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無感情な反射型兵器は救われた命を全てマスターに捧げたい
written by 松平蒼太郎
  • SF
  • 拘束
  • 監禁
  • 告白
  • ヤンデレ
  • 無口系
  • 依存
  • 自立兵器
公開日2023年01月18日 19:49 更新日2023年01月18日 19:49
文字数
3387文字(約 11分18秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
自立兵器
視聴者役柄
超能力兵士
場所
某所
あらすじ
超能力兵士である男は敵を追撃してる途中、敵方の自立兵器『プリズム』に行く手を阻まれる。彼女と交戦するが、攻撃が全く通じず、歯が立たない。仕方なく撤退する男だが、オフの日に偶然街中で彼女とバッタリ出会ってしまう。この時の出会いがのちに、自身と彼女の運命を狂わせていくことになってしまうのだった…
本編
(無線を繋ぐ)


はい。コードネーム『プリズム』です。任務ですか?


かしこまりました。撤退する味方の支援ですね。すぐ現場に向かいます。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


状況分析完了。これより味方の支援に移ります。


…そこまでです。ここから先はわたしが相手をします。


はい。わたしは自立兵器です。


わたしの任務は貴方をここから先に行かせないこと。


大人しく撤退するというのであれば、貴方の損傷は避けられますが、いかがしますか?


わかりました。では、貴方が撤退を決意するまで、相手をするといたしましょう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これ以上の交戦は時間と体力の無駄です。


そろそろ諦めてはいかがですか?


貴方の方が圧倒的に損傷が激しいと思われますが。


はい。わたしにはいかなる攻撃も通用しません。たとえ、貴方が優れた超能力兵士であろうとも。


そうです。先ほど体感していただいたように、わたしの能力は全ての攻撃を跳ね返します。


どんな攻撃であろうとも、わたしには効きません。全て反射しますから。


敵に名乗る名はありません。それではわたしもそろそろ反撃に移るとしましょうか。


(男が逃げ去る)


……敵方の撤退を確認。任務完了。


超能力持ちの兵士、か…あとでマスターに報告しなければ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ひどい雨ですね…傘を買ってこなければ…


…!貴方はこのあいだの…!


いえ。わたしはマスターからお使いを頼まれたので、ここにいるだけです。


貴方と戦う気はありません。ここは戦場じゃないですし、何より今は貴方と戦う理由がありません。


わたしはこれにて失礼します。それでは。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


……なぜわたしの跡を尾けてくるのですか?


こちらの組織の情報取得が目的なら、貴方を即刻排除しなければなりませんが。


はい?何を仰っているのですか?


わたしは兵器です。感情など存在しません。


マスターから与えられた任務をこなす。それがわたしの存在理由であり、存在意義です。


物珍しい…?わたしのような自立兵器が…?


はぁ…興味を持たれるのは勝手ですが、跡をつけられるのはあまり感心しませんね。


弱点?わたしに弱点など存在しません。


わたしはマスターによって鍛え上げられた優秀で完璧な兵器。弱点などあるわけないでしょう。


(くしゃみ)


ッ、何ですか…その傘は貴方のモノでしょう?なぜわざわざわたしに?


わたしは兵器です。風邪など引きません。


能力で雨を反射?そんな無駄なことはしません。


はい。あの能力は戦闘時のみに使用します。


普段から能力のスイッチをオンにしていたら、無駄に燃料を消費してしまうでしょう?


何ですか、その顔は…
物凄く邪悪な顔をしてますが…


(男が立ち去る)


何なんですか、あの男は…
まったくもって理解不能です。


あ、傘…返しそびれてしまいました…


ハァ…また次に会ったときにでも返すとしますか…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


殲滅完了。敵勢力の全滅を確認。基地の方に帰還します。


…また貴方ですか。貴方の味方はわたしが全滅させてしまいましたが。


この状況を望んでいた?それはどういう?


わたしと一対一で…勝算はお有りで?


耐久勝負…貴方の体力とわたしの燃料、どちらが先に尽きるか、ですか…


そんな戦いに付き合う道理はありません。


わたしの任務はすでに完了しましたから。


いえ。わたしが貴方にビビる要素はありません。現時点での戦力差は歴然ですから。


(男から攻撃を受け止める)


どうしてもやるというのであれば…仕方ありません。手早く仕留めます。どうかお覚悟を。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ふぅ…意外と粘りますね。ですが、そろそろ限界では?


