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【男性向け】Der Freischütz【ヤンデレ】
written by 平 朝臣
  • シリアス
  • ヤンデレ
  • 人外 / モンスター
  • 女悪魔
  • ザミエル
  • 魔弾
  • パロディ
  • オマージュ
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年12月02日 23:25
文字数
2657文字(約 8分52秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
悪魔(ザミエル)
視聴者役柄
若い狩人の男
場所
ボヘミア(中世ドイツ)
あらすじ
明日行われる射撃大会に向け、訓練を重ねる若い狩人の男(視聴者)。
しかし、緊張による手の震えが収まらないせいで、中々的に当たらず、途方に暮れていた。
そんな時、突如姿を現したのは、『ザミエル』と名乗る女悪魔(演者)だったーーー。
本編
SE:銃声

...悩んでいるようだな、人間。

SE:銃口を向ける音

...おっと、そう警戒するな。

我は、お主の邪魔をしに来たわけではない。

むしろ、お主にとって有意義な話をしに来たのだ。

少し挨拶が遅れたが、我が名はザミエル...悪魔だ。

SE:銃を構え直す音

...だから、そう警戒するなと言っておろうに。

...まあ、よい。

そのままの姿勢で、我の話を聞くがいい。

見たところ、お主は射撃の訓練をしているようだが、いかんせん的に当たらぬようだな。

しかし、我が思うに、原因はお主の腕前ではなく、心理的なプレッシャーによるものと考えられる。

そうではないか?

...フム、なるほどな。

明日行われる射撃の大会の結果いかんで、お主が村長の娘と結婚できるかが決まるのか。

故に、的を狙い過ぎて中々引き金を引けず、引いたとしても今度は手の震えで狙いが定まらないのか。

それは一大事だな...。

...とはいえ、お主も今ここで諦めるとは考えておらぬだろうがな。

村長の娘を...あの女を手放したくはないのだろう?

...フン...そこまで入れ込んでおるのか。

#小声で呟く

...まったく、忌々しい限りだ。

...なんでもない、ただの独り言だ。

ならば、お主に面白いものを見せてやろう。

SE:一枚の紙を見せる音

見れば分かるが、この紙には銃弾の鋳造方法が記されている。

ただし、これはただの銃弾ではない。

この銃弾は、発射した者の意図する箇所へ必ず命中する『魔弾』だ。

この『魔弾』を鋳造できれば、明日の射撃大会で良い結果を残せるであろうことは、お主も想像に難くないだろう。 

...ちなみに、お主が望みさえすれば、この紙をただでくれてやっても構わんが...さて、どうする?

...そんな話、信じられないだと?

ククッ...ならばよい。

だが、お主がそのままの状態で明日の大会に臨めば、間違いなく恥をかくだろうがな。

#右耳、至近距離

#思考誘導するように囁く

...もしこの機会を逃せば、お主があの女を手に入れる機会は永遠に巡ってこないだろう。

...しかも、あの女は村長の娘なのだから、他の男を見つけることなど容易いものだ。

...明日の結果次第で、お主は別の男と結婚したあの女を、一生眺め続けることになるであろうな。

...お主は、それに耐えられるのか?

#左耳、至近距離に移動

#同じように囁く

...我の言う通りに『魔弾』を造りさえすれば、あの女を必ず手に入れることができるだろう。

...お主があれほど望んだ女と、結婚できるのだ。

...こんなチャンス、二度も訪れないだろうが、お主はそれでよいのか?

...こんなまたとない機会を逃して、お主は本当に後悔しないのか?

#正面、通常距離に戻る

...ククク、答えは決まったようだな。

では、もう一度聞こう。

これが最後の問いだ。

『魔弾』の製造方法が書かれたこの紙を、欲しくはないか?

...フフフ、それでよいのだ。

SE:紙を渡す音

ならば、もう一つ忠告しておこう。

この『魔弾』だが、計7発鋳造できるようになっている。

だが、紙にも記してあるように、『魔弾』には発射する順番が決まっている。

もし、お主が意図するように射抜きたければ、発射する『魔弾』の順番を間違えないように気をつけるがよい。

特に、最後の一発は、な...。

間違えさえしなければ、あとはお主が望むがままだ。

...さて、これで我が伝えることはもうなくなったな。

...なんだ?

