ…あたしたちの
邪魔しそうな奴ら、全部潰そっか？


うん。どうせ魔女なんて
みんなから敵視されてるんでしょ？


だったら、先手を打って
全員滅ぼした方が早くない？


うん、決まり！てことで
これから一緒に頑張ろ！


大丈夫…あたしと君なら
どんな困難だって乗り越えられる。


お互い愛をたくさん育んでさ…
邪魔なもの全部破壊して、あたしたちだけが
楽しく暮らせる楽園を作ろ？ね？


あ、あたしたちに進んで協力する
人間なら仲間に入れてあげてもいいかな。


裏切り者は即刻処すけどねー…ふふふ♪


…さて、拒絶反応は乗り越えられたかな？


うんうん…よかった。これで
君は名実ともにあたしの恋人♡


お互い新しく生まれ変わったところで…
身体同士でも新しい関係を築こっか♡


誰にも断ち切れないくらい
強〜い関係を、ね？あははっ♪

・台本（ゆるボイ！）
高潔な聖女は魔女に生まれ変わっても、変わらず恋心を持ち続ける
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