…そうですね。貴方が無駄に抵抗してくれたおかげで、燃料を大幅に消費してしまいました。


(無線が繋がる)


…マスター?すみません。現在、超能力兵士の男一名と交戦中です。話ならあとに…


…えっ?もう要らないって、どういう…


がっ…!ぐぅぅ…!ま、マスター…?これは一体…


(無線が切られる)


…どうやらわたしはマスターに捨てられたようです。


はい。たかが人間一人に手こずる役立たずの兵器は必要ないと。


わたしもここまでのようですね…貴方ともお別れです。


…?何をするつもりですか?勝手に人のデータを漁らないでいただけると助かるのですが…


マスター権限の移譲…?
今のマスターから貴方に…?


いえ、しかし…わたしはもう用済みですし…


…貴方は不思議な人ですね。敵である兵器を自分のモノにしようとするなど…


そうだ…傘。貴方から借りた傘をまだ返していませんでした。


せめてあれを返さないと…機能停止するにしろ、少々バツが悪いですね。


わ、かりました…わたし、のデータを、すべ、て貴方に預けます。どう、か、ご随意、に…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


マスター認証確認。現時点より、貴方を『プリズム』のマスターといたします。


どうぞよろしくお願い致します。


ではマスター。早速ですが、わたしのお願いを聞いていただけますか?


ありがとうございます。お願いというのは、わたしに貴方を監禁させてはいただけませんか、ということです。


はい、監禁です。貴方にまで裏切られると、わたしは壊れてしまうと思いますので。


貴方を自由に行動させなければ、貴方はずっとわたしのマスターでいられる。そうでしょう?


ふざけていません。わたしは大真面目です。


人の心とは移ろいやすいモノだと、前マスターに捨てられたことで学習しました。


マスターも人である以上、これから先、わたしを捨てないとは限りません。


ですので、マスターはわたしの手で管理します。


ご安心ください。衣食住は全てこのわたしが責任を持ってご用意致します。


当然、マスターの身の回りのお世話も全てわたしが行います。


人間の男の人に必要な世話の仕方というのは、すでに学習済みですので、問題ありません。


さ、マスター。わたしと共に来てください。
まずは貴方を安全な場所へお連れします。


…なぜ?どうしてわたしから距離を取るのですか?


貴方がわたしを専属の兵器に選んでくれたのでしょう?


だとすれば、兵器の要望はマスターとして聞くべきであると思いますが。


…?マスターが何を言っているのか、理解しかねますが…わたしの言うことを聞かないというのであれば致し方ありません。


少々手荒な真似にはなりますが…一度行動不能の状態にしてから、連れて行くとしましょう。どうかお覚悟を。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


マスター…お目覚めですか?


動かない方がいいです。止血を済ませてから、そんなに時間が経ってませんから。


両手両足ですか?わたしが麻酔をかけて斬り落としましたよ?それが何か?


当然です。貴方に自由に
行動されると困りますので。


ついでにマスターが使う超能力とやらも
封じさせていただきました。


その首についてる首輪が、超能力を制御するための装置です。無理に超能力を使うと苦しい思いをすることになります。


どうです?わたしの言った通りでしょう?


無理に使うと、首が絞められる仕様になっていますので。


本気で超能力を使用したら…頭と胴体がお別れすることになるでしょう。


それでですね…新マスターである貴方には
ずっとわたしの元に居てもらいたいんです。


前にわたしには感情がないという話をしましたが…どうやらそんなことも無かったようです。


貴方のそばにいると、なぜか身体の状態が安定します。


それと同時に、心拍数と体温の上昇が認められます。


この状態を検索にかけた結果…わたしはマスターに恋をしてるという結論に達しました。


はい。きっと間違いありません。
わたしは貴方を愛しているのだと思います。


貴方を手放したくない…裏切られたくない。
これが今のわたしの心です。


返事は必要ありません。貴方がわたしを肯定しても否定しても、わたしの結論は変わりませんので。


それではこれより、所用で出かけて参ります。


はい。前の基地までマスターから借りた傘を取りに行かねばなりませんので。


問題ありません。燃料は補給しましたし、今なら十分戦えます。


マスター…わたしをご自身の兵器としてくださったこと、改めてお礼申し上げます。


これからは貴方に全てを捧げます。


わたしの力は全て貴方を守る為にあります。


誰にも貴方に指一本触れさせはしません。


マスターのことは、この『プリズム』に万事お任せください。


すぐ戻って参りますので、それまではこの隠れ家でお待ちになってください。


わたしはこれにて一旦失礼します。それでは。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
無感情な反射型兵器は救われた命を全てマスターに捧げたい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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