言っておくが、この期に及んで翻意することなど許さんぞ。

...対価はいらないのか、だと?

ククク...心配はいらぬ。

我が求めていたものは、すでに手中にしておる。

だから、お主が対価を支払う必要はない。

...いや、むしろ...。

...フフッ、なんでもない。

おっと、そういえば言い忘れていたな。

もし、再び我と会いたければ、明日またここに来るがよい。

...では、健闘を祈っているぞ。


(間を空ける)


(翌日、男が走りながらザミエルと会った場所に向かう)

SE:走る足音

SE:男が目的地に着いて足を止める音

...どうした、お主?

怒鳴り声で呼ばずとも、我はここにおる。

...まあ、丁度よい。

お主の射撃大会の結果がどうなったのか、我も気になっていたところだったからな。

我の編み出した『魔弾』の威力、存分に味わってもらえたと思うのだが...。

...ククク、やはりそうだったか。

6発目までは全てお主の思惑通りに撃ち抜けたが、7発目だけは、あの女の頭蓋を撃ち砕いたのか。

当然、会場は大混乱。

お主も命がらがら、ここまで逃げてきたというわけか。

...騙したのか、だと?

...ククッ、ハハハ!

そうだ、確かに我はお主を騙した。

だが、あの女を殺したのは...お主だ。

我がお主に『魔弾』を造る話を持ちかけた時、お主が断ってさえいれば、少なくともあの女が死ぬことはなかった。

だが、お主はあの女に執着するあまり、疑いもせず我の甘言に乗ってしまい、その結果、自らの手であの女を殺すことになったのだ。

そう...すべては、お主の愚かさが招いた結末なのだ。

ククク...我から言わせれば、『悲劇』にして『喜劇』としか思えぬな。

...さて、そんなお主に我からの“取引”だ。

お主はあの女を殺した罪で、咎人に堕ちた。

そのせいであの村に戻ることなど叶わなくなったわけだが、どうせ行くあてなどないまま、逃げ出したに違いないのだろう?

だが、幸運なことに、お主には我という存在がいる。

お主が望みさえすれば、逃走の手助けをするだけでなく、この先の人生そのものを支えてやることも可能だ。

ただし、その代価として、お主の魂を貰い受ける。

魂を売り渡せば、他の悪魔との契約はできない上、身も心も我と共にあることを強制させられるが、それは我も同じだ。

言い換えれば、悪魔と人間の“結婚”ということにもなるであろうな。

無論、お主が断りたければ、それでも構わぬ。

#左耳、至近距離に移動

#ダメ押しするように囁く

...案ずることはない。

...我はお主を騙したが、お主に危害を加えることはなかったであろう?

...今だから言えるが、我はどんな人間よりもお主を愛している。

...この“取引”も、すべてはお主のためなのだ。

#右耳、至近距離に移動

#同じように囁く

...我は決して、お主を見捨てたりはせぬ。

...お主以外のすべての人間や悪魔を敵に回しても、我はお主を守り抜いてみせる。

...たとえ、お主が死んだとしても、死後の世界まで、我はついてゆく。

...だから、我にすべてを委ねるのだ。

#正面、通常距離に戻る

...ククク、さあ、答えを聞かせてもらおう。

お主は、我と契約することを誓うか?

...フフ、ハハハ!

契約成立だな。

これで、我とお主は一蓮托生だ。

ククッ...この日をどれほど待ち望んだことか。

...どうした?

これから先が不安なのか?

フフフ...心配することはない。

どんな苦難が立ちはだかろうとも、我とお主の二人なら、絶対に乗り越えられるはずだ。

この果てしない旅路の先、さらにその遠くへ辿り着くまで、な...。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【男性向け】Der Freischütz【ヤンデレ】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
平 朝臣
ライター情報
タイラ トモオミ
 初めまして。
 平朝臣と申します。
 ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
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