とある夏の熱帯夜に、貴方は許嫁の雪女と密会していた。彼女を初めて自分の家に連れて行ったところ、彼女はとある長方形の物体を見て、怒りを露わにして…？

こんばんは。このような夜更けにお会いするのは初めてですね。


えぇ。家族の許可ももらっています。


相手が許嫁の貴方ですからね。夜中の逢引くらい、普通に許してくれます。


それではさっそく、貴方のお家に行きましょう。


はい。今から貴方とたくさん交われることが楽しみです♪


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あの…お部屋がなんだか冷たいようですが…


…エアコン？どうしてそんなものを？


溶ける？わたしが？


何を冗談を仰っているのですか、貴方は？


たしかにわたしは雪女ですが、この程度の気温で溶けたりしません。


はい。たしかに夏は少々苦手ですが、自らの冷気で身体を冷やしているので、全く無問題です。


それなのに、何ですか？エアコンなどという無機物長方形で、ご自分の部屋を冷やすとは何事ですか？


(クソデカため息)


まだお分かりになりませんか？


わたしという存在がありながら、どうして夏の暑さをエアコン如きで乗り切ろうとするのかと言っているのです。


わたしがいれば、エアコンなど不要でしょう？


わたしがそばにいるだけで、貴方のお身体は夏の暑さなど全く感じなくなるくらい冷えるのですよ？


なのに貴方はこんな無機物長方形に頼った…絶対に許せません。


こんなものはわたしが破壊します。貴方には必要のないものですから。


(エアコンを凍漬けにする)


これでエアコンは機能しなくなりましたね。


ご安心ください。きちんと凍らせましたから、もう二度と使い物にはならないでしょう。


さて…お次は貴方の番です。


当然でしょう？わたしというものがありながら、エアコンに浮気したんですから。


浮気する許嫁さんにはお仕置きしないとですよね？


わたしのためを思って部屋を冷やした？


本当にわたしのためを思うなら、エアコンを部屋から取り外すか、破壊するのが正解でしょう？


わたしの友人もエアコンに彼氏が寝取られたって大騒ぎしてましたから。


まさかわたしの許嫁に限ってそんなことは…と思っていましたが、そのまさかでしたね。


今夜はわたしが全部リードします。貴方に主導権は握らせません。


エアコンなど不要だということを、身をもってわからせてあげますからね…うふふっ♪


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あ、ようやく目を覚ましましたね。おはようございます。


ふふっ…何を慌てておいでですか？


昨日はあんなに激しくシたんですから…お互い裸でいることは何も不思議ではないでしょう？


それにほら…わたしの冷気に身体が慣れてきたんじゃありませんか？


夏の暑さも感じないし、冬だって寒さを感じることはない。


貴方の感覚はぜーんぶわたしが支配したんですよ♡


そうです。貴方はわたし無しでは生きられなくなったんです♡


けど問題ありませんよね？これからわたしたち、結婚するんですから。


えぇ。もちろん、貴方にはこれからわたしの実家に来てもらいます。


この賃貸はさっさと引き払っちゃってください。


エアコンの修理代？あぁ、備え付けのモノだったんですね、この寝取り長方形ちゃんは。


ま、構いませんよ。貴方をエアコンから無事取り戻せたことですし、お金くらい出してあげても。


えぇ。わたしの家はお金持ちですから、エアコンの修理代なんてすぐに払えます。


さ、そろそろ起きて支度をしましょうか。


はい。これからわたしの実家に行きます。


改めて貴方の口からわたしとの結婚の意志を家族に伝えてください。


大丈夫です。家族はみな、今日は予定を空けていますから。


はい。わたしが貴方を必ず実家に連れて帰ると、みな信じていますので。


今ごろみんな、玄関でわたしたちの帰りを待っていることでしょう。


ほら、細かいことは後でいいですから。


今はわたしと生涯を共にすることだけ考えて…ね？

・台本（ゆるボイ！）
許嫁の雪女は大好きな彼を冷やすエアコンが許せない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