1
ご主人様は私に絶対服従、なんですから
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • メイド
  • クール
公開日2023年01月02日 18:14 更新日2023年01月02日 18:14
文字数
2639文字(約 8分48秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
当主に長年仕えるメイド
視聴者役柄
創業家の若当主
場所
男性の邸宅
あらすじ
あなたは創業家の若い主。
先日の婚約の話について、幼い時から付きっきりであなたが信頼しているメイドに相談してみることに。
けれども彼女は、あなたの知らない間に断ったのだという。
しかし、それも当然。
彼女は、あなたのことを手に入れるために、長い時間をかけてあなたを篭絡する計画の最中だったのだから……
本編
 (ノック音)

失礼します、ご主人様。

ご主人様からのお呼び出しというのは、いささか珍しい気がしますが、どのようなご用件なのでしょうか。

ああ、ご主人様のご婚約、の件ですか。

あの大口の大企業の会長から、これからもよろしくとの、ある意味脅迫じみた言葉を頂きましたものね。

そのことでしたら、どうぞご安心ください。
先日、会長にお会いして、わたくしから丁重にお断りさせていただきました。
会長も、特に気を悪くされた様子はないので、今後の仕事の方でも心配されるようなことはないかと。

とはいえ、何かと感慨深いものですね。
ご主人様も、結婚、というものを考える歳になったのだなと思うと、長年お仕えしている身としては、感じさせられるものがあります。

何より、立派になられたご主人様は眉目秀麗びもくしゅうれい百伶百利ひゃくれいひゃくり
代々ご主人様の家にお仕えしてきた家の生まれというだけで、こんなお方にお仕えできるなど、一生で一番の僥倖です。
それは、これだけでお釣りが来るほどの幸せ……。

だからこそ、悩ましいことも多くあるのですが、ね?

今回のお話も、そのひとつ。
あの会長のお眼鏡に適うのは素晴らしいことではありますが、ご主人様が立派な人であればあるほど、あのように狙う手が増えてくるのは当然のこと。

政略だとしても、もうあちらとの関係を強化など、これ以上するものなのかという密接ぶりなのですよ?

あれは、どう考えても、婚約者にと薦められた娘がご主人様のことを欲したのでしょう。
何かとあちらの家と関わることも多いですし、その時には、ご主人様と大分わかりやすい、メスの表情でお話をしていらっしゃいましたもの。

お嬢様の割には、品のない女だなと、呆れたものです。
あんな女にご主人様をやるなど、宝石を泥水に捨てるぐらいもったいない。

だから、私からお断りさせていただいたのです。

……勝手なことをするな?

へえ……

何を馬鹿げたことを抜かしていらっしゃるのですか?
ご主人様?

お仕事のことなど何にもわからないご主人様のために、力を尽くして、もはやご主人様以上にご主人様の仕事に携わっているのはこの私なのですよ?
すなわち、実質的なこの家の当主は私。
ご主人様はただ血がその立場を与えているというだけで、私がいなければ、そんな座からもすぐに転落してしまうでしょうね?

こんな現状でも、ご主人様は私に逆らえるとでも思っていらっしゃるのですか?

んふふっ、お可愛いご主人様です。

それに、そのご様子だとご主人様は、あの娘のこと、興味をお持ちなのですね。

ならば、尚更私がお断りしておいてよかったです。

ご主人様がたとえどれほど立派な殿方に成長なさったとしても、こうして外見ばかりで中身に乏しい女を見分けることもできないようですから。

確かに、私や先代が頑なとしてご主人様に、女性との付き合い方を教えてこなかった弊害、だというのは私も理解しております。

ですが、ご自身の身を守るのはご自身という世の鉄則があるのですから、その判断は身に付けておかなければ。

ご主人様を見捨てることだって、私にはできるのですよ?

……いえ、しませんよ? 見捨てたりなんか。
勢いで言ってしまいましたが、ご主人様から離れられないのはむしろ私の方……。
だから、ご主人様に女性というものを教えず遠ざけてきたわけですし。

どんなことがあっても、私はご主人様をぞんざいにはできない。
やはり、これが愛というもの……

ええ、この家に仕える者として、ご主人様のことは長い時をかけてよく知っております。
立場が違う、ということも。

それでもこんな愛だなんて言葉を口にできてしまうのは、ご主人様が姿も心も美しく、聡明でいらっしゃるから。
それは、仕えの皆までが惚れてしまうような、まさしく、理想の王子様と言うべき殿方なのですから。

立場は違えども、長年時間を共にする私も例外なくご主人様の虜。
いつも、僭越にも夢を見ておりました。

少し話すばかりの他の家の娘ですら惚れてしまうのですもの。
長年隣で支えてきた私の心は一体、どれだけご主人様に溺れ切っていることか。

だから、嫌なのですよ。
ご主人様の血と、知らない血が混じるということが。
血を吐きそうになるくらい、想像もしたくない。

私はずっと、私がご主人様と心も、身体も、愛情深く重ね合って、ひとつになることを夢見てきたのですよ。

時間をかけて、私好みの立派な殿方へと育て上げたのです。
ご主人様のこと、頂く権利は私にありますよね?

感謝を強要するのは好きではありませんが、これまでの愛を、ご主人様の寵愛をもって応えるというのは、当然の義理ではないでしょうか?

本当は、あの娘に私が適うはずもないこと、十分に知っております。
元より、ご主人様の立場を踏まえれば、私よりも美しく、学もあり、気品に満ちた素晴らしい女性との出会いが数多あるということは当たり前の世界。

本来ならば、その中でもより高潔な女性とご主人様が結ばれる手助けをする身分。

しかし、ここまで愛してきたご主人様を、どうして知らない人へと送り出せましょうか。
その爽やかな笑顔のために私は生きてきたと言っても過言ではありません。

ご主人様の愛なきこの人生に、私は意味を見出すことなどできません……

ですから、私はご主人様の生命線を握ることにしたのです。
ご主人様をご主人様たらしめる、経営の実権。

ご主人様も、自分よりも私の方が経営能力を持っていること、おわかりですものね。
元々は、ご主人様に教えるために身に付けた知識ではありましたが、これをご主人様にお教えしなければ、ご主人様は実質的に独り立ちできない。
私に依存せざるを得なくなると思いまして。

そうでしょう?
今や表向きのご主人様?

ご主人様が何もせずとも、会社は回っていけるのです。
私が全てを動かしているのですから。

なぜ仕えという夢の叶わぬ立場にあるのか、一時は悩まされました。
けれども、今やこの立場でよかったと思うばかり。
だって、ご主人様は、私がいないと生きていけないのですから。

ああ、私は今、最愛のご主人様を支配しているのですね……

何度でも言いますよ?
ご主人様は、私に逆らえるのでしょうか?

ご主人様は、私以外の女の愛情を受け取ることを、許されているのでしょうか?

ええ、物分かりが早くて助かります。

私は、これからもご主人様のこと、誰よりも近い距離で、誰よりも愛情深く大切にしてあげるのですから。
これからも、ご主人様は私だけを見ていればいいのですよ?

勘違いなさらないでくださいね?
これは、命令ですから。

ご主人様を支配している私の命令は、絶対。

いいですわよね?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ご主人様は私に絶対服従、なんですから
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

Twitterアカウントは@yorugi_suu以外一切関与しておりませんのでご了承ください。
有償販売利用の条件
TwitterのDM等にてご一報ください。
利用実績(最大10件)
夜木嵩 の投稿台本(最大10件)